競馬場へ行こう。
週末、約束である競馬場へ来ていた。俺と真冬は、先に着いていた。
そこで、先に新聞だけ手に入れて、眺めていた。
『クズさん、そんな真剣な顔も出来るんですね。』
真冬は、今は猫の状態でいて、ケージの中から念話をしてきたのであった。
『ふふふ、久々だしな。軍資金もあるからな。』
『そんな新聞と睨めっこするより、馬をステータスでみた方が早いのでは??』
『それじゃあ、面白くないだろ。自分の考えや運とかで頑張って当てたいんだよ。それに、前みたいにお金がない訳じゃないからね。』
『ふーん、そんなもんなのかー。』
『真冬もやってみるか?』
『私は、いいです。天気もいいし、この辺を散歩でもしようかな。』
そういって、ゲージからだし、散歩にいってしまった。確かに、今日は天気も良く、のんびりするには良い日だった。
俺が、新聞と睨めっこをしていると、ニキが先に現れるのであった。
『おう、クズ。とうとう来たな。宝塚記念が。』
そう、ニキも意外とギャンブルが好きなのだ。元々、俺が競馬新聞を大学で見ていた事から、話をかけられ友達になったのであった。
ニキと談話していると、遅れて火輪が現れるのであった。
『おっはよ。あれ??ニキ先輩もいるんですね。おはようございます。』
『おはよう。火輪ちゃん。まー、クズとは、賞レースには、必ずね。』
『そうそう、それに俺よりもニキの方が説明が上手いからな。』
そう話すと、まず場内へ移動するのであった。
『凄い熱気!!』
『そうだろ。まーやらなくても体感するだけでも、面白いよ。最近は、若い人多いし、デートでくる人もいるからね。』
そういい、ニキは、他にも色々と説明してくれていた。
(やっぱ、ニキに任せておけば平気だな。物知りだし、トーク力もあるからな。)
その間に、俺は買う馬券を決めていくのであった。
まだ、始まるまで時間があるので、お花を摘みに行ってくると伝えると、ニキと火輪からポカーンとされてしまった。素直にトイレに行くと伝えればいいだけだが、ふざけてみたら外してしまった。
ついでに、買い出しも頼まれので、何にしようか考えつつ、トイレに向かうのであった。
トイレに入ろうとすると、俺の知っている人が出てくる所であった。
気のせいであれば、別にいいのだが、随分とガラの悪そうな奴らと一緒にいた。
相手が気が付かなかったので、そのまま大きい方の部屋に入り、ダブルを使用するのであった。
1人は、奴を尾行することにした。以前と雰囲気の違いや人相からイメージが、大分かけ離れていた。しかし、ステータスで確認すると、どうやら間違いないらしい。
そこに居たのは、 酒井 悠平だった。
酒井 悠平 (22) さかい ゆうへい
職業: 大学生・売人
能力:無
悩み:上納金
解決策:集金
心情:ったく。こいつらも、もう少し考えて行動しろよ。脳筋どもが。
未来行動:3秒後、場外の出口へ向かう。
俺が見たのは、同じ人かと勘違いしてしまうほどであった。あんなのと付き合うコマリは、平気なのであろうかと、心配であった。
とりあえず、このまま尾行し、バレそうになればダブルを解除し逃げる事とした。
もう一人は、買い出しを済ませ、純粋に楽しんでもらおう。火輪の近くであれば、安全だしなと考えた。
前の失敗を生かし、俺は直ぐに真冬へ念話をする事にした。
『真冬、すぐに来て欲しい。手伝って欲しい事があるんだ。』
『......。』
『真冬さぁーん!聞こえてるのか?』
『ん。にゃーーーーん。どしたの?』
どうやら、真冬は寝ていたようだった。いきなり、起こされたので眠そうである。
『寝ている所、申し訳ないんだけど、すぐに来て欲しい。少し調べたいことがあるんだ。』
そう伝え数分後、真冬と合流する事ができた。幸いなことに、酒井は、屋台でガラの悪い面子と昼呑みをしているようだった。あまり近くに行くと、怪しまれるので、今回は真冬に近くに行ってもらう事にした。
そうして、真冬が近くの木まで行き、その上から会話を聞き取って、念話をしてくれるのであった。
『特にたいした話はしてないの。競馬の予想で盛り上がってるかな。』
『何??それは、少し面白そうだな。』
『クズさん、辞めてもいいかな。』
『ごめん。ごめん。続けて変わった事があれば教えてくれ。ステータスでは、結構危ない奴なんだ。』
『急に何で、探偵みたいな事をやり始めたの?』
『その中に1人、イケメンで体躯も普通の奴がいるだろ。そいつが友達の彼氏なんだよ。』
『へー、見る目ないなー。全然タイプじゃない。軽薄そうだし。』
『まー、それぞれタイプがあるんだしさ。見る目ないのは、そうかもしれないけど。』
そんな会話をしていると、急に真冬が遮って念話をするのであった。
『クズさん、ちょっと待って。移動するみたい。』
俺も遠目で確認すると、酒井がお会計をしていた。そして、仲間の1人を置いて、タクシーでどこかへ向かうようだった。
『どうする?後をつけるの?』
『いや、残った奴に尾行を切り替えよう。どうせ後で、合流するだろう。』
そう言い、俺は尾行を切り替えた。
一応、ステータスを確認したが、何も考えていないようだった。
残った男は、また競馬場へ戻っていった。彼は、何人か30分置きに会っては、お互いに封筒を交換していた。心情をみるに、おそらく金銭のやり取りはしているようだった。
(ほんと、特に何も考えてないな。酒井に脳筋と言われてるのもわかるな。でも、次で最後みたいだな。)
しかし、その最後が問題があった。少しやつれた様子はあるが、その姿はコマリであった。
次回、月曜に更新します。