極楽浄土 ホトケの湯
憤怒のサタンが立ち去ると、そこには爺さんの焼死体しか残っていなかった。
『終わった。...のか。』
『終わったの。』
その言葉で、皆が安堵に着くのであった。
『そういえば、最後に何をしたんですか?』
俺は、信さんに問いかけるのであった。
『あれかの。あれは、サポートしただけなのじゃ。模倣の能力でな。お主のダブルと山端のジャミングを真似したに過ぎん。』
『それで、相手を無力化までは分かるのですが、どうやって真冬と火輪は攻撃が相手へ通ったのですか?あの時、爺さん周りにはジャミングが発動してたはずですが。』
『ヒョッヒョッヒョッ。いい観察眼を持っているの。お主のダブルは、そのままヤバタへサポートで使用したが、ジャミングは違うのじゃ。儂は、火輪と猫の嬢ちゃんの身体の周りだけをジャミングしたのだよ。ヤバタのジャミングに干渉されない保護膜を作った感じかの。』
『へぇー、俺の能力って、そんな風にも使えるんだな。』
『まだ、山端には無理じゃの。霊力のコントロールをもっと鍛錬しなさい。』
『うへぇー、ばぁーさん...信様はきついなぁー。』
『馬鹿者。信様に口が過ぎるぞ。』
ガツンっと、火輪がヤバタを度付くのであった。
しかし、ヤバタにはご褒美になってしまった。
その後、応援が遅れてやってきたので、事後処理はお願いする事になった。
俺は、コマリの件について話そうとしたが、火輪に止められたのであった。
『休むのも、大事だよ。それに、焦っても何処にコマリ先輩の情報があるの?一度、頭を冷やして、考えた方がいいよ。』
『そうじゃの。それに4番こと、私の姉 神楽 心についても話さなくてはいけないからの。』
俺は、正論を言われ何も言い返せなかったので、素直に従うのであった。
皆も疲れがでていたので、それに賛成し、休息後に霊能長室へ集合する事となった。
そして、現在。
俺は、極楽浄土 ホトケの湯に浸かっているのであった。
確かに、ここ最近、色々な事が重なっていた。
緊張が続いており、冷静になれていなかった事を悔いるのであった。
(全て、相手の手の平で踊っているだけだったな。それが、相手の能力なら、どうすればいいのだろうか?ブクブクブク)
ブハァッ。
(駄目だな。今は、何も良い案がでない。何も考えず、ちょっと休むことにしよう。)
そうして、ボーっと浸かっていると、ヤバタと守が入って来るのであった。
『認めてくれるんですよね?約束しましたよね。』
『考えるって言っただけだ。約束はしてない。そもそも、朱美の気持ちを確かめたのか?』
『朱美ちゃんが良ければ良いんですね!?』
『それと、これとは話が違うんだよ。』
2人は、ギャアギャアと騒ぎながら入って来るのであった。
『しつこいなーーー。あっち行ってろ。俺は、久しぶりにクズに会ったから話に来ただけだ。お前に構っている暇はない。シッシッ!』
『酷いなー。』
2人は、早々に身体を洗うと、俺の横に入って来るのであった。
『お前ら、意外と仲いいのな。』
『仲良くねぇー。ただのストーカーだ。』
『まったく、酷いなー。シスコンもほどほどにして下さいよ。』
『まぁまぁ、落ち着けって。』
そして、一息つくのであった。
『なぁー、クズ。さっき火輪様が、コマリの件がどうとか言ってたよな!?あれって、どういう意味だ。』
そう聞かれ、俺は困ってしまうのであった。コマリの件について、どこまで話して良いか分からなかったのだ。そんな表情を読み通ったのか、ヤバタが口を開くのであった。
『そっか。やっぱ、今はいいわ。とりあえず、休もう。火輪様もそう言ってたしな。』
『そうそう。休みましょうよ。っで、兄さんは、なんで火輪さんの事をそんなに崇拝してるんですか?』
『おっ、守も火輪様について聞きたいようだな。今日は、兄さんって呼ばれてもスルーしといてやるよ。』
そこから、ヤバタはスイッチが入り、熱く語るのであった。
一方、其の頃。
『ハッ。ハックシュン。ん、誰かが噂しているな。』
火輪がそう話すのであった。
『そうにゃね。どうせ、ヤバタさんにゃの。』
真冬は、別に入らなくても問題はないが、気分的に入りたいとの事だった。
『それにしても、真冬ちゃん。見ないうちに、強くなったね。』
『そんにゃ事にゃいの。私は、クズさんの霊力に関与するから。クズさんのおかげでもあるにゃ。』
『ふーん。そうなんだ。そういえば、獣化って人型からだけでなく、動物型ってのかな。それも出来るんだね。』
『そうにゃの。こないだ騒ぎを起こしたのが完全獣化にゃんだけど。まだ、コントロールが難しいそうにゃの。後は、憑依獣化があるんだけど、まだ恥ずかしいし...。クズさんは、たぶん意味が分かってにゃいのよ。』
『あぁー、先輩ならあり得るね。こないだも、霊力の意味も分かってなかったし。』
『実は、こにゃいだの騒ぎの後、また今度ねって、言われたにゃ。次までに決心しとかにゃいと....。』
真冬と火輪の間に、しばらく沈黙が流れるのであった。
『あぁーんもぉーーー。先輩ったら。後で説教だね。』
クズは、後に幽体との合意のもと憑依する事の意味を知るのであった。
幽体は、実態がないため魂と魂が触れ合うのは、人でいう性行為に近いという事を...。