キャンプ③
『真冬。真冬。起きてってば。』
リンは、人型となっていたそして、真冬を揺すって起こすであった。
『にゃ、にゃ。ん!?リン、どうしたのかにゃ?』
『狐の面を被った子に連れてこられたんだよ。それと、そこの子も。』
リンがそう言い、目を向けると奈菜がそこに横たわっているのであった。
リンは、どうしてこうなったかを語るのであった。
キャンプ場についてから、真冬はリンを連れ、山の探索をするのであった。主に、時間つぶしであった。
そこで、真冬は、リンを咥え、神社に辿り着いたのであった。すると、鈴の音がチリーンっと聞こえてくるのであった。
そのため、真冬は気になり、鈴の音の方へ向かうのであった。もう一度、チリーンと、鈴を鳴ると、真冬は突然、気を失うのであった。リンには、鈴の音が聞こえていなかったので、その事に驚いたのであった。そして、突然、倒れた真冬の牙が食い込み動きが取れなかったようだ。そのため、咥えられたまま、見ているだけであった。少し経つと、狐の面を被った子が現れ、話し出したのだ。
『あら、あなた方ではないですね。少し、似ている波長で間違えたようです。申し訳ない。ですが、主のために、利用させていただきますね。』
そういい、終わると、鈴の音が鳴り、リンも気を失いかけたのであった。リンは、牙の食い込みのおかげで、気を失う事はなかったのだ。しかし、完全に遮断出来なかったためか、朦朧とするのであった。そこから、奈菜が現れるまで放置されたらしい。
奈菜が現れると、同様に意識を失わせ、ここまで運びこまれたのであった。その時に、牙が偶然にも外れたので、今に至るそうだ。
『ごめんにゃの。傷は平気かにゃ?』
『大丈夫よ。そのおかげで意識が保てたんだから。』
『ありがとうにゃの。それにゃら、出口も分かるのかにゃ?』
『それが、問題なんだよ。滝壷を潜って、ここまで来たんだけど、出口が消えたんだよ。いや、消えたっていうより、転移だね。滝壷の深くに、祠があって、そこから此処へ来たんだよ。』
『狐の面の子は、どこに行ったの?』
『祠まで運び、私達を置くと、居なくなっちゃったんだ。』
2人は、周りを見渡すが、出口がなく一本道が続いているようであった。
そこには、鳥居が幾重にも続き、ある稲荷神社のようであった。
出口がないので、移動しようにも奈菜を置いて行くわけにも行かないのであった。
そこで、しょうがなく起こすのであった。
『ん、ん。何。』
『起きにゃさい。起きにゃいと、困るにゃ。』
奈菜は、猫が話している事に目を丸くしているのだった。
『あれ、夢か。そんな事ないもの。』
『にゃー。夢でにゃいの。世のにゃかには、知らにゃい事がいっぱいにゃの。そして、今もにゃにが、起きてるかわからにゃいの。』
『えっ。本当に。現実なの?それに、そこに居る人は、誰なの?』
リンは、そこで一回、魚に戻り、また人型へ戻るのであった。
『へへへ、私はリン。よろしく。』
『あはは。何がなんだか...。』
奈菜の許容は、パンクしまた気を失うのであった。次に、目覚めると、現実と納得したのか、気絶はしないのであった。
『あのぉー、真冬さんに、リンさん。これは、夢でないって事は。あの猫ちゃんである真冬さんは、道生のなんなのですか?それに、リンさんも。』
真冬が答える前に、リンがさらっと答えるのであった。
『えっ、ご主人だよ。』
奈菜は、その答えに驚き、すでに結婚しいてるのかと勘違いをするのであった。
『奈菜さん。落ち着くにゃ。一応、私達は、クズさん...道生の霊獣っていうのかにゃ、使い魔?的にゃ感じにゃの。今はね。いずれは、本物の主人かもにゃの。』
『それじゃあ、まだ、夫とかでないんですね。良かった。』
クズの知らない所で、新たな戦いが始まっているのであった。しかし、今はそんな状態ではないので、3人で鳥居をくぐり抜け、奥へ進むのであった。
奥へ進むと、大きな神殿が見えてくるのであった。
すると、神殿から声が響いて来るのであった。
『待ちわびたぞ。新たなる器よ。其方が来るのを、どれほど待った事か。』
『誰にゃの?』
『ほう、其方もなかなか良い器であるが...。すでに、霊体とは。出会う時が悪かった。
其方達2人には、用がない。丁重に、送って差し上げなさい。既に、迎えが来ていますよ。』
誰かは分からないが、そう言い終わると。狐の面を被った子が現れるのであった。
『畏まりました。あなた方二人は、私が送りましょう。貴方様は奥へ、お進みください。主が待っておられます』
『2人って、真冬と私だよね!?奈菜を置いていけないよ。』
『そうにゃの。こんにゃ、良く分からにゃい所には置いていけにゃいの。奈菜さん、私達の後ろへ。』
『はっはい。』
奈菜が、後ろへ回ると、その後ろからチリーンっと鈴の音がしたのであった。
振り返ると、狐の面の子が、そこにはいた。私達は勘違いをしていたのだ。狐の面をしているのは、一人ではなかったのであった。気が付くと、奈菜は、もう一人の狐の面の子に抱えられ、神殿へと誘われていくのであった。
そして、またもチリーンと、鈴の音が響くのであった。すると、地面に転移の円陣が現れ飛ばされてしまったのだ。
リンと真冬は、目を丸くした。気が付くと、そこには神殿も鳥居さえ消えていたのであった。
そこは、ただの広い空間だけが残るのであった。
そして、後ろから声がするのであった。