招集
俺らが、引っ越しをしている間、火輪は多忙をきわめていた。
そのため、引っ越しパーティーも参加できないのであった。
俺らがBBQを楽しんでいる頃、火輪は、仏霊会に招集されているのであった。
目的は、仏霊会から脱走した3人を捕獲または討伐するためであった。
現在の霊能長である近郷 勇は、早急に五霊葬の招集を呼び掛けていた。
五霊葬とは、5つの異なる自然の力を操る事ができる末裔であり、そこで最も霊力が高い者達の事であった。五霊葬の考えは、昔からある陰陽五行論から成り立って出来ているのであった。
陰陽五行論とは、自然界の全てのものを、木・火・土・金・水に分類するものである。
その5つが、お互いに関係しあい、この世界の均衡を保っているのであった。
そのため、相生・相克という相性の様な関係があるのであった。
木がある事で、火が生まれ、その火が燃える事で灰となり土が生まれた。
土からは金属が現れ、金属の表面に水が生まれ、水が木を育てるといった。お互いがお互いを助けるような関係を相生と言われた。
しかし、これだと、エネルギーが生まれ過ぎてしまうので、お互いに抑えるような関係も存在するのであった。それが、相克であった。
木は、土から養分を摂り、土は水を吸収し、水は火を消した。
そして、火は金属を溶かし、金属は木を破壊するのであった。これにより、過剰になるエネルギーがある所は抑え、自然の秩序を保っているのであった。
そして、近郷 勇が筆頭に、五霊葬の一角として火輪は、呼び出されるのであった。
『はぁー、私もBBQに参加したかったなぁ。はぁ。』
火輪は、独り言をいい溜息が出ていたのだ。気分転換に買ったコーラも、あまり進まなかった。
『何に参加したいって??』
そこに、五霊葬が一人である樹木が話しかけるのであった。
『なんだ。樹木かぁ。』
『何だとは、失礼な。どうしたのさ。火輪が溜息なんて、珍しいじゃない。』
『今日、BBQだったんだ。しかも、先輩の家で...。』
『なんだ。そんな事か。BBQなら、すぐにできるじゃない。私が木を出してあげようか?』
『そうゆう事じゃないんだよ。私は、先輩たちとしたかったんだから。』
『へぇー、火輪がねぇー。あんたが、そこまで人と接するなんて、珍しい。その中に誰か好きな人でもできたの?』
樹木が、そう声をかけると、火輪は、含んでいたコーラを吐き出すのであった。
ブーーーーッ。ゴホゴホッ。ハァー。
『あはは。何、動揺してんのさ。』
『別に、そんなんじゃないんだもん。フン』
『まぁまぁ、私たちもいずれは、後継者を作らなきゃいけないし、別に変な事じゃ、ないんじゃないかな!?』
『ウフフ、火輪ちゃんも、乙女になっちゃたのね。』
話に介入してきたのが、五霊葬が一人である水貴であった。
『水貴ちゃんだー。久しぶりー。あんまり、からかっちゃ駄目だよ。』
『はいはい。からかってないわ。私は、心配なだけよ。
それと、そろそろ始まるから呼びにきたのよ。他の2人も、きちんと来ているわ。』
3人は、仲が悪い訳ではないが、火輪にとっては少し水貴に苦手意識があったのだ。
力の相性が悪いのはあるが、それがなくても水貴は、おそらく強いのであった。
そんな水貴に、昔から子供扱いされるのが、火輪は嫌だったのだ。
そうして、会議場へ移動するのであった。
そこには、近郷 勇と側近の二人の他、招集された五霊葬の二人である土門と金也が座っているのであった。
近郷からの報告によると、まだ脱獄してから何も事件が起きていないようであった。
ただ、すでに潜伏というか滞在している場所は、アーノルド=ヴェルナーを覗いては、割れていたのであった。
アーノルド=ヴェルナーに関しては、常に移動し屈折による光学迷彩をし、追尾を攪乱しているのであった。
何か目的があるのであろうか。
現在の所、3人は各々、久しぶりの外の世界を楽しんでいた。
しかし、いつ何がきっかけで、事件を起こすか分からないので、仏霊会では緊張感が続いているのであった。
『捕獲っていっても、一筋縄にはいかない連中だよね。ここは、皆で一人ずつ捕獲するのが無難だよね。』
そう、樹木が切り出すのであった。
『はっ。そんな悠長でいいのかよ。俺は、一人で十分だ。大人数で一人を狙うのは、性に合わねーしな。』
『金也。今は自分の気持ちで、どうこうの話をしていない。お前が強いのは、分かっているが、良く考えて話なさい。』
『土門の兄いは、固いねー。』
『金也。静かにしろ。痛い目にあいたいのか。』
火輪が、声を上げていた。金也の一番の天敵でもあるので、金也は不満はあるが、渋々黙っているのであった。
『ウフフ、流石、火輪ちゃん。さてさて、どうしましょうか?樹木の案は、良いかもしれないけど。私達が一緒に行動するのは、リスクもあるのよ。お互いに、能力を抑える関係でもあるから。
かといって、相性が良い同士でも、相手次第では、捕獲も厳しいと思うわ。』
『それで、具体案は何だ?もう、決めているのであろう?』
近郷は、水貴に問うのであった。
『ウフフ、私の提案は』




