薫子さんの思い
『薫子さん、それでは、失礼します。貴方を能力で観察させてもらいます。』
俺は、薫子さんへステータスを発動するのであった。
麻生 猛 (あそう たける) 別名 薫子
職業: 幽霊
能力: 接触・・・霊力を高める事で、あらゆるものに触れる事が出来る。また、高めるほど、触れたいと思うものを、近づける事が可能。
悩み:書物の行方。
解決策:捜索。
心情:あらあら、みっちゃん。そんな真剣な目で見られたら...。ポッ。
未来行動(30秒):恥じらい、目を反らすが、また見つめなおす。そして、真剣な顔をし、積極的に協力してくれる。
薫子さんは、頬を赤く染めているのであった。
俺は、見なかった事にし話しかけるのであった。
『薫子さんは、何かの書物を探していたんではないですか?それが、心残りだと思うのですが。』
そう、話すと薫子さんは、真顔になり、顎に手を当てて少し考えるのであった。
『書物...そうだ。私は、それを探してたんだ。はぁーーー、胸のつかえが取れたわ。
みっちゃん、あなたは若いのに凄い子ね。今までの霊媒師は、そんな事も分からなかったのよ。
それで、それは、どこにあるの?』
『えっと...。ちょっと、待ってください。』
(これだけだと、まだ分からないな。やっぱり、困った時のAIしかないか。)
俺は、身体が酷使されるので、あまり使用は控えているのだが、住まいのために奮闘するのであった。
AIを発動すると、ヒントが出て来るのであった。
薫子の書物。この屋敷に、留まっている事から此処にある可能性は高い。
また、薫子の能力の接触で、場所に目星をつけるのが妥当。
(まだ、情報が少ないからか。すぐに、解決する答えではないな。)
俺は、すぐにAIの使用を止め、現状の分かっている事を伝えるのであった。
『へぇー、あたしが物を触れれるのは、能力だったの。得したわね。それで、書物に触れたいと念じればいい訳ね。』
薫子さんは、霊力を高めるのであった。しかし、特に変化が起きないのであった。
『おかしいわね。もっと、やらないと駄目かしら。』
『そしたら、手助けしますので、もう一回やりましょう。』
『あらあら、逞しいわね。生前も聞いた事あるわね。あれは、初めてあの人にあった時だったわ。』
薫子さんは、少し昔の思い出にトリップしているので、無理やり引き戻すのであった。
『いきますよ。薫子さん。』
俺は、ダブル(2倍)を薫子さんへ発動するのであった。
そうすると、窓ガラスがバリーンっと割れて、書物と思われし物体が薫子の手に収まるのであった。
(あぁー、出力が強すぎた。)
『大丈夫ですか?窓も割ってしまって、すみません。』
薫子さんは、そんな事は気にも留めていないのであった。
『あぁー、これよ。これこれ。あたしが求めていたのは。』
『薫子さん、手をケがしていますよ。ガラスの破片も接触してしまったみたいですね。』
俺は、ハンカチを薫子さんへあてるのであった。
『みっちゃん、ありがとう。でも、大丈夫よ。』
そうして、その本を片手に、庭へ出るのであった。
薫子は、おもむろに庭のBBQスペースで、火を起こすのであった。
『あれ、薫子さん。何をしてるんですか?』
『まーちゃん、みて分からないかしら?』
そういうと、書物を火の中へいれ、燃やし始めるのであった。
『えぇーーー。何してんですか?』
『いいのいいの。これが、あたしの心残りだったんだもの。それに、もう必要ないわ。』
心情:あぁー。やっと、安心できる。これで、悔いはないわ。あの人への恋文も皆に見られなくて済む。
そうして、薫子さんは、淡く光り始め、成仏をするのであった。
はずだった....。
『あんれぇー、止まっちゃったじゃない。』
俺たちは、全員が首をかしげるのであった。
俺は、何でだと思い、ステータスを見たのであった。それは、開けてはいけないパンドラの箱であったのだ。
悩み:初恋の人と重ね、クズへ....
解決策:結ばれる。
心情:あぁー、そうか。新しい恋のせいね。霊と人。禁断の恋ってわけ。燃えるわぁーーーーー。
その後、家主へ報告し、住まいを諦めるつもりであったが、そこへ薫子さんが登場し、それを解決してくれるのであった。
家主は、この家の財産のほとんどを築いたのが薫子さんであり、それを無下には出来ないのであった。それと、最後の一言に、ビビってしまったのであろう。
『俺の邪魔するってのか。うちの家系なら、分かってるな。』
かくして、俺達は、住まいを手に入れたのであった。




