酒井 悠平
バーン!!
俺の頭に衝撃が走った。それ以降、ここに来るまでの記憶がない。
ここは、見慣れた場所であった。
だが、今は見る立ち位置が真逆であったが....。
俺、酒井 悠平は、孤児院で育った。
親の顔は、知らない。ただ、覚えているのは、園長や一緒に育った兄弟達の亡骸だけだ。
ある日、孤児院で大量虐殺事件が起きた。しかし、それは、表沙汰になることがなく、もみ消されたのであった。俺は、忘れないアイツの顔を。
虐殺がされた日、皆でかくれんぼをしていた事で、俺は助かる事が出来たのだった。
奴が次々と、兄弟や園長を殺していく。
しかし、俺は動くことが出来なかった。恐怖に支配されていた。
その時は、見つからないように願うばかりであった。奴が去ったあとは、凄惨な現場となっていた。
俺は、自分自身に怒りを感じていた。しかし、無情にも何も出来なかった...。
皆の亡骸を埋める事は出来ないので、1人1人の身体の一部を集めて埋葬することにしたのだ。
しかし、心は晴れない。むしろ、どうしようもない怒りのみ湧いてくるのであった。
俺は、孤児院を後にした。そこからは、生きていくために、何でもやった。
窃盗、空き巣、恐喝などなど。
気が付いたら、16歳になっていた。
俺は、普通に暮らせるようになると、復讐のために、力を欲すようになった。
しかし、力も金もない。
ある日、見かけてしまったのだ、人外の力の存在を。
俺は、それを、どうしても手に入れたかった。
そして、組織へ近づくのであった。
案外、簡単に入れたが、信用を得るまで、長い時間がかかってしまった。
気が付くと20歳になり、4年も経っていた。
やっと、ボスに会えたが...。まだ、能力を貰えなかった。
まだ、信用が足りないのか??我慢だ。我慢して頑張ろう。
そこから、2年が経った頃だ。
俺は聞いてしまった。いや、ボスの事だ。あえて、聞こえるように言ったのかもしれない。
『ククク、愚かですね。才能がないから、無理なのに、良く働いてくれる。しかし、残念だ。彼に能力があれば、より使える駒であったのに。まー、ピエロとしては愉快だがな。』
しかし、俺は、諦めない。なぜなら、もう一つ可能性があるのを知っているからだ。
奴らが、無理やり人体実験をしている事は知っていた。確率は、かなり低いが、中には能力を見出される者がいた。
俺は、これだ!と思った。
アイツを絶対、許さない。それまでは、死ねない。死にたくない。
俺は出荷されていた。身体中に、苦痛が走るはずだが、俺には何も感じない。
孤児院を出た時から、もう何も感じる事はなくなっていた。
あるのは、アイツへの怒りだ。自分自身への怒りだ。復讐心だ。
そして、今は処分場へ、捨てられている。
クソクソクソクソくそくそくsくそksjkすkしjkじゅjskすくそーーーーー。
途中から、言葉に出来なかった。
その時、奴が訪れた。
『お主、力が欲しいか?その怒り、素晴らしいな。俺は、今までそこまで、憎悪にまみれ、怒りを放出している奴は初めて見たぞ。』
容姿が化け物だったが、俺にとっては、そんな事は関係なかった。
ただただ、力が欲しいだけだ。
『よ..こせ。はや.く...力をぉーーーー。』
『ガハハハハハ、いいだろう。お前となら、上手くやれそうだ。お主を我の主と認めようではないか。精々、俺様に食われないように頑張るんだな。』
これが、俺と憤怒のサタンの出会いであった。