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明松 火輪

朝起きて、クズは左手首をみて確信する。昨日は、夢じゃなかったのだと。

とりあえず、朝の講義に遅れないように準備をする。いつもは、朝が苦手で遅刻しそうになるが、今日は昨日の事もあり目がさえていた。


いつものように、電車にのり大学へ向かう。向かう途中で、能力の確認をしていて気付いた事がある。あんまり、人が多いと情報量が多すぎて困る事が判明した。特に、満員電車は確認どころではなかったが、目に止まったステータスがあった。


心情:誰か、助けて!!!お願い!


名前は、クズでも、こんなの見たら助けない訳にいかなかった。

そう思い、声をあげた。

『『おい。やめな(やめろよ)』』

どうやら助けようとしたのは、俺だけでなかったらしい。しかし、助かった。1人だと少し不安だからな。

ステータスの方に目を向けると、そこには1人のスポーティーな格好した女の子と、女子高生の格好をした女の子の幽霊が立っていた。


それから電車からホームに降りた。周りの人からは、見えない幽霊に対して二人が声を出していたので、奇妙な目でみられたが、スポーティーな女の子は、特に気にしていないようだ。


スポーティーな格好した女の子はキャップをかぶり、タンクトップに短パン・スニーカーで露出多めの服装をしている。溌溂とした印象だ。健康美人だが、負けん気が強そうだ。


明松 火輪  (18) かがり ひのわ

職業:大学生・霊能者

能力:不明

悩み:空腹

解決策:食事

心情:はぁーー、お腹すいた。その前に、この子が見えて声をかけてるって事は同業者だよな。


女子高生の幽霊の女の子

小動物みたいで、可愛く幽霊でなければ・・・・。おっと、さすがにね。幽霊でもJKですし。


冬峰 真琴 (旧年16歳) フユミネ マコト

職業:幽霊

能力:なし

悩み:ストーカーによる恐怖で、成仏できないでいる。

解決策:対象の除外

心情:やっと、通じた。誰もずっと助けてくれなかったのに。



『なんだ。同業者か。この子の案件は私が受け持つよ。』


悩みを見ると、男では、より恐怖を感じてしまうであろうと思い、この場は任してしまおうと思う。

決して、面倒くさいとか、もっと簡単そうなのからとかではないぞ。ザワザワ


『どうぞ。どうぞ。明松さんでやってください。それじゃ、私はこれで。』っと言った瞬間、明松さんは驚いた顔をした。


『なんで、私の名前を...』

彼女は、かなり警戒しているようだ。

『??、書いてあるじゃないですか?明松 火輪さんでしょ?』

『もしかしてそれが、あなたの能力なの?』

心情:これは、結構、便利な能力っぽいぞ。見た目が頼りなさそうだったからアレだが。私とは相性がいいかもしれない。

『いや、今回は二人でやろう。その方が早そうだ。』

『えっ。大丈夫です。私は役に立ちませんよ。まだ、やったこともないですし。素人ですから。なので失礼しますね。』(早く離脱せねば。ヤバい気がする)

っと恐縮しつつ、踵をかえそうとしたが既に遅かった。俺の両肩は、彼女に強くがっつりと、つかまれていた。


ホームで話し込むのは、長くなりそうなので、場所を移動することになった。


そして今、俺の大学の中庭にいる。いや、俺たちのってのが正解だった。

なんと残念なことに、明松さんも同じ大学であった。それもそのはずだ。あの電車に乗っていく大学生なら同じ大学の可能性なんて高いに決まっているのに・・・。学科違ったのは不幸中の幸いだ。


『へぇーー。先輩だったんだー。これから宜しくー。』

心情:くくく、なんて便利な。もう逃げたくても逃げれないぞ。

彼女は、ニタァーっとほくそ笑んでいる。


『あぁー宜しく、明松さん。俺は、九頭 道生。経済学部2年だ。』

俺は、顔が少し引きつっていたが答えていった。

『私は、明松 火輪。心理学部1年。火輪でいいよ。ひ・の・わ。今回は、一緒にやるんだし、堅苦しいのは嫌なの。で、あんたは?』

『・・・・・・冬峰 真琴。』

駅から、ここまで、ついてきてもらっていた。

(ってか、幽霊でも声が聞こえるんかい!!あの適当な死神め。ちゃんと説明していけよ。)

『あのさ、なんで成仏できないの?』

火輪は、単刀直入で聞いていた。

あまりにも唐突だし、デリケートな話にもなってくるので火輪の話をとめ、ステータスに書いてある事を伝えた。

『へぇ、便利な能力ね』

『いやいや、むしろこういう仕事の人は、同じ能力があると思っていたよ』


それから、まず真琴の話を聞く前に、お互いの能力を話し合うことにした。一緒に、やっていく上で、ある程度、信頼関係がないと困るしな。


『先に、私の能力を伝えるね。能力は、火葬。そのままかな。悪霊を焼き払うし、防御も兼ねてるかな。特に、害のない霊に対しては、そんなに役立たないよ。でも、悪霊や敵意から普通の霊を守る事はできるかな。』

『俺の能力は、なんていうのか、見た人のステータスが分かるってことかな。氏名・職業・悩み・解決策とかが分かるかな。戦闘は、まったくもって無理だな。』

(心情が分かるのは、伏せておこう。あまり、思っていることを覗かれるのはいい気分じゃないしな。)

『ほんと、便利な能力ね。私との相性もいいしね。ボディーガードにはピッタリでしょ!私は!!』

心情:嘘!?なにその能力?聞いた事がないんだけど。悩み・解決策も分かって、なんて効率的なの。成仏する方法が分かるのに何か月もかかる事があるのに。これは、絶対逃がさん。どんどん、解決して、お金もガッポガッポじゃーー。ウヒヒヒヒヒーーー。


俺は、あきれつつも戦闘に対して無能なのは自覚しているので、心情の事は見なかったことにした。

『そういえば、昨日までは幽霊の声が聞こえなかったけど、さっき急に聞こえるようになったのは、火輪の能力か?』

『そんなことも知らないの?せっかくの能力を持っていても宝の持ち腐れね。ただ単に霊力があがってきているんでしょ。最初は、視る事ができるようになり、聞こえ、そして触れれるようになる。その順に出来るようになるんだよ。普通は、昨日今日で、急に視る事から聞こえるようにはならないんだけどね。たぶん、クズ先輩の能力に起因しているかもね。』


言い方が、少し悪意があるよな・・・クズと呼んでいるのはスルーしておこう。とりあえず、俺の能力はステータスと呼ぶことにした。また、 火輪を見ていると、ステータスが更新されていた。どうやら、知識・情報を得る事で更新するようだ。


明松 火輪  (18) かがり ひのわ

職業:心理学部の大学生・霊能者

能力:火葬

悩み:空腹(極度)

解決策:牛丼

心情:とりあえず、食堂に移動して、ご飯を食べながらにしたいな。


『なるほど。色々、ありがとう。お礼にご飯を御馳走するよ。そこで、真琴ちゃんの話を聞こう。』

心情:せんぱーい。神タイミングだよ。しかも、奢ってくれるなんてラッキー。金もなくて、さえない男だと思って、ごめんなさーい♪


火輪の外面と内面のギャップを感じつつ、悪い奴ではないが、痛い奴だなーって思うのであった。


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