2 異世界転生!
健太は家にあと数メートルのところで足を止めていた。ウキウキした気持ちとは裏腹に健太は下を向く。
「家に帰りたくない」
家に帰ればまた理不尽に怒られる。
健太は幼い頃に今ある家系に養子として引き取られていた。 両親については不明で問いただしても知らないの一点張り。毎日雑用をさせられ家族からは白い目で見られていた。
「はぁ..。遊びに行くなんて言ったらまた怒られるんだろうなぁ」
足が重い。帰りたくない。でも帰らなければそれこそ怒られる。そんな気持ちを押しきり玄関のドアを開ける。
「ただいまー.....。。。返事はなしか。。まぁいつもの事か。」
健太は玄関を上がりリビングに向かう。だがそこには静寂な空気が流れていた。いつもいるはずの皆がいない。
「あれ?皆どこに行ったんだ?いつもなら皆リビングにいるはずなのに。」
そう考えていると突然家の電話が鳴り出した。
「うわっ!!ビックリしたー。なんだよいきなり。」
静まり返った家の中で突然鳴る電話。。。。。少々気味が悪かったが受話器に手を伸ばし電話を取る。
「もしもし?」
「おっ?健太か?今、お前の家にお前以外の家族いる?」
電話の相手は友達のサトシだった。なんだか少し焦った様子で話している。
「それがだれもいないんだよね。いつもならリビングに皆いるのに。」
「やっぱりか。俺も家に帰った時誰もいなかったんだけど置き手紙があってさ。なんか村人総勢で村長の家に集まってるらしいぜ???」
村人総勢で村長の家に?確か去年もこんな事があったような.....。普通に考えれば今すぐ俺達も村長の家に行くべきだろう。だがこれは絶好の大チャンスだ!!!
「サトシ!これはチャンスだ!村人が総勢で村長の家に集まってるなら多分見張りも同じだ!今なら神社に行けるぞ!」
「確かにチャンスと言えばチャンスだが急すぎないか??もう少し作戦を練った方が良いんじゃないか?」
「サトシ!大丈夫だ!なんとかなる!!」
「その自信どっから来てるんだよ...。まぁいいやとりあえず今からお前の家に行くから身支度整えておくんだぞ!!」
「分かった!村人がまだいるかもしれないから見つからないように慎重に来いよ!」
「おう!」
電話を切ったあと健太は身支度を済ませサトシの到着を待った。
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家の前で待っているとサトシが全力疾走で走って来た。
「どうしたんだよ!?そんなに急いで?」
「村人に見つかって今追いかけられてる!!!とりあえず早く神社に行くぞ!!」
「お前綺麗にフラグ回収したな。。」
「村人がもうそこまで来てる!行くぞ!!」
すると遠くから村人が数人走って来るのが見えた。
「やばい!健太!早く行くぞ!!」
「はいはい。急ぎますか。。」
ピンチな状況とは言え追いかけてくる村人から全力で逃げる。健太の子供心が擽られる。
「よーし!じゃあこのまま神社まで直行だ!!行くぞサトシ!」
「おう!」
健太とサトシは笑みを浮かべながら神社へ向かったのであった。
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無我夢中で走っていたら神社への入り口である鳥居が見えてきた。。。
案の定見張りはいない。見張りも村長の家に向かったのであろう。
「疲れたぁ。とりあえず鳥居周辺には見張りはいないな。ここから先は未開の地、木々が生い茂っている深い森だ。準備はいいか?」
そうサトシに呟いた瞬間。後方からどなり声が聞こえた。
「どこに行くつもりだお前ら!!!禁止区域入ってはダメだぞ!!」
「やばい!やばい!サトシ!二人固まって動くとダメだ!村人をひきつけて俺は正面から入る!!お前は迂回して裏側から入れ!!」
「分かった!とりあえずこの森の中にある神社で合流だ!絶対捕まるなよ!!」
本来禁止区域に入るだけで御法度。後々厳しく叱られるだろう。それが今村人に見つかり禁止区域に入ろうとしている。だが健太とサトシの好奇心がそれを凌駕した。
「こっちだ!!!俺の方に来い!」
「待て!入るな!神社だけは.......」
健太は無我夢中で走る。途中村人の声が聞こたが焦りと疲労で最後まで聞けなかった。村人の言っていた事が気になったが健太は道なりに走り続けた。
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あれからどれ程走っただろうか。健太はヘトヘトになり草を掻き分けながら森を歩いていた。
「神社どこだよ......そう言えばあの村人の人.....見ない顔だったな。誰だろう.....。まぁいいか。」
ヘトヘトになりながら草をかぎ分け進んで行く。
シャリン...シャリンッ。
すると突然、鈴のような音が聞こえてきた。
「なんだこの音?鈴の音??こっちか」
突然聞こえてきた鈴の音に多少の恐怖心はあったが健太は鈴の聞こえる方に進んで行く。
しばらく進んで行くと石でできた鳥居が見えてきた。長らく放置されて居たのだろう。ツルが絡まっている。
「もしかして神社か?!いや待てよこの鈴の音はなんなんだ?入ってはいけない理由と関係あるのか?」
そう考えながら鳥居をくぐる。神社の敷地に入った瞬間、突然猛烈な頭痛に襲われる。
「クソッ!!頭が.......痛い...。」
意識が遠退いて行くほどの激しい頭痛。健太は次第に意識を失っていった。
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「ふふっ。いつぶりかしらねぇ。人間自らここに足を運ぶなんて」
「コマールよ。この子はもしや血筋ではないか?」
「そうかもしれませんね。。私たち自らが手をくださなくても自ら死を選ぶなんて。ふふっ。これは運命ですね。。」
「死を選んだとは彼は思っていないだろうがな。」
「血筋なのであれば飛ばす世界はもう決まっている。」
シャリンッ
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
転生されし時、汝にご多幸があらんことを」
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うぅ.....。頭いてぇ。なんだこれ??声が出せない。。。目の前が真っ暗だ。それに声も出せない...。どうなっているんだ???
気を失ってからどれほど経ったのだろうか。意識は取り戻していたが目の前は真っ暗。それに激しい頭痛も続いていた。
「おい!君!大丈夫かい?聞こえているかい?」
どこからか女性の声が聞こえてくる。
誰だ?誰かが俺を呼んでいる。誰なんだ?
「待ってろ!今直してあげるから!!!」
!!!!!治療魔法展開!!!!!
唐突に治療魔法展開などと叫ぶ女性に困惑する。
治療魔法??は?こいつなに言ってるんだ??
「これでどうだい?目を開けてごらん??」
健太は戸惑いつつも目を開ける。
健太は驚愕した。そこにいたのは黒髪ショート、猫耳姿で可憐な美女が立っている。それに腰に剣まで装備している。
「は??え?どうなっているんだ??」
目を冷ますと街の路地裏だった。薄暗く人通りが全くない。
「それはこっちのセリフだよ!君、満身創痍で倒れていたんだよ?なにがあったらそうなるんだい?」
「あ...。え?...猫耳?飾り??いや本物だよねそれ.....。」
「失礼だな!!本物の耳だよ!!!」
健太は顎に手をあて考える。
これってもしかして異世界転生??いや科学的にありえない!!でも目の前には猫耳の女性!!これは現実だ!!
健太が叫ぶ。
「よっっっしゃぁああああああ!!!」
血湧き肉踊る経験!!この世界ならできるかもしれない!
「なんだよ急に叫んで!びっくりするじゃないか!」
「すみません!つい叫んでいたしまいました...。」
「変わった子だねぇ。とりあえずその格好じゃ装備もろくに以ていないだろう?私が買ってあげるからついてきな!」
「良いんですか??ありがとうございます!」
女性が市場の方向へ歩いて行く。。健太もそれに続いて歩く。
「ちなみに私の名前はクローリア。君は??」
「佐藤健太です!!!」
美女を前にして面接の受け答えみたいになっていた。
だがこれぞ俺が求めていた血湧き肉踊る世界!!!
健太はウキウキしながらクローリアについて行くのであった。