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ハイトは頭を冷やしたい

「ハイトさんには日頃からとてもお世話になってます。だから黙ってましたが、最近ハイトさんは私に対して過保護過ぎます。私ハイトさんにそんな事、望んでいませんよ?」


ティファにそう言われて僕ちょっとショックでした。

そりゃそうですよね。ティファ迷惑だったみたいですね。それに、全然気付いてませんでしたね?あれだけあからさまにアプローチしていたのに。でも、ちょっとあの言葉で頭が冷えました。


「・・・・お腹空いた」


「ハイトさん。書類受け取りに・・・ハイトさん?」


「んーーー?ああ、そこに置いてある」


「前よりも、より一層ヤル気が失くなるって。どういう事っすか?」


ほっといてくれ。

僕もう今日は仕事しない。昼寝する。そして現実逃避する。起きてるとティファの事考えちゃうし、その度にお腹空くし、エンドレスだしーーーー!


「僕、今から仮眠取るから暫くほっておいて」


「堂々とサボると宣言しないで下さい」


最近はお昼もまともに帰ってないんです。

ティファの顔も全然見てないですし。

ティファがこの国に来て、こんなに長く彼女の側から離れたのは初めてかもしれないですね。正直かなり、辛い。


「やっぱり相手がいるのは面倒くさい」


そもそも恋愛自体面倒くさい。

僕の人生において、それは予定になかった事だし、まさか自分が恋愛するとも思わなかった。

周りの奴等が相手の反応で一喜一憂する様をみて、馬鹿だなぁと思ってました。

それが今やこの様ですよ。笑っちゃいます。


「・・・・・ハイト・・さん?」


ん?誰ですかね?僕さっき昼寝するって言いましたよね?

邪魔する気ですか?ぶっ飛ばしますよ?ん?でもなんだかとても良い香りがする。凄く、お腹が空く匂い。


「うーーーーっなに?」


「お疲れですか?大丈夫です?」


あれ?ティファの声がする。

でもここ仕事場だよね?あ、これ夢か。


「大丈夫じゃない。ティファのご飯食べたい」


「・・・・・・食べて下さい。私も、ハイトさんに食べて欲しいです」


そうだよね。料理だけで満足していれば良かったんだ。

でも、もう僕それだけじゃ満足出来ないからなぁ。


「ご飯も食べたいけど、それ以上に・・・・」


「え?ハイトさん?なんですか?」


無理かなぁ。でも、僕こう見えて諦めが悪いタイプなんだよね。今までやると決めた事は全て成功させて来た。

ただ今回は生身の人間相手だから簡単にはいかないよね。


「僕の事、もっと好きになって欲しい」


「・・・・・・・・・・」


無理矢理は嫌だ。

そんなの面白くない。

ティファが自分で僕を選んでくれないと。


「好きですよ?ハイトさんの事」


絶対違う。僕と同じ好きじゃない。断言できる。

でもいいかな。夢でもそれが聞けたなら。


「うん。僕も」


下らない嫉妬とか、好きな子を怒って困らせたりとか、本当に自分が嫌になったけど、しょうがないか。

そもそも最初から僕に勝ち目はないですから。





「おーーーーい!ハイト!起きろよ!」


「・・・煩い。フィクス、何?」


「もう夕方だぞ?お前いつまで寝てるんだよ」


え?夕方?あ、仕事終了ですね?今日はもう帰ろうかな?

ん?そのテーブルに置いてある物は?


「これお前にってさ。昼食ってねぇんだろ?食え」


「え?誰が?まさかベロニカ?」


そんな訳ないですよね。今日は要らないって伝えてあります。でも、これ。


「それ食っていい加減仲直りしろよ。俺は先に帰るからな」


やっぱりそうだよね?持ってみたら僅かに魔力を感じました。わざわざ作って持って来たんでしょうか。


それにしても、相変わらず美味しそうです。

ガッツリ、カツサンドだぁ。コレはヤバイ。


「うう。美味い。なんなのコレ」


酷い。あんなに僕、我慢したのに。

それなのに、この仕打ち!カツサンド美味い!最高です!


「あーー無駄な抵抗だったかぁーーモグモグ」


んん?ちょっと待って下さい?

ここにカツサンドがあるという事は、もしや、ティファこの部屋に来たという事でしょうか?いつの間に?


もぐもぐもぐもぐ。ゴックン。


「・・・・・え?なんの冗談?」


僕、すっかり夢だとばかり思ってたんですけど。

まさか実は本人が目の前にいたとかないですよね?

ちょっと僕嫌な汗が止まらなくなってきました。


え?僕とんでもないこと口走ってなかった?しかもティファ・・・・・。


それに、答えてましたよね?


「おーい!ハイト・・・・どうした?顔赤いけど、具合でも悪いのか?珍しい」


「・・・・ちょっと、コレはかなり重症かも」


「え?マジか!お前もう今日は帰れよ」


そうします。それでちゃんとティファと仲直りします。

だってそうしないと先に進めませんから。


「お?ハイト!お帰りー!今日もご飯美味そうだぜぇーイデデデデデ!!!」


「メルローお前懲りないな?」


「ティファ厨房にいる?」


「いや、裏庭に植えたハーブを採りにいってるけど?」


今回は敢えて僕が折れます。別の物も何箇所かへし折れた感じはしますが気にしません!


「ティファ?」


「あ。ハイトさんお帰りなさい!」


ほらね。やっぱりいつも通りだ。

でも大丈夫。僕もいつも通りにすれば、また元通りです。

表面上は!(悲)


「差し入れ。持ってきてくれたんだってね?ありがとうティファ。とても美味しかった」


「はい、それなら良かったです。・・あの、ハイトさん」


「うん?」


「私、ハイトさんがご飯食べに来てくれなくて、とても寂しいです。あの、私ハイトさんには、笑ってて欲しいです」


あ、無理。

いつも通りってなんだっけ?ちょっと記憶が曖昧ですね?


「それで、いつもみたいに笑って、ご飯美味しいって言って欲しいです!」


「うん。ごめんねティファ。そうだよね」


そういえば、僕ティファの髪に触った事なかったんですけど、とっても手触りが良いんですね。とても柔らかいのにサラサラしてます。撫で心地が良くて癖になりそうです。


「僕も、ティファが笑ってくれる方がいいや」


ティファが望むならそれを叶えてあげる事にします。

僕はいつも君が頑張っている事を知っていますから。


「・・・・ハイトさん?」


例え僕の願いが叶うことがなくてもそれは約束するよ?

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