霊力解禁
真冬と共に、仏霊会に来ていた。理由は、健診と支払いのためだ。
この間の緊急入院が想像以上に、お金がかかっていた。それでも、事件の報酬や手当てを入れてもらい、安くはなっているらしい。
まー、悪い話だけではなかった。穂乃果先生から、やっと許可が下りたのであった。
『九頭くん。良く頑張りましたね。どうやら、完全に霊力は回復していますよ。無理な事は今後しないようにね。あと、言いそびれてましたが、助けて頂き、ありがとうございました。』
『いえいえ、僕は何も出来なかったんですよ。だから、少しでも力を付けたくて。もちろん、無理はしないですよ。今度は、患者でなく差し入れでも持って来ますね。』
診療室から出ていきながら、試しにステータスを使用してみるのであった。
神楽 穂乃果 /マリア=ダルク (25)
職業: 霊能医
能力:治癒(霊力の回復、霊力による損傷の回復促進、精神安定)
悩み:交遊関係の希薄
解決策:積極的なコミュニケーション
心情:会いに来てくれるんだ。嬉しいな。
未来行動:3秒後に、連絡先を渡そうと思うが諦める。
悪意:無
信頼度:60%
その瞬間、すぐに、扉を開き連絡先を交換するのであった。この時は、能力が向上している事は眼中に入っていなかったのであった。
その後、修練場へ向かった。真冬には先に行ってもらっていたので、ここで集合となっていた。
『クズさん、何か良いことでもありました?』
真冬は、念話で話しかけてきていた。
『えっ。えーと。そりゃ、やっと鍛練が出来るしさ…。』
どうやら、顔が綻んでいたみたいだ。また、怖い思いもしたくないので、気を引き締めるのであった。
『さっそく、始めようか。まずは、この前のダブルをおさらいしてもいいか?』
真冬は、頷き人型から部分獣化した。
(えーっと、久しぶりだな。とりあえず、イメージが大事だったな。こんなかな。)
『クズさん!!わざとかにゃ?』
真冬は、またも豊満になり出るところは出て、くびれる所はくびれて妖艶になっていた。
『いや、この間のイメージが...。印象的で...。ごめんなさい。』
『真面目にやりにゃさい!!』
俺は、気を取り直して、もう一度ダブルをかけると、今度は成功したようだった。
『今度は、平気みたいだにゃ。そういえば、霊力は平気かにゃ?あの時、クズさんは、だいぶ力尽きてたにゃ。』
『あっ、そうだったな。今回は全然平気だな。まだまだ、余力があるみたいだ。とりあえず、ダブルも獣化も解除して次はステータスを確認してみよう。』
『はいにゃ。』
真冬 まふゆ
職業:守護霊(獣)
能力:獣化(部分獣化・完全獣化・憑依獣化)
部分獣化・・・身体の一部分を獣化し、身体能力を上げる。
完全獣化・・・部分獣化から完全に獣化することで、身体能力は爆発的に上がるが。知能が低下し主従関係がしっかりしていないと暴走することがあり。
憑依獣化・・・主従関係がある者と憑依することで、自分の能力を貸す事ができる。
悩み:クズさんの行動
解決策:教育
心情:また、気絶とかないよね。大丈夫かな。
未来行動:3秒後も見つめている。
悪意:無
信頼度:85%
(これは、能力が発展しているのかが分からないな。茉莉花に見せてもらったから更新されているのか、気絶する前の情報なのか?やっぱり、あの時ほど情報は出てこないな。霊力に依存ってことか。真冬以外にも確認してみるべきだな。あとで、誰かで試そう。)
『まだ、こちらは詳しくは分からないな。次は、真冬の能力を確認しよう。試しに、自分の思った所から獣化できるかも試しながらやってくれないか。』
『はいにゃの。徐々に、獣化を進めていくにゃ。にゃにかあったら、ダブルで力を半分に抑えて欲しいのにゃ。』
そう、真冬に言われて初めて気が付くのであった。2倍にできるなら1/2倍も可能であることに....。
真冬は、獣化をし始めた。まず、目から耳そして爪と、尻尾と獣化していく。
『ここまでは、いつも通りで平気そうだな。それに、思った部分が獣化できるのは、憑依獣化の事を考えると便利だな。それじゃあ、このまま、進めてくれ。』
『分かったにゃ。』
そう返事をしていくと、どんどん獣化していった。見た目は、猫というより、もう豹であった。
『グルル、クズさん。これから、まだまだ獣化できそうなの。まだ、理性と本能が半々って感じだけど、どうする?』
『俺を信じてくれ。必ず、抑えてやるから。』
真冬は、その声に答え、さらに獣化を進めるのであった。
『ガァァアァーー、ゴォルルル。』
完全獣化した真冬は、もう豹どころでなく、ファンタジーで出てくるベヒーモスであった。
このような事態になり、修練場は、大騒ぎになっていた。それもそのはずだ。ベヒモス真冬いやマヒュモスとでも呼ぼう。俺の想像の範疇を超えていた。しばらくすると、修練場は、俺とマヒュモスのみになっていた。
(あらぁーー想像以上な変化なんですけど、自信をもって抑えてやるって言ったけど、大丈夫かな....。)
俺は、恐れつつ真冬に問いかけるのであった。
『真冬さん、もう獣化を解いてもいいですよーーー。』
しかし、何も反応がない。反応がないというより、何か訴えかけているような気がしたので、ダブルをかけるよりステータスを発動したのであった。
真冬 まふゆ (完全獣化体)
職業:守護霊(獣)
能力:獣化(部分獣化・完全獣化・憑依獣化)
部分獣化・・・身体の一部分を獣化し、身体能力を上げる。
完全獣化・・・部分獣化から完全に獣化することで、身体能力は爆発的に上がるが。理性が低下し主従関係がしっかりしていないと暴走することがあり。
憑依獣化・・・主従関係がある者と憑依することで、自分の能力を貸す事ができる。
悩み:獣化の暴走。
解決策:獣化の解除。
心情:クズさん、逃げて。戻る事が出来ないの。このままだと何をするか分からない。
未来行動:3秒後、何かに執着しゴロゴロしている。
悪意:無
信頼度:85%
(ヤバい。ヤバい。ヤバい。考えろ。とりあえず、念のため購入しておいた。これを投げて時間を稼ごう。)
そして、俺は反対方向へ投げるのであった。
マヒュモスは、それに反応してくれたようだった。そう、投げたものは、マタタビであった。
(一応、猫なんだな。今のうち、考えるんだ。どうすれば....。理性の低下....。
そうだ。真冬が言ってたじゃないか。理性がなくなって闘争心や本能が強くなる感覚はある。なら、バランスを崩せばいいんだ。
前から考えていて、怖くて出来なかったが、やるしかない。幸い、心情を見るに理性は0じゃない。)
そして、俺は、ダブルをイメージしてマヒュモスへ発動した。
『クズさん、何をしたの??』
以前、マヒュモスのままだが、念話で真冬が話しかけてきた。
『どうやら、何とかなったみたいだな。とりあえず、今のうち獣化を解除してくれ。』
そう言われ、真冬は解除し、猫に戻っていった。
『ふー、良かった。良かった。実は....。』
真冬に話かけようとしたが、マタタビの効果が遅れて現れてきたようだった。