第1話 異世界に転移しました
はじめましてかな?ももんがーのむすめです!
まだ『何故か異世界に転移してしまったが、全力で楽しむことにした』を読んでいない人は先に読むことをおすすめします。理解できないかも。
「お母さん、行ってきます!」
「行ってらっしゃい、朱里。気をつけて行くのよ」
「はあい!」
春。出会いと別れの季節。今年の春、わたしは小学校二年生になった。
「秋元さん、おはよう!」
「本宮さん、おはよう。今日も元気ね。」
「うふふ」
新しいクラスで仲良くなった秋元愛美ちゃんと学校へ登校する。
他愛もない事を話しながら歩いていると、愛美ちゃんのランドセルに体操着がないことに気づいた。
「あれ、秋元さん、体操着は?」
「ああっ、忘れてた!今日の体育で使うのに!」
「まだ間に合うよ、わたしここで待っとくから」
「本宮さん、ありがとう、ごめんね!」
間に合って良かった。
愛美ちゃんが走り去っていくのを見届けて、近くにあったベンチに腰を下ろす。
すると。
ピカッ。
辺りが真っ白になって、エレベーターに乗ったような浮遊感を感じた。
「ごめんね、お待たせ、本宮さん!………あれ?」
いない。
「本宮さん…?」
静寂が支配する公園に、愛美の声だけが虚しく響いた。
「う…………」
気づいたらそこは、薄暗い路地だった。
路地の隙間から見えるのは、赤い髪の人、体の大きい人、槍を持った人、死んだ動物を抱えている人………。
………怖い。怖い!
涙が溢れる。
その時だった。通りかかる人の中にはいなかった黒い髪の女性がわたしに気付き、近づいて来た。
「ねぇ、どうして泣いてるの?」
お姉さんが優しく聞いてくる。
なんだか安心して、さらに涙が出てきた。
「あのね、朱里ね、公園にいたら、ぴかってしてね、でね、目を開けたらここにいたの」
必死で説明すると、お姉さんは少し考え込んで、言った。
「ねぇ、良かったら、お姉さんのところ、来る?」
わたしがこのままここにいても、生きていけないと思う。食べるもの、ないし。
私はうなずいた。
「あ、私、鈴木里奈。よろしくね」
「……本宮朱里です」
「ただいま」
里奈お姉ちゃんが一軒の家の前で止まる。でっかい家。わたしのおうちよりでっかい。
中に入ると、ピンクの髪を三編みのおさげにした女性がいた。
この人はカスミという名前らしい。
びっくりして固まってしまう。
……どうやって染めてるんだろう、皆。
わたしは知ってる、『染める』という技術があるということを。お母さんがやってた。『白髪染め』って言うんだって。
皆も白髪染め、してるのかな?
「おかえりー…………どうしたの、その子。さらって来たの?」
さらう?わたしを?
「違うよ、この子私と同じ、日本人なの」
「あー、だからリナーテと同じ髪色なんだね」
リナーテ?里奈お姉ちゃんじゃないの?
わたしは頭の中で首を傾げた。
その夜、里奈お姉ちゃんから説明された。
ここは、私達が暮らしていた『日本』ではないということ。
そして、里奈お姉ちゃんは名前を変えているということ。
納得だ。
だからリナーテって言われてたんだね。納得。
この家に来て良かった。なんでかって?
そう!ご飯がおいしいの!最・高・にッ☆
里奈お姉ちゃんの料理の中でも、カレーがおいしい。
カスミお姉ちゃんがカレー好きらしくて、ほぼ毎日作ってるらしい。
はぁん、幸せ~。
その日の夜、デザートにケーキがたくさん出た。
ショートケーキ、モンブラン、チーズケーキ、フルーツタルト………。
いっぱいあったけど、もちろん全部食べたよ。
はあ、お腹いっぱい。
どうでしたか?第2話もお楽しみに~