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キャンプ⑤

クズとリンは、滝壷に着いていた。

そして、リンの能力により水中へ飛び込み、神殿へ向かうのであった。


『ここが、リンの言っていた祠か。』

『そうだよ。そしたら、こまま飛び込むよ。』

祠へ入ると、竜宮城の祠と同じように、転移が起きるのであった。


クズの前には、鳥居が並んでいた。

『おぉー、着いた着いた。さっきは、ここに居たんだよ。この先の神殿に、奈菜がいるはずだよ。』

『助けに来たのはいいけど。リンは、竜宮城に仕えていたし、戦えるんだよな??』

『はぁ。私は、無理だよ。運び専門だもん。能力も、水中で呼吸できるようにしか使った事ないし。他の運び屋も同じだよ。個々で、少し違うだけで、戦いなんて出来ないよ。』

『俺ら二人が来ても、何も出来ないんじゃないか??』

『・・・・・・・・・・・。』

俺らは、顔を見合わせ冷や汗を垂らすのであった。

『いや、ちょっと待て。きちんと、リンの能力を把握する必要がある。』

そして、俺はステータスを確認するのであった。


リン

職業:クズの眷属・魚

能力: 恒常性・・・自身の霊力圏内を一定に保つ能力。あらゆる因子に対しても、均衡を保つように調節される。

悩み:安全確保

解決策:場合により、敵前逃亡。

心情:おいおい。どうすんだよ。ここまで、来たら、引き返せないよ。一本道なんだから。

未来行動(30秒):あたふたしている。クズへ期待の眼差し。


(恒常性!?とりあえず、一定に保つのか....。それなら、奈菜も霊力圏内に入れれば、一先ず、助ける事は可能かもしれないけれど、一向に解決にはならないな。)


『リン、お前の能力は、恒常性っていうみたいだぞ。自身の能力範囲では、全て一定に出来るみたいだから、死ぬ事は無さそうだから安心しろ。』

『へっ??そうなんだ。じゃあ、万が一があっても、助けがくるまで頑張ればいいんだね。』

『まっ、助けがくればな。結局、此処から出れないと意味はないけどな。』

そう、話終えると、奥へ進むのであった。一応、AIを発動はしていた。解決策は、今の所はないが恒常性については、理解できたのであった。

そうして、鳥居をくぐり終えると、神殿が見えてきたのであった。


『そこで、止まりなさい。新たなる器である奈菜は、渡しません。いや、渡せません。』

『道生。私は、大丈夫だから。ちょっと、話を聞いてあげて。困っているようなの。お互いに手荒な事はしないでください。』

謎の声と奈菜の声が響くのであった。奈菜の仲裁により、神殿の襖が開くと、そこには謎の声の主が奈菜と対峙しているのであった。声の主は、奈菜とそう年齢は変わらないように見えるどころか、雰囲気が似ているのであった。しかし、所々に、ヒビのようなものが入っているのであった。


『其方がそういうのであれば、そこの二人も、ここへ座るといい。』

俺達は、敵意がないようなので、素直に言う事きく事にした。むしろ、戦うすべがないので、従うのがベストであろう。


『初めに、少しだけ私の事を話しましょう。私は、現在の勾玉の巫女であり、それ以上でも以下でもない。勾玉の巫女の役割は、地域を守ってくださる土地神様が祀られている土地を守ることにある。しかし、私の力が衰えてきているのもあり、今や手におえない状況に至ったのだ。


ここ近年の人間の発展は、凄まじく、自然の破壊に対して私や土地神様の力でも抑える事が出来なくなっているのだ。しかし、問題はそれだけでなくなっているのだ。


悪食が現れたのだ。人間の皮を被った悪魔なのだ。その者により、各地の土地神様が狙われ、食われてしまっているのだ。

土地神様がいなくなれば、その土地は、水は枯れ、土は腐り、草木も死滅してしまう。そうなれば、生物が住めない土地となってしまうのだ。


そして今、私の代わりに悪食を追い払う者が必要なのだ。そこに、其方が現れたのだ。

もう、私には追い払う力が残っていない。私の力を授けるには、今しかないのだ。』

『話は、分かりました。もし、私が勾玉の巫女になったら、私が居なくなったら、家族や友人はどうなってしまうのですか?』

『神隠しにあった。行方不明となる。昔から、そう続いている事なのだ。』

『そんなの簡単に選べるわけじゃないだろ。』

『そうだ。そうだ。』

『同席は許したが、其方達の意見など聞いておらぬ。今は、数刻でも時間が惜しいのだ。』

『それなら、悪食を倒せばいいんだろ。奈菜が、巫女になる事はないだろ。』

『それが、出来るなら、そうしたのは山々なのだ。しかし、誰かが成らなければならぬのだ。ほれ、私の身体をみなさい。この、今にも朽ちそうな身体を。』

現勾玉の巫女は、そう言うと立ち上がり、巫女服を脱ぎ捨てるのであった。

成長途中で、巫女になったのか。そこで時が止まっているようであった。まだ、艶やかな肉体をし、少し見るのが犯罪臭がするのであった。しかし身体中に、ヒビが入っているのが目に入ると、唖然としてしまうのであった。

その顔をみて、勾玉の巫女は、脱いだ服を再び着用するのであった。


『道生。あまり見ないでね。そんなに凝視しないで欲しい。』

『はい。すみません。でも、元に戻す方法は?』

『ない。いや、今や不可能となったのだ。以前は、自然から霊力をお借りし、それを自然へ還元してきたのだ。今や、この辺りは、伐採や川も枯渇し、霊力の供給が減っておる。さらに、土地神様が食われた土地も補うために霊力は減り続けているのだ。』

『それなら、悪食をどうにかするのと、霊力が補えれば良いんですね。』

『それが出来れば、問題がないのだ。』


俺は、以前に霊力の回復を行っているので、それを行えないかと考えたのであった。

ただ、それだけだと根本的な解決にはならないので、困った時のAIを使用するのであった。


勾玉の巫女の悩みについて。

勾玉の巫女へリンの恒常性を使用。それにより、勾玉の巫女の減り続ける霊力を保つ事が可能。

その間に、悪食の討伐・霊力の回復を行う事が望ましい。

霊力の回復においては、自然の回復を図る事が重要である。


『リン、とりあえず、勾玉の巫女に能力で覆ってあげてくれ。そうすれば、その場凌ぎだが霊力を保つ事が可能のようだ。』

クズの意見により、リンは恒常性の能力を発動するのであった。

『ほう。これは、不思議なものだな。霊力は、確かに減るのは治まったようだ。しかし、これでは、何も変わらんぞ。』

『この間に、悪食を追い払い、霊力の回復の手段を見つけてきます。それで、問題はないかと思うのですが。』

『いいだろ。しかし、出来なかった時は、分かっておるな。奈菜とやら、出来なければ次の勾玉の巫女は、其方であるぞ。』

『道生なら、出来ると思います。私は、信じます。』

『それでは、其方に、仮の力を授けよう。これを持っていきなさい。八尺瓊勾玉だ。これがあれば、悪食にも対抗できようぞ。』

奈菜は、勾玉の巫女から受け取るのであった。


『申し訳ないが、リンはここで、巫女さんを頼むぞ。』

『えぇー、こんな所で。何もないよ。せめて、お酒とかつまみを置いて行ってよ。いつ戻るかも分からないんでしょ??』

『そりゃー、そうだけど。今は、そんな事言っている場合ではないだろ。』

『リンとやら、それなら私の式神に用意させよう。』

『ホント??それなら、なにも問題ないんだよ。』

(こいつは、状況がわかっているのかよ。)


クズは、心の中で思ったが、リンが居なければ、選択肢がなかったので黙っているのであった。

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