おのおのの修行(クズ編)
俺は、雑魚寝を終えて、食堂へ行くのであった。
しかし、そこには、真冬と火輪の姿はなかったのであった。
火輪に関しては、火輪母からの修行でいないとの事だった。
これは、ヤバタからの情報であった。どこから、そんな情報を得ているのかと思ったが、それは明白であった。
他の方に聞いても、誰も答えてくれなかったのだ。火輪信者に取って、俺は異教徒だったのかもしれない。
真冬に至っては、念話で呼びかけても、反応がなかった。何かに巻き込まれてなければいいが....。火輪母もいないので、あのまま拉致されているのであろうと思うのであった。あながち、クズの考えは、間違え出なかったのが珍しい事であった。
拉致でなく、監禁ではあったが....。
しょうがないので、その日は早くに就寝をするのであった。
翌朝になり、まだ日が開ける前の事であった。
『おーい。起きるのじゃ。こら、寝坊は許さんのじゃ。お嬢より命を受け持っておるのじゃ。』
まだ、暗いうちから騒ぎだてるので、目を開けてみると、そこに1匹?1人?の狐娘が居たのであった。
『どうやら、目覚めたみたいじゃの。わっちの名は、火狐のハナビじゃ。早うするのじゃ。』
ハナビは尻尾を振りながら、待っているようだった。
『ん?君が、火輪の代わりか?俺は、九頭 道生だ。宜しく。』
『そうなのじゃ。クズ。もう、皆は鍛錬の時間なのじゃ。お主だけ特別扱いはしないのじゃ。』
『そんな馬鹿な。ヤバタが、こんな早くから起きていないだろ。』
『ヤバタ?あぁー、連れの男か。あやつなら、師範代直々に指導を受けてるぞ。』
(師範代!?とりあえず、スパルタ決定だな。)
俺は、ヤバタに比べたら、マシなのであろうと思うのであった。
道場に着くと、そこには既に門下生が掃除を終え、鍛錬を行っていた。
雰囲気は、凄い圧が感じられるのであった。そして、既に廃人のようになっているヤバタの姿がそこにはあった。
『師範代、遅れてスマンなのじゃ。お主も謝るのじゃ。』
『すみません。遅れました。』
(師範代って、火輪父か。あいかわず、凄い圧を感じるな。)
『ほう。お主の指導はハナビがやるのか。精々、気を付けるんだな。後、明日の遅刻は許さんぞ。皆で掃除をするのは掟だからな。この儂だって、一緒に行っておるのだから。』
そう言い終わると、道場の端へ移動するのであった。
『それでは、始めるぞ。わっちの事は、ハナビ先生とでも呼ぶのじゃ。まず、お主は何をしたいのじゃ??』
俺は、処理速度2条を仮にAIと呼んでいた。これにより、鍛錬の解決案を導き出していた。
一番必要なのは、霊力の向上であった。AIは便利だが、使用時間が極端に短いのが難点であるためだ。限界まで使えないので、今の所5分の使用が限度だろう。
(何かあった時のため、残り5分は残して置かないとな。また、病院送りになってしまうからな。)
しかし、霊力のコントロールは、AIにより一度試すと、感覚を掴めるようになっていた。
そのおかげで、前よりステータスの能力は各段に上がっていたのであった。
『霊力っていうより、霊容量を大きくしたいのですが。』
『ん!?霊容量???あぁー、あれね。あれ。』
ハナビ先生は、しどろもどろになりながら、冷や汗をかいているのであった。
何だが、様子がおかしいので、ステータスを使ってみるのであった。
火狐のハナビ
職業: 霊獣
能力:炎上・・・能力など色々な物(者)を効果を向上させる。
悩み:霊容量とは、なんぞ?
解決策:師範代へ報告・連絡・相談。
心情:霊容量??って、何じゃそれ?霊力と違うのか?
未来行動(30秒):狼狽え、冷や汗がでて動揺するが、師範代が目に入り、聞きにいく。そして、げんこつをもらってしまう。
向上したステータスの能力で見ると、どうやらハナビには悲惨な未来が待っているようであった。未来行動が、30秒に上昇したのであった。
『ちょっと、待ってるのじゃ。』
そして、未来行動通り、げんこつを貰い、涙目になり戻って来るのであった。
『グスン。分かったのじゃ。霊容量を上げるには②パターンあるみたいなのじゃ。
1つは、限界まで使い切って、容量以上まで使用する事で大きくするのじゃ。でも、これは、悪行で今は廃止されているのじゃ。
っていうより、何人もそれを行って死んだ人が多かったみたいなのじゃ。まー馬鹿がやる手段だぞ。
そして、2つ目が、まったく逆。霊力は一切使わない方法なのじゃ。満タンの霊容量に、さらに霊力を補充して無理やり容量を拡げるのじゃ。今回は、これを行う予定じゃ。』
(ってか、一つ目って、悪行だったのか。それにしても、知らないと思うが、目の前に、その馬鹿がおりますよ。)
『霊力が減らないのは、いいけど、無理やり拡げて平気なのか?』
『大丈夫じゃ。鍛錬がきついのは、当たり前なのじゃ。』
『まー、そうなんだけど....。』
きついと聞き、俺の頭によぎったのは、不安でしかなかった。
『クズ。そしたら、ここでの修業は適さない。食堂へ向かうのじゃ。』
『食堂!?』
『そうじゃ、手っ取り早く霊力を補充するのは、食べ物からが一番なのじゃー。』
そう言われ、食堂へ行き、テーブルで待っていると、ハナビは大量のジョッキを抱えてくるのであった。
『これは?』
『これは、幻の霊力向上汁。通称:毒汁じゃ。名前の通り、苦み・えぐみ・臭みの3冠王を取ったと言われるドリンクなのじゃ。最近では、スムージーっていうのじゃ。』
飲む前から、異臭がし発酵してるかのように、ポコポコと表面が動いており、毒汁の名に相応しい一品であった。
(これを、飲めってか....。スムージーとか言っている場合じゃないだろ。)
『ササっと、飲んでいくのじゃ。漢じゃろ。』
俺は、覚悟を決めて、口に含んでみるのであった。
(このドロッとした舌ざわり、鼻へ抜ける刺激臭...。)
人が口にしてはいけないものだと思うと、意識が朦朧とするのであった。
(きつい鍛錬と言ってたのは、こういう事か...。)
その後、根気よく続け、クルーズへ向かう前日まで、繰り返すのであった。
途中で心が折れそうになっても、まったく問題は起きなかった。
いや、問題はあったが...。
火輪信者達に羽交い絞めにされ、強制的に服用は続けさせらたのであった
読んで頂いている方、ありがとうございます。
もし、続きも読みたいと思えたら、ブクマと評価していただくと、助かります。
また、初めて書いたものなので、小説家になろうの使い方が分かっていません。
何か指摘があれば、お願いします。より読みやすく、改善を試みたいので、ご協力お願いいたします。