閑話 そのころの明松 火輪
これは、肉塊(内藤 進)に取り込まれた時の火輪視点である。
『せんぱーーーーい』
火輪は叫んでいた。
『......食べられちゃったよ。まだ、間に合うかもしれない。そりゃ、これでもくらいな。』
火輪は、火球を、肉塊に目掛けて投げつけた。
『へへへ、結構、えぐれたんじゃないのーーーー?ぎょぎょぎょ!!!??なんだ、あの再生能力は。』
『フシュルル‐‐‐、お前の攻撃など痛くもないわ‐‐‐。もう一人の俺よ。早く真琴を取りこめぇ‐‐。ようやく俺のーーー俺の物になるんだぁぁーーーーー。邪魔するな。このモブ男がぁーー』
(ん??まだ、先輩は頑張ってるのかな!?消化されてないだけかなーー。まーそれなら、早いところ助け出さないと。
攻撃が効いてない訳ではないんだよなー。再生が早いなら、高火力で1発おみまいしてやるか。)
火輪は、術具を取り出し、化け物の周りに散らばせ始めた。
火輪の術具は、堅牢の杭といい、主に拘束・結界を張るものである。それを化け物の周りの地面や
木々に刺していくのであった。
しかし、化け物は、その意図に気づかない。自分が誘い込まれている事を。
『おいおい、どこ狙ってんだ。一個も当たってねーよ。お前は、火の球しかだせない。低霊能者だなー。前のやつと変わんねーな。一緒に殺してやるから、おとなしくしろ‐‐』
『五月蠅いなー。この鈍間が。お前じゃ私に触れる事も出来ないよ。最後の言葉はそれでいいのかい??』
火輪は、軽快に攻撃をよけつつ、霊力を高めた。
そして、化け物の上空に飛び上がり、先ほどの何十倍もの火球を放つのであった。
『煉獄結界』
堅牢の杭により、閉じ込められた結界の中で、化け物は永遠に燃え続けるのであった。
(よし、これにて終了だな。何か忘れてるような......。
あっ。先輩だ。)
化け物をフルボッコにすることで我を忘れていて、慌てて結界を解いた。しかし、そこには、もうほとんど肉塊はなくなっていた。3m位の巨躯から今は、中学生くらいになっていた。
(あーーやっぱ、遅かったっぽいな。ごめんよ。先輩。)
また、再生されると、ごめんなので火輪は、火球を作り出した。
『それ!!もういっちょ!』
『おい。やめてくれ。火輪、もういい。』
『えっ!?嘘??』
(あれれー、生きてたの?飲み込まれて死んだと思ってた。むしろ、私がトドメさした??)
『せんぱーい、大丈夫ーー?』
火輪は、恐る恐る声をかけてきた。
『二人とも平気だ。』
肉塊は、身を挺にして二人を守っていたのだ。その身は、ボロボロと朽ちている。
(ん?なんであの肉塊は守ったんだ?でも、私がトドメを刺してなくてよかったーーーー。グッジョブだぞ。化け物。灰になっても元気でな。)
誰も知らない所で、心から安心するのであった。