悪夢の始まり
2人は、落ち着きを取り戻すと、どうして、このような事になったのか話すのであった。
火輪は、ずっと虚ろな表情で、何を聞いても反応がなかったため、今まで何が起きたのか把握されていなかった。
2人は、ヴェルナーを捕獲するために、報告される事件の中で、件数が多い所へ赴いたのだった。そこでは、何故か。闇社会の者だけが、昏睡状態となる事件が起きていた。
そのため、事件は、増えているが、治安は反対に良くなっていた。
そこで、一人の男に出会うのであった。
その男から発するのは、あの脱獄囚と同じ雰囲気であった。
そのため、すぐに火輪と水貴は、戦闘態勢を取るのであった。しかし、相手もそれを感じ取り、うまく距離を空け、話しかけて来るのであった。
『なんだぁー、お前ら?能力者か。』
男は、不敵に笑いながら、話しかけて来るのであった。
『この街に何をしたの?』
『はっ。何を簡単な事を言ってんだ。害虫駆除だ。お前ら能力者が、きちんと統治すれば、誰も恐れがない世界も作れるのに....。お前らは、それをしない。それだけで罪な事だ。』
『何を言ってるの。私たちは、深く関与すれば、それだけ問題が起こる可能性があるじゃない。そんなの常識よ。』
『あぁーヤダヤダ。固定概念って奴か。そのせいで、事件に巻き込まれ、死んだ人が何人いると思っている。まっ、お前らは、同じくらいか?それなら、罪もそこまでない。今からでも、やり直せる。新しい世界を作らないか?』
『頭がおかしいわね。火輪ちゃん、目的対象じゃないけど、捕獲しておいて間違いはないわ。』
『同感。』
『残念だよ。折角、能力を持っていても、無駄使いだ。それではな。』
男が話を言い終わると、火輪は攻撃を仕掛けていた。しかし、直前になり、後方へ飛ぶのであった。
『何をした?』
『ん?俺は、何も。』
男は、不敵に笑いながら、話すのであった。
火輪には、攻撃を仕掛けた時に、自分が返り討ちにあう姿が見えたのであった。
『火輪ちゃん、何をしているの?相手は、隙だらけじゃない。しょうがないわね。』
そうして、水貴が遠隔から水の刃を飛ばすのであった。
しかし、それも相手には通らなかった。いや、かき消されたのであった。
それは、能力でなく、ただ単純な霊力であった。
『あれれぇー、これで終わりか?それなら、そろそろこっちからイカせてもらぜ。』
そう言い、霊力を刃状にし放つのであった。
水貴も火輪も、相手の霊力に驚いたが、冷静に防御に徹したのであった。
しかし、火輪は防御が、苦手なので、少し傷を負ってしまったのであった。そこから、3枚の写真。脱獄した3人の写真を落とすのであった。そして、1枚が、男の前に落ちると、男はそれを拾うのであった。
『火輪ちゃん、大丈夫?』
『問題ない。かすり傷だから。あいつ、変な能力があるから遠距離の方が良さそうね。朱雀。力を貸して。』
火輪は、朱雀を呼び出し、それを纏うのであった。火輪の新たな能力は、攻防一体であり、遠距離型であった。今までは、近距離を得意としていたので、これを創造したのであった。
そして、朱雀の羽のような火の弾丸を、男に放つのであった。
男も、それに反応し、避けるが、写真に目を奪われていたので、少し傷を負うのであった。
そして、追尾する弾丸を霊力を爆散し、消し去って話すのであった。
『おい、こいつは、どこにいる?』
男は、さっきまでと違い、少し動揺しながら、火輪に話かけているのであった。
『何をいっている。それは、脱獄囚だ。どこにいるかなんて、私達が知りたいくらいだ。』
『そうか。それじゃ、こいつは、誰だ。知っている事があるなら、教えろ。殺さないでやるから。』
『ウフフ、つまらない冗談ね。』
その間に、水貴が、男の背後へ回っていたのであった。そして、氷の剣で、男を切ろうとしていたのであった。
男は、虚を突かれて切られてしまった。水貴には、そう見えていた。
そして、お腹を殴られ、後方へ吹っ飛ぶのであった。
ゴフッゴフッ。
『水貴!!』
水貴は、口から血を吐いていた。
『あぁー、折角、綺麗な顔しているのに、そんな苦痛な顔だと勿体ないぜ。まー、それが、そそる奴もいるがな。で、答える気にはなったか?』
男は、冷静に、そして冷徹に話かけるのであった。
『私は、大丈夫。確かに、変な能力ね。幻術かしら。とても、厄介だわ。』
『そうね。水貴、防御は頼むよ。私も1撃に込めるから。』
『はぁ。残念だ。答えてくれないのか。なら、自分で探すからいいわ。憤怒、力貸せや。』
男が、そう言い放つと、暴力的なほどの霊力が一気に現れるのであった。あまりにも、霊力が高まったので、具現化され、その姿は鬼のようであった。
そして、火輪に向け、それが放たれたのであった。
水貴は、咄嗟に、玄武を呼び出し、完全な防御へ霊力を注ぎ込むのであった、
そして、お互いの霊量がぶつかり合うのであった。
後に残ったのは、氷ドームであった。完全防御に霊力をほとんど注ぎ込む事で、難を逃れたのであった。
『おっ。スゲースゲー。これじゃあ、壊すのは無理そうだな。もう、興味はねーから。じゃーな。』
酒井 悠平は、興味をなくし立ち去るのであった。
火輪は、呆然としていた。何も出来ず、結局、水貴に守られてしまったからだ。
しかし、ショックな事はそれだけではなかった。
『あぁーーーぁぁーーー、火輪。逃げて。』
水貴が、突然叫び出したのだ。すでに、悪夢へと誘い込まれていたのだ。
霊力を使い果たし、自分への防御が皆無となってしまったためだ。
そして、水貴は気を失うのであった。




