初めての尾行
家に帰ると、そこには火輪が居た。
(なぜ!?とりあえず、ステータスを見るか。)
『せんぱーい、ビックリした!?』
心情:ふふふ、ビックリしておるな。真冬ちゃんに、家の場所を聞いてて良かったぜ。しっかし、便利だなーー私の鏡ちゃんはー。
『驚かすなよ。それが、こないだの転鏡ってやつか?』
『なーんだ。ネタバレしちゃってるのか。つまらんのー。先輩のダブルってのも便利だね。ほぼ同時に着いたもん。』
『先輩は、ヤバタさんの話をどう思う?』
『本当かどうか分からないが、精神干渉の可能性はあるかもな。』
『そだよねー。少し調べてみようよ。もし、本当にその教諭が何か問題を起こしていたら、これから被害者が増えるしさ。』
『わかった。そしたら、調べてみるか。明日、講義を受けてみるよ。火輪は、目立つから連絡を待っててくれ。』
明日、もう一度集まる事を約束し、今日は解散した。火輪は、風呂場の鏡を使い移動していった。
『お疲れにゃの。ご主人さま。また、にゃにか、問題かにゃ?』
『少しな。俺の大学で、行方不明者が出ていて、念のため問題ないか調べるだけだよ。』
『にゃなら、私も付いてくにゃ。』
『ありがとう。大学の外なら真冬の方が怪しまれないで調べられるから助かるよ。』
それから、ヤバタに連絡して西洋史の授業が、どんな感じか見てみたいと連絡を取り、講義の時間帯を聞いて床につく事にした。
午後の講義だったが、朝から大学に行くことにした。真冬も一緒に付いてきてもらって、外で待機してもらっている。
例の教諭に会う前に、行方不明者について調べる事にした。臨時教諭が来てから、すでに七人も行方不明があった。ただ、事件が表に出てなかった。共通点といえば、独り暮らしで、大学をサボっているくらいにしか思われなかったようだ。噂が出始めたのは、最近のようだった。
これだけでも、実に怪しく思えた。
真冬に、この事を火輪に伝えておくようにお願いし、俺は講義に向かうのであった。
ピオラ=クリス (28)
職業:臨時教諭・神父
能力:不明
悩み:研究・収集
解決策:洗脳・共感・出会い
心情:あぁー迷えるベイビーたちよ。どうしたら、いいものか?あぁー悩ましい。君達は、なんて可能性に秘めているのだろう?
(なんだかなー、まだ黒と決めつけるには難しいな。ただ、ヤバタが言ってた気持ち悪さはあるなー。あの独特の話し方が、ある種の洗脳方法なのかもしれない。見た目が整っているから話し方も気にならないのかな。少し、羨ましいものだ。)
講義を終えると、すぐに一定の生徒たちが駆け寄っている。あれが、信者か、心情をみると危ういな。心酔しきっている感じだ。クリス教諭を...。
遠目で観察を続けると、ニタァっと薄気味悪い顔を一瞬だがしたのを見た。その時の心情も見逃さなかった。
心情:こいつらも、そろそろだな。特別講義を施そうではないかぁーー。
俺は、先に教室からでて後を付けた。クリス教諭と三人の生徒は、一度別れてから合流するようだった。そのため、本丸であるクリス教諭が大学を出た後をつけることにした。
ここで、ダブルを使い一人は真冬か火輪を探し、状況説明を行うように大学へ残したのであった。
クリス教諭をつけていくと、一つの教会に着くのであった。外は、だいぶ暗くなっていたが、仏霊会のメガネを使用していたので見失う事もなかった。しばらくすると、先ほどの三人の生徒が教会へ入っていくのを確認し後をつけて行った。
クリス教諭は、三人を教壇の下へ誘導していた。どうやら、地下に隠し部屋があるようだった。最後に、クリス教諭が降りようとした時に、こちらに目線を配り、また気持ち悪い笑顔を向けるのであった。
心情:いらっしゃーーい。ベイビーちゃん。
(やばっ!!一先ず、退散だ。)
その時は、すでに遅かった。そう、思ったのも束の間、背中に電流が走ったのであった。
気絶する前に確認出来たのは、ヤバタの姿であった。
『クハハハ。山端くん、良い働きですよ。』
ヤバタは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
『朱美を治してくれ。頼むから』
心情:ごめん。クズ。こうするしかなかったんだ。
そして、俺の意識は、遠退くのであった。