1 刺激を求めて
特に変化のない普通の日常。毎日学校へ行き勉強して家に帰って寝る。毎日がこの繰り返しだ。
とある高校に通っている。いや通わされているの方が正しいか。毎日が繰り返しの日々。これ程つまらない事はない。
「刺激が欲しい!!!」
毎日が退屈。なにかしないと気が済まない。そんな気持ちがピークに達しオレは無意識に叫んでいた。
「なんだよ健太?!いきなりデケー声出すなよ!ビックリするだろ!!」
友達であるサトシがビックリした様子でこちらを睨みつけている。
「ごめんごめんつい」
「つい、じゃねーよ。なんなんだよお前。」
こいつは友達のサトシ。こいつとは小学校からの友達で仲が良い。端的に言えば親友だ。
「で?今度はなにをするんだ?」
「え?俺まだなにも言ってねーよ?」
「お前の事だ。どうせまたなにかやるつもりなんだろ?」
考えている事は全てお見通しだぜ?のようなな表情を浮かべどや顔でこっちを見ている。少しムカついたが俺はサトシに向かって叫んだ。
「学校帰りに禁止区域にある神社に行く!!!!!」
少しの間があいたあとサトシが物凄い形相で叫んだ。
「禁止区域の神社だってぇぇぇぇぇ!?」
サトシが驚いた様子でこちらを見つめてくる。
俺にさんざデケー声出すなとか言っておきながら叫ぶサトシ
「あのー。鼓膜が破れるから少し声量落としてくれない?」
「健太?!お前何を言っているのか分かっているのか?禁止区域に入るだけで御法度なんだぞ?最悪村から追い出される。本当に行くのか?!」
サトシが焦った様子でこちらを見ている。それもそのはずだ。禁止区域にある神社どころか禁止区域に入る事すら御法度。それに見張りも大勢いる。無論そこの神社に行くなんてワニのいる池に飛び込むようなものだ。
「サトシ?お前不思議に思わないのか?禁止区域に入るな。あの奥にある神社は危険だ。しか言われてない。むしろ村の皆もそれしか詳細は知らないだろ?」
サトシがキョトンとした顔でこちらを見ている。
「不思議?どこが?」
「村人のほとんどがその詳細を知らない事だよ。多分知ってるのは村長の家系だけだろ?詳細を口外しないって事はそれなりの理由がある。」
「なるほど。それで?」
「神社に行って真相を確かめる。」
サトシが呆れた様子でこちらを見ている。
「健太。お前さぁさっきも言ったけど見張りも大勢いるし禁止区域に入ることすら御法度なんだぞ?どうやって神社まで行くんだよ?」
確かにサトシの言う通りだ。神社に行く以前に禁止区域に入る事すらほぼ不可能。だがそれは想定内である。
「俺に作戦がある。近々夏の祭りが開催されるだろ?祭りが開催されれば村人の皆はほとんど村の中心に集まる。その時を狙う。」
サトシが真剣そうな顔でこちらを見ている。
「村人のほとんどが中心に集まり発見リスクを減らせるのはわかる。だが見張りはどうするんだ?見張りは祭り関係なく年中いるぞ?」
見張りは祭りだろうがなんだろうが絶対にいるそして大勢いる。だがそれも想定内。健太は自信ありげな顔で席を立った。
「陽動作戦だ!!!」
サトシが真剣な顔で俺を見ている。
「なるほど。つまり陽動し見張りの注意を反らしその隙に侵入するんだな?」
サトシが目をキラキラさせながら俺の肩をポンと叩く。
「作戦は?!もう決まってるのか?!面白そうじゃないか!」
いやまじでなんなよだよこいつ。さっきまで否定的だったのにいきなり肯定的になりやがった。
「作戦は考えてある。まず村長の家に行き俺達の意図に気づかれないように見張りの行動パターン、そして配置の位置を聞き出す。そして祭りが開催される夜作戦決行だ!」
サトシの目がますますキラキラになっていく。
「とりあえずこの後家に帰って身支度整えてから村長の家に行くぞ。」
「おう!」
そして健太とサトシは高鳴る気持ちを胸にそれぞれの家へ帰宅した。