①冬峰 真琴
食堂へ移動する途中で、少々困った事が起きた。
明松 火輪が、冴えない先輩と一緒に歩いていると、一部で騒ぎだしていた。
彼女は、校内でかなり人気があるらしく、男女ともにファンがいるらしい。モデルのような体に、性格も落ち着いているクールビューティーらしい・・・・
ステータスで、心情駄々洩れである火輪を知っている俺は、とても共感はできなかった。
まーそれでも、彼女が美人なのは変わりなく、大学で普通に過ごしているモブ人間の俺と一緒にいると、嫌でも目立ってしまう。
周りのファンたちのステータスを少し覗くと、怖いものであった。
心情:火輪様ーーーーーーーーーーーーーーー。なんで?
心情:あいつなら、俺でもいけんじゃね!?
心情:隣を歩くなんて、許さない‐‐‐‐‐。
心情:コロス。コロス。コルォーーーーーーー
などなど多々の非難があるが、視たくもないので避けるようにした。
そんなこんなで、現在
火輪は、牛丼に集中している。その間に、 冬峰 真琴 と話をしようと思う。
『あの、なんかごめんね。連れまわしちゃったりして。俺で話は大丈夫??怖くなければ、少し話せるかな?』
『大丈夫です。私の声を聴いてくれたのは、お二人だけですし。それに、私を襲った犯人は何か変でした。その人も、幽霊が見えていたかもしれません。誰もいない所に、目を向けて話しかけていました。死んでから4年間、忘れる事が出来ないんです。あの気持ち悪さが・・・・・。』
心情:怖い怖い怖い・・・・・ブルブル。
真琴は、両手で頭を抱えながら震えていた。
『無理しなくていいよ。少しずつでいいから。』
『・・・・・・・・・・大丈夫です。それに、お腹を刺された後...朦朧とする中、あの人の右肩には、確かに人のような顔があったんです。黒い靄がかかって詳しくは分からなかったのですが...。』
真琴は、腹部を抑えながら、ハァハァと苦しそうだ。当時の事を思い出しているのであろう。
『ふーーーん。それは、少し厄介かもね。』
火輪は、食事を終え話に入ってきた。ほっぺに、ご飯粒を付けているので、やはり残念美人ではあるが・・・・。
『3パターンあるんだけど、
①悪霊が、人間に取りついている。
②私たちみたいに霊が見える人が、霊を使役している。
③その二つの両方同時かな。
話を聞くに、②か③だけど、③だとかなり厄介だよ。1人の人間に、二つの魂が存在するってのは、
霊力が単純に2倍だし、元々、霊力が高い人×悪霊なら、それ以上だね。』
心情:これって、B~Sランクなんだよな。死神案件かもしれないけど、どうしようかなー。
(ランクって、なんだよ。明らかにB~Sとかヤバいだろ。こちとら素人よ。真琴ちゃんには悪いけど、断って死神に任せようではないか。)
『とりあえず、もう少し調べてみよう。早く解決してあげたいし、確認する前から断るのもね。無理なら死神が解決してくれるように掛け合ってみるから。』
心情:まっ、こっちは二人もいるし何とかなるでしょ。
『ありがとうございます。』
真琴は、涙を浮かばせながら、礼をいった。
そして俺も心とは裏腹に、『任せろ』と答えるのであった。
犯人を追うにしても、もう4年も前に起きた事件であり、どこにも足がかりがなかった。
そこで、事件現場へやってきた。
火輪がいうには、霊力の跡が残ってる可能性があるのだと。
真琴に連れられて、電車に乗り終点に着いた。真琴も、降りるのは事件以来らしく土地勘がなかった。襲われた日は、電車に乗る前から嫌な感じがして、移動の際も、ずっと見られている感じがていたようだ。地元の駅についても降りることが出来なかったみたいだ。
迷っているうちに、電車が終点についてしまったので、急いで駅から逃げたのだった。
『終点で降りたのは、覚えてるのですが...そこから、どう逃げたのか覚えていなくて...。』
『それなら、大丈夫だよ。移動中にスマホで事件について調べておいた。』
『おっ、先輩もやるじゃん。』
スマホを頼りに、事件現場へ行くと、昼でも人通りが少なそうな所であった。夕暮れ時であり、あたりは、大分暗くなり始めていた。
『どうだ?何か思い出したこととかある?』
『混乱していたので、特にないんですが・・・・・・。電車にのった時から、なんか見られてるような感じが・・・・・。』
『ねぇー、早くこっちにきて。』と火輪が呼んだ。
呼ぶ方へ行くと、目を疑った。
なぜなら
そこには真琴が立っていた。