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クズのバイト

次の日、身体の方は,健康そのものだった。そのため退院の許可はでたが、まだ霊力の鍛練については、許可が降りなかった。自業自得なので、我慢し以前と同じように、大学とアルバイトに精を出していた。

(はぁー、能力が使えるまでは我慢だな。それにしても、最近はダブルでらくしてたんだな。)


そんな事を考えつつ、バイトをしていると声をかけられた。

『クズー、頑張ってる?』

振り向いて見ると、コマリと同じ歳くらいの男性と一緒にいた。

『おぉ。頑張るしかないだろ。バイトなんだし。珍しいな。顔を出すなんて。そちらは、彼氏さんか?』

『へへへぇー、どうかな!?すっごく、イケメンでしょ?!』

普段、話すときのコマリとは違った印象だ。やはり、好きな人に見せる顔は違うようだ。

『コマリには、もったいないかもな。』

『いじわるだなぁー。そんなじゃ、彼女出来ないよ。前に居た時から当分経ってんじゃない。』

『はいはい。俺は、当分いいんだよ。』

俺はコマリと、軽く談笑し、連れの男性へ挨拶をするのであった。


『初めまして。九頭 道生です。とりあえず、立っているのも、あれなので、こちらへどうぞ。』

席を誘導し終えると、彼氏さんから挨拶をされるのであった。


『初めまして。酒井(さかい) 悠平(ゆうへい)です。素敵な所で、バイトをしているんですね。』

『ありがとうございます。店長、良かったですね。』

俺は、店長に聞こえるように伝えると、黙ってはいるが機嫌が良いようだ。


ここは、小さな洋食店だが、それなりに繁盛していた。少し駅から遠いが、隠れた名店っといった感じだ。

なぜ、俺がここで働いているかというと、店長が関わっている。上京したての頃、都会の道の複雑さに迷子になってしまった俺を助けてくれたのだった。もちろん、それだけではない。

ただ、単純に飯が旨いのであった。熊のような容姿の店長だが、俺はがっちりと胃袋を掴まれてしまった。


その後、注文を伺い、二人に赤ワインとそれに合う一品を提供した。この一品は、店長からのサービスだった。知り合いだから、気を利かしてくれたらしい。それか、ただ単に褒められた事が嬉しいのもあるのであろう。

『それでは、ごゆっくり。』


俺は、二人の時間を邪魔する訳には行かないので、少し遠くで待機するのであった。

それから、赤ワインが空になる前に接客をするが、何本空けるつもりなんだと思うほどであった。

そして、これで5本目になるところで声をかける事にした。


『相変わらず、呑むなー。酒井さんも平気でしょうか?チェイサーは要りますか?』

『それでしたら、御願いします。彼女が酔いが回ってきているようなので。』

『しょんな事ないよー。たまには、呑みたい気分なのー。』

コマリが呑みたい理由は、ヤバタにあった。

ヤバタは、面倒見が良かったので、コマリの我儘も聞いてあげていた。今だから分かるが、妹と重ねていたかもしれない。そんな仲が良かったのに、何も相談もなかった事が寂しいようだ。

世間的には、ヤバタの処遇は、自主退学をし留学した事になっている。理由を知らない人は、困惑するしかなかった。

また、連絡を取ろうにも、仏霊会が手を回しているので、容易には出来なかった。あの事件を外に漏らさないためにも、その方が都合が良いのである。


その後、コマリは、酔い潰れてしまったので、酒井さんとタクシーに乗り、帰っていった。

俺は、ヤバタの事について知っていたが、知らないで居なくなるのは、かなり寂しいなと思うのであった。

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