キャンプ⑦
俺達は、仏霊会から転鏡で、勾玉の巫女の元へ飛んできていた。神殿の前に着き、俺は声をかけるが反応がないのであった。そのため、ノックをしたが、それでも反応がなかった。
俺は、気になり失礼ではあるが、ソォーと襖を開け覗いてみるのであった。
そこには、リンと勾玉の巫女が式神に御酌をさせ宴を開いてるのであった。
『リンよ。良い呑みっぷりではないか。どんどん呑むが良い。其方が帰るのも何時になるか分からないからの。寛いでいきなさい。』
『極楽。極楽。これなら、いつまでも待てるよー。』
(あいつは、酒があればどこでもいいんじゃねーのか。しかし、なんて、コミュニケーション能力が高いんだ。)
どうやら、リンをもてなしを受けているようであった。しかし、そのような場合ではないので、盛り上がっている所に水を指してしまうのだった。
『あのぉー、どうも。勾玉の巫女さんに、お話をお聞きしたいのですが。』
『随分、早く戻って来られたな。それで、何が聞きたいのだ。』
そこで、朽名氏さんと代わるのであった。
『どうも、朽名氏 還 と申します。これまでの経緯はお聞きしました。
これから、討伐に向かいたいのですが、お聞きしたい事があります。もし、悪食ことアーノルド=ヴェルナーの居場所が分かってたら教えて頂きたい。
それと、これまでの土地神様が襲われた場所と順番。そして、他の土地神様の居場所も教えて頂きたい。』
勾玉の巫女は、リンとの宴を中断し、事細かに状況を話してくれるのであった。すると、口で説明するよりも早いという事で、巫女様の力により、この地域と土地神様の居場所を地図におこしてくれるのであった。
しかし残念ながら、アーノルド=ヴェルナーの現在地は分からないのであった。
それも、大きな問題ではなかったのであった。こっちには、朽名氏さんが居たからだ。
そのため、アーノルド=ヴェルナーのおおよそ位置が把握でき、その対策が練れるのであった。
どうやら、奴はゆっくりと北上しているようであった。
そして、3日後には新たな土地神様が狙われるのは明白であった。
『しかし、何で奴は、土地神の居場所がこうも簡単に分かるんですか?』
『それは、悪食の力が作用している。奴の食欲は、異常なため感知能力も優れているのだ。対峙するのであれば、罠を仕掛けるのは無駄であろう。』
『分かりました。それでしたら、この早さで移動しているのであらば、ここがポイントでしょう。二日後の正午です。』
朽名氏さんが提示した場所は、廃集落であった。
ここであれば、戦闘時にも動きが取りやすく、申し分ないとの事だった。俺達のような戦闘に不慣れの者は、足場が重要らしい。アーノルド=ヴェルナーにも、利はあるが、それを考えにいれても、こっちに利はあるようだ。
また、ここを選んだ理由は、他にもあった。元集落であり、おそらく木々が少ないのが決め手らしいのだ。奴の能力は、屈折という事で、光学迷彩をしてくる可能性が高いためだった。朽名氏さん曰く、人間は視覚に頼る事が多いので、光学迷彩をされると戦闘早々にやられてしまうそうだ。
ならば、それに対して対処しておく方がいいとの事だった。
幸いにして、聴覚・嗅覚に優れた真冬がいるので、勝率は高いようだ。
『真冬は大丈夫だとして、視覚に頼れないと俺らは、どうするのですか?』
『そのための此処なのです。おそらく、すでに草むらになっているでしょう。まぁー確認は出来ていませんが、ここの集落が寂れた時期と、今までの環境を考慮にいれても高い可能性でそうなっています。草むらであれば、それを横切る音や草むらの様子で、居場所の特定が可能だと考えられます。それに、真冬さんの聴覚・嗅覚であれば、もはや光学迷彩も無駄になるでしょう。
1つ問題があるとしたら、戦えるのが真冬さんだけという事になります。アーノルド=ヴェルナーは、能力がなくても相当の手練れなのです。私の調べでは、特殊部隊の出身でしたから。』
『確かに。戦う術がそれしか....。』
そこで、真冬が頬を赤くし、念話をしてくるのであった。
『クズさん。私と憑依してください。そうすれば、クズさんも私の能力が使えると思います。私の魂をダブルで割ってください。これなら、もしもの時も戦いが出来るはずです。
私が主に戦います。でも、もしかしたら相手を抑えられないかもしれない。その時は、奈菜さんと朽名氏さんを守ってください。それに、聴覚も嗅覚も備わるので、対処がしやすいと思います。』
『わかった。真冬がそこまで言うのであれば、俺も覚悟を決めるよ。』
俺と真冬は、念話を終えるのであった。
作戦は、概ね決まったので、今日は神社にお世話になるのであった。勾玉の巫女が、部屋を用意するのであった。男は、一人だけなので、離れに案内されるのであった。真冬と憑依をするには、ちょうどいいのであった。
夕食には、御酒も用意され、ちょっとした宴となった。勾玉の巫女も話してみると、親切で優しい人柄であった。出会ったときは、よっぽど切羽詰まっていたのであろう。
そして、宴も終わりに近づくのであった。奈菜と朽名氏さんは先に寝床へ戻るのであった。どうやら、お酒を少し飲みすぎたようで、眠気が強いようであった。そのおかげで、真冬も抜ける事が可能となったのだった。
それも、巫女の計らいだったのかもしれないが。
そして、その夜、俺は真冬と一つになった。彼女と出会い、色々と過ごしてきたが、俺はまだ知らない事が多かったようだ。しかし、これまでより確かに絆は強く感じるのであった。
そして、誓うのであった。霊体とはいえ守らなければと...。
※濡れ場は、各自に想像をお任せします。
真冬と関係があって、変わった事と言えば以前より、相手を感じ取りやすくなっていた。また、真冬が俺を道生と呼ぶようになった事だ。
しかし、お互いに、まだ恥じらいを感じてしまうのであった。
俺たちは目的のポイントまで移動を始めるのであった。勾玉の巫女様のお陰で、道には迷わないで済むのであった。
まるで、誘われるように最短で着くことが出来るのであった。
『ふー、ようやく着きましたね。それにしても、クズ様には驚きました。意外と体力がおありのようで。』
『いやぁー、これでも男ですから。』
俺は、真冬と憑依をしたお陰で、真冬の能力の一部を使えるようになっていた。
そのおかげで、今回の移動も、難なくこなせたのであった。
道中、体力も余裕があったので、憑依獣化の検証をしながら移動したのであった。
どうやら、俺の獣化は見た目の変化はないようであった。
霊力により、擬似的に耳や爪などが念じた部分へ霊力を纏っている感じであった。
試しに、聴覚や嗅覚を高めてみたが、目を閉じていても移動ぐらいなら簡単であった。
おそらく、戦うための爪や牙もそれなりに効果があるのだろう。
『ねぇ、道生。何かあった?!』
『えっ!?何かって?』
『ふーん、何となく。顔つきが違う気がしたから。』
『はは、少し緊張しているだけだよ。もうすぐ、奴と対峙する事を考えるとね。』
俺は、奈菜の問いかけに一瞬焦るのであった。
昔から、鋭い所があったが昨日の今日だと平静を保てているか少し不安なのであった。俺は、話を帰るべく朽名氏さんへ話をかけるのであった。
『どうですか?戦術的に、予想通りですか?』
『そうですね。想定内って、所ですかね。巫女様のおかげで、予想より早く着いたので、少し手を加えましょう。』
そうして、俺たちは砂利や小枝を至るところに撒くのであった。
これにより、足音が鳴り、相手の光学迷彩の対策となるとの事だった。
しかし、俺は屈折の能力の対策は、それだけでいいのかが不安になったのだった。以前に、神楽 心の能力を弾いていたのを、思い出すのであった。
その事を、伝えると朽名氏さんの顔は険しくなるのであった。
『すみません。私の情報不足でありました。アーノルド=ヴェルナーは、光学迷彩からの暗殺を得意をするので、そのような情報は初めてです。私の能力で、解析すると勝率が下がりますね。まず、奈菜さんが神器により、能力を下げ対峙することで、成功率は70-60%でした。
それが、今の情報により、50%を下回ります。いや、はっきり言って40%って所でしょう。私は、今回は得策でなく次回に備えるべきだと思います。それでも、対峙するというのであれば、私に火輪様から預かった転鏡を渡して下さい。
そして、約束して下さい。私の合図で、必ず撤退すると。そうすれば、今回は駄目でも、80%以上の確率で、全員が無事に逃げれると思います。』
『道生。どうしよう?』
『元々の成功率が良くて70%なら、転鏡を、渡して撤退を考慮に入れて行動しよう。
それなら、一度撤退しても、今回の情報も得れるし次回に対策を練れる。それに、確率が低くても成功する可能性はない訳ではないし。』
『私は、サポートなのでクズ様の意見に従います。』
『道生とともに行動するのにゃ。』
『皆が、それなら私も従うわ。』
『朽名氏さん。撤退する場合は、容赦なく御願いします。もし、この中の誰かが遅れても、より確実に助かる方を取ってください。すみません。一番、辛い選択を御願いする事になると思いますが。』
『承知いたしました。』
そう話終え、朽名氏さんに転鏡を渡すのであった。
そうして、皆は山越えの疲れが出たのか、早く床に着くのであった。しかし、全員が眠りにつけたかは定かではなかった。




