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キルトは休暇を楽しみたい

「やっと休みだぁ。俺は遊ぶぞ!思いっきりな!」


「ほぅ?で?どんな遊びをしようとしてるんだ?」


「ちょっと?俺は出掛けたく無かったんだけどな?」


マッジンお前だらしねぇぞ!

何日ぶりの休みだと思ってるんだよ。

ここでダラダラ休日を潰したら勿体ないだろう?


なんでこの国、結構平和な筈なのに休み少ないんだよ!

もっと休みを寄越せ、訴えるぞ!超過勤務に日々耐え忍んでいるキルトだよ!皆職探しは慎重にな?


「そりゃ可愛い女の子が沢山居る所だろ?俺は出会いが欲しい!」


「あーーー確かにあの生活じゃフィクスでもない限り出会いないわなーー?」


「俺は別に。昼寝したい」


メルローはともかく、マッジンは置いてくるんだったかなぁ?お?あの店可愛い子多いんだよなぁ?

あそこにしようかな?


「どうでもいいけど、変な人に絡まれないでよ?俺達この国の騎士なんだから後々面倒になる」


「いやいや?ここは積極的に行こうぜ?キルトよ?でなきゃ出会いなんてやってこないぜ?」


お前絶対ただ面白おかしくしたいだけだな?

やっぱ置いてくれば良かったコイツら。

つい癖で声かけちまったけど。


「あらー?キルトお久しぶりねぇ?そちらはお友達?」


「そう。やっと休みが取れたから食事に来たよ」


「今日はイノリがいるわよ?呼んであげましょうか?」


珍しいな、イノリがここに来るなんて。いや、待て待て。

今日は可愛い女の子と出会いを求めて来たんだ。アイツに会う為じゃない。


「いや、いいよ。配達か、なんかだろ?仕事の手を止めさせたら悪いから」


「え?誰それ?キルトの知り合いか?」


「この子の幼馴染よぉ?イノリちゃん!キルトが来てるわよ?ちょっと顔出しなさいよ!」


「はー?キルトぉ?また可愛い子でも漁りに来たんでしょ?まったく・・・あれ?お友達?」


お前、そんなでかい声でよくも・・・。

お店の女の子こっち見て笑ってるぞ。

だから嫌なんだよコイツ。デリカシーないんだ。


「こんにちは。俺メルロー、こっちはマッジン。キルトの同僚だよ」


「どうも、私はイノリ。この人とは赤ん坊の時からの腐れ縁で今は家で収穫した作物や野菜をお店に卸してるのよ?よろしく!」


そう、実は俺やイノリの実家は農家を営んでいる。

彼女は家の仕事を継いだけど、俺は三男だから家を出て兵士になったんだ。それが今や、この国一番の騎士団の一員だもんなぁ。ティファじゃないけど、どうしてだろうな?


「へぇ?じゃあうちの宿舎にも売ってもらえたりしない?実は宿舎付きの料理人がいるんだけどさ?いつも全部自分で買いに行ってるから大変なんだよ。荷馬車で運んでくれるんだろ?」


「私、月に4回ここに来るから、その時声をかけてくれれば次に配達出来るわ。もし必要なら声かけて」


「お、おい?メルロー勝手に話進めんなよ。イノリもちゃんとおじさんに了承をもらってから返事しろよ」


「え?大丈夫よ。私が良いって言ったらいいんだから」


相変わらずだなイノリ。

その調子で、おじさん達困らせてるんだろうなぁ。


「一応連絡先も渡しておくわ。そんな遠くないから文もすぐ届くと思う」


「いざとなったらササラ様に頼もう。魔術ですぐ手紙届けてくれる」


「マッジン。ササラ様は配達業者じゃねぇぞ。冗談でも笑えねぇよ俺」


くそー。可愛い子を愛でに来たのに要らぬ邪魔が入ったぜ。さっさと飯食って次行こう。


「いつもと同じ物を三人分頼む?イノリはどうする?奢ってやるぞ?」


「いや、まだ仕事があるからいいよ。またねキルト!メルローとマッジンもまた!」


なんだ、結構忙しいんだな?じゃあ儲かってるのか?

そういえば最近実家に連絡してないが、皆元気にしてっかなぁ?


「どういう事だよキルト」


「え?何がだ?」


「お前。出会いがないとか言っときながら、あんな可愛い幼馴染がいるとか俺達に喧嘩売ってんの?」


え?可愛いかアイツ?まぁ中身を知らない奴が見たら可愛いのかもな?知らないって幸せだな?


「あのなぁ。アイツはもう、兄妹みたいな感じだから。そういうんじゃないから」


「キルトのクセに生意気な発言だな」


お前ら。僻みも程々にしとけ。いくら女っ気ない生活してるからって俺に八つ当たりすんなよ。本当に違うんだよイノリは。


「お待たせ!味が足りなかったら置いてある香辛料使ってね?」


「「「・・・・・・」」」


おっと。思わず俺達固まっちまったよ。そうだよなぁ、普段ティファの料理に慣れてると、そうじゃない日常とのギャップが俺達を襲うよな?そうなんだよ、この国の料理、基本的に美味くないんだよなぁ。


「そういえば、今年に入って宿舎以外でご飯食べるの今日が初めてだ。すっかり忘れてた」


「まぁ、でもたまには。こっちの料理だって散々食べてきてたんだし?」


「だよなぁ?よーし。いただきます!」


パクリ。

ムシャムシャムシャ。ゴクン。


「「「・・・・・・・」」」


「今日の夕飯は・・・」


「ティファが作ってくれるって言ってた。下拵えもしてたよ」


ごめん。食べ始めて数秒なのに、すでにティファのご飯が恋しい。今日の夕飯を励みに俺コレ食うわ。


「ティファの有り難みを感じる事が出来る儀式だと思うんだ。そうすれば耐えられる」


中々お店に失礼な話だと分かってはいるんだ。

でも無理。俺一生ティファのご飯食うよ。ハイトの気持ちが今になってすげぇわかる!お前は正しかった!変人とか思っててスマン。


「きゃあああああああ!!」


「うわぁー!ば、化け物!」


「「「!?」」」


おいおい。俺達飯、食べ始めたばかりなんだけど?

なんか外からやばい空気ビンビンに伝わってきてるぞ。


「メルロー、キルト、剣は?」


「悲しいかな。持ってきてるんだなぁー?コレが」


「職業病。恐ろしい言葉だ」


行くしかないよな?

あーあ。せっかくの休みと可愛い子達との素敵な時間が。


「これ手当つくと思う?」


「どうかな?大物だったら報奨金出るんじゃね?」


金より出会いが欲しいんですけどね?最近周りでイチャコラされて俺、うんざりなんだよね?俺も彼女欲しい!!

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