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月曜日前編 ふたりは私の自慢の親友!

「あぁ~まだ眠~い」


 週明けの朝、私は眠い目をこすりながら登校していた。今日はほどよく暖かくて、それがますます眠気を増幅させる。まぁ、原因は他にもあるんだけどね……。


「はぁ~、今期はおもしろいの多すぎだよ~」


 私の名前は相原柚季あいはら ゆずき、高校一年生。とにかくアニメが大好き、ゲームも大好き。三度の飯より好きだといっても過言じゃないくらいで、アニメワンクールを一晩で見終わってしまったなんてこともあるし、休日はだいたい昼夜逆転してる。だから休み明けはとにかく眠いのだ。


「ふあぁ~」


 歩きながらあくびを連発、目の下には薄っすらとクマができてる。昨日も見始めたら止まらなくなってしまった、せめて五話くらいで止めてれば。そんなことを思いながら歩いていると、


「おっはよう柚!」

「あ~、おはよ~」


 彼女は内田里香うちだ りか、幼稚園の時からの幼馴染。成績優秀でスポーツも万能、いわゆる文武両道ってやつ。すっごく明るくて、頼りになる私の親友。


「朝から元気だね、里香」

「元気はあたしのとりえだしね~」


 と朝からまぶしいくらいの笑顔、その元気少しわけてほしいくらい。


「まったく~また夜更かし? 相変わらずなんだから、あんまりのんびりしてるとおいてっちゃうからね~」


 そう言って里香はさっそうと歩き出す。


「うぅ~まってよ~」


 私はふらふらしながらも、なんとかついていく。


 しばらく行くと、車のボンネットの上で丸まっている猫を見つけた。猫を見て、ほんの少し目が覚めた。


「わぁ~可愛い! ほら見て里香、あの猫寝てるのかな?」

「今日は暖かくて絶好のお昼寝日和だからね、きっとそうじゃない」

「猫はいいな~、好きなだけ寝れてさ、生まれ変わったら猫になりたい」

「いや、柚が考えてるより色々大変だと思うよ、雨風が強い日だってあるし、生きるために食べ物だって自分で確保しなきゃなんだよ、柚にできるの?」

「あっ、野良猫じゃなくて飼い猫の方。優しい誰かさんに飼われたいな~」


 ちらちらと里香をみる。


「あたしんちの子になるってこと?」

「寝床はふかふかにしてね、あと、餌は日替わりにしてほしい、部屋に大きなキャットタワー置いてほしい、それから~」

「ま、まだあるの? とんだわがまま猫ちゃんだな~」

「用は、いっぱい甘やかしてね! ってこと~」

「う~ん、うちで飼うのは難しいかも」

「え~だめ?」


 話してるうちに学校に到着。


 ホームルームまではまだ余裕があったから、購買に立ち寄ることにした。ちなみにこの学校は事前予約ができる、ただし早い者勝ち。だから人気なのはすでに予約でいっぱいなことが多い。


「え~っと、あっ、よかった、チョココロネ残ってた。後はそうだな~、このジャムサンドかな。この二つ予約でお願いします、一年二組相原です」

「一年二組の相原さんね、はいよ」


 予約をすませて教室へ向かった。


「ちょうどあったらいいなって思ってたんだよね~」

「今日はチョココロネの気分?」


 普段はクリームパンかメロンパンにすることが多い。


「うん、昨日見たアニメでヒロインが食べててね、だから私も無性に食べたくなって~」

「あぁ、そういうことね、好きな作品に出てきたとか、推しの好物って自分も食べたくなるよね、わかるけど……。夜更しはほどほどに」

「……は~い」


 わかってはいるんだけど、気がついたら最後まで見ちゃってるんだよね。


 教室のドアをあけると。


「Oh~リカ~、おはよう~ございま~す」


 私たちに気づいて、笑顔で駆け寄ってくるもうひとりの親友、ギュッと笑顔で里香を抱きしめる彼女はシャーロット・テイラー。愛称はシャルちゃんで、小学生の時にアメリカから転校してきた。クラスの皆よりも身長がちょっと低め、とっても可愛い一年二組のマスコットだ。


「おはよう、シャルちゃん」


 里香はシャルちゃんの頭を撫でながら挨拶を返す。


「エヘヘ~」


 里香とシャルちゃんの身長差もあいまって、まるで姉妹にみえる。ちなみに飛び級とかではない。


「シャルちゃ~ん、次は私!」

「Oh~ユズキもおはようごさいま~す」


 私のこともギュッと笑顔で抱きしめてくれる。腕の中にすっぽりと納まるし、それになんだかポカポカする。この感覚まるで……抱き枕。


「あぁ~、このまま寝ちゃいそう~」


 すると腕の中のシャルちゃんが上目遣いで見つめながら首を傾げた。


「ユズキ眠いですか? だいじょうぶ?」


ズッキューン!!


 その瞬間、反則級の可愛さにハートを射抜かれてしまった気がした。


(はぅ~~~~!)


 しかもこれ、たぶんクリティカルヒットってやつ。


「あ~もう、シャルちゃん可愛すぎる! このまま連れて帰りた~い」


 おもわず抱きしめる腕に力がはいってしまう。


「ユ、ユズキ!? く、くるしい、です~」

「あっ、ごめん、ごめん」


キーンコーンカーンコーン♪


 チャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。


「皆さん、おはようございます、ホームルーム始めますよ。ほら柚ちゃ、ハッ!? ……あ、相原さん。テイラーさんが可愛いのはわかりますが、そろそろ席についてくださいね」

「は~い! 優子お姉ちゃん」

「もう~、お姉ちゃんじゃなくて、学校では先生だってば~」


 渡辺優子わたなべ ゆうこ先生。担当は国語、温厚で優しい私たちの担任だ。実は近所に住んでいて顔なじみ、小さい頃はいっしょに遊んだり、勉強を教えてもらったりしていた。一人っ子の私にとって、本当のお姉ちゃんみたいなもの。


 学校では、私のことは相原さんと呼ぶようにしているみたいだけど、油断すると、さっきみたいに柚ちゃんって呼びそうになる。気にすることないと思うんだけど、学校では先生と生徒の関係だからあまりよくない、だそうだ。ちなみに、私はわざとお姉ちゃんって呼んでる、だってお姉ちゃんの反応おもしろいんだもん。


 その後ホームルームが終わり、一時間目がはじまった。授業中も容赦なく睡魔が私を襲ってくる。


「え~と、じゃあ次を相原さん、答えてみて」

「えっ!? あ、はい、え~っと……」

「柚、十五ページの問二」

「あ、ありがと~」


 やばいと思ったが……。里香のお陰でどうにかきりぬけられた。


 そのまま二時間目、三時間目と過ぎていき、ようやく昼休み。今日はなんだか、時間の流れがいつもより遅く感じる。


「里香、シャルちゃん! いっしょにお昼食べよ~」


 いつものように三人で机を並べて昼食をとる。


「予約しといた分取ってくるね、なんか飲み物いる? ついでに買ってくるよ」

「じゃあ、あたし紅茶お願い。あっ、ミルクティーね!」

「シャルは、え~っと、うぅ~ん……。ユズキにおまかせするです!」

「ミルクティーとおまかせ了解! じゃあ、いってくるね~」

「「いってらっしゃ~い」」


 シャルちゃんの飲み物は何がいいか考えながら購買へと向かった。


「一年二組の相原です、予約分お願いします」

「はいよ! まいど~」


 予約分を受け取とり、そして飲み物を選ぶ。


「え~っと、カフェオレかな、いや、フルーツオーレもすてがたいな、う~ん」


 悩んだ結果、ある答えにたどり着いた。そうだ、三人でシェアすれば、どちらも味わえるじゃないか。というわけで、紅茶、カフェオレ、フルーツオーレ、それと紙コップを買った。


「お待たせ~、ほい里香」

「ど~も~」

「ユズキ、シャルのは何ですか?」

「シャルちゃんのは、な~んとフルーツオーレ!」

「Oh~nice choice! ありがとうですユズキ」


 ナイスチョイスいただきました。


「ねぇ、飲み物だけど、三人でシェアとかどうかな?」

「シャルはOKです」

「私もいいよ、どっちにするか決められなかった、とかでしょ~」

「まぁ~ね、里香は最初どれにする?」

「じゃあ、カフェオレ」

「シャルちゃんは?」

「ユズキが選んでくれたフルーツオーレにするです」

「私は~、普段飲まない紅茶いってみようかな~」


 それぞれに行き渡ったところで、シャルちゃんから乾杯の提案。


「ユズキ、リカ、乾杯しませんか?」

「いいね~、じゃあ里香、音頭よろしく~」

「あたしが? じゃあ~カンパイ!」

「「カンパ~イ!!」」

「……あっ、たまには紅茶もいいかも」

「でしょ~」

「「「いただきま~す」」」


 昼食をとりながら、ふたりとなにげないおしゃべり、こんな時間が私はすごく好き。



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