フィクスはデズロの本心を垣間見る
パパはお怒りのようです。
「え?何でデズロ様が?」
「遅いよーーーフィクス〜!もう皆んなティファ助けに行っちゃったよ?」
ティファを助けに?え?ティファもしかしてピンチなのか?俺出遅れた?
「嘘だろぉ!俺もすぐ追いかけます!」
今迄一度もティファを取り返しに来なかったから油断してた。やっぱこのタイミングを狙ってたんだな・・・あの宿舎からオレ達が居なくなるタイミング。あれ?デズロ様の様子がおかしいな?腹でも空いてるのか?
「・・・・・デズロ様?」
「あの子は母親に似て人を惹きつける力がある。本人が望まなくても周りが彼女を放っておいてはくれないんだぁー」
「・・・・・もしかして、デズロ様ティファの母親とお知り合いだったんですか?」
あ、それでか?
最初からおかしいとは思ってたんだよな。
敵の騎士を助けた上なんの処罰もせずに保護観察するように俺に命令してきたんだからこの人。友人か何かだったのかな?
「十八年。まさか、また会えるなんて思いもしなかったなぁ。本当は連れて来たかったけど、ティファの事を考えて弟に預けたんだよ?大切にしてくれるって言葉信じたんだけどなぁ?」
・・・・・ちょっと?
デズロ様?なんか周りの空気がやけに重苦しくなって来ましたが?貴方、なんかバチバチ火花が身体中まとわりついてますよね?え?冗談だろ?
「こんな事なら無理矢理にでも手放すんじゃなかった。僕はティファが過ごす筈だった十八年分の幸せを、彼女に返してあげないといけないんだよ?」
ちょ。ちょーーーーーと待て!!何?その突如現れたどデカイ弓は何なのかな?え?それ魔法?まさかあんた誰かに攻撃するつもりなの?この国で魔力を使った攻撃行為は禁止されてるんですが?おい?いい笑顔だな?!
「ハーーーーイ!と、いうわけで僕あっちにもコッチにも大変お怒りです!!なので僕を怒らせたらどうなるか、具体的に行動して示そうと思いまーーす!」
思いまーーす!じゃないよ!!
あんたまさか、ソレあっちの国に放ったりしないよな?
え?て、いうかアンタが攻撃魔法使うの初めて見たんだけど?ソレ放ったらどうなっちゃうの?
「デ、デズロ様。まさか、攻撃をしたりしないですよね?」
「え?するよ?あ、大丈夫。街に放ったりはしないよ?ただちょっと僕の弟の所有している山に風穴を開けてやるだけだからぁ。アハハ!」
アハハじゃねーーーよ!!
どちらにせよコッチから戦争仕掛けた事になるでしょうが!!アンタこの戦争泥沼化させるつもりなの!!俺達の仕事を無駄に増やすなよ!休み寄越せ!
って?わっわっわわわわわわわわ!!で、でけぇ!この弓どこまでデカくなるんだ?
と、いうかデズロ様護衛は?え?まさか一人なのか?じゃあもしかして俺が止めないといけない感じ?無理無理!!
だってあの人の顔超怖いだけど?アレ絶対本気で頭にきてる顔だよ!ん?アレちょっと待て?本当は連れて来たかったけど?手放すんじゃなかった?え?嘘だぁ。
「ハーーーーイ!ドーーーン!」
キュィィィィィィィィイン
ビュンッ
「・・・・・・・・・・・・・・」
ドガァァァァァーーーーーーーーーーーーン!!!!!
・・・・・・・。
あ、俺現実逃避していいかな?
遥か彼方の山々に見事に綺麗な穴が、開いたな。
これもう言い訳の仕様がないよね。
こんな事出来るのデズロ様ぐらいしかいないもんな?
「ハーーーーイ!再びドーーン!!」
ビュンッ
ドガァァァァァーーーーーーーーーーーーン!!!!!
俺泣いていいかな?
これ完全に責任取らされるの近くにいた俺だよな?
謹慎で済むかな?それとも騎士剥奪かな?もうそれもいいかも。俺ちょっと疲れました。このおっさんに振り回されるの。
「・・・・デズロ様。せめて、あと一撃で勘弁して下さい。これ以上は死人が出る可能性があります」
「お前のそういう賢い所、僕は結構好きだよ?でも、ティファとの事は別だからね?」
ぐぁぁぁぁぁぁ!!なんでこの人その事知ってるの?誰にも言ってないのにぃぃぃ!!地獄耳ぃ〜!!
「じゃあお言葉に甘えて最後の一撃はあそこにしよう!」
は?え?
「散々僕のティファを振り回して傷を負わせたアイツらに会心の一撃をお見舞いしよう!」
待て待て待て待て!!流石に相手の本拠地ダイレクトにそんな物インしたらヤバイって!!国が滅びるぞ!!
「デズロ様ですかぁ?」
ビュンッ!
「「あ」」
「お?」
「え?」
「わぁ!」
ティファナイス!!
デズロ様驚いて弓の的が思い切りズレた。思いっきり空に吸い込まれて行ったな。
・・・・・ん?それはどうなるんだろ?
ドガァァァァァーーーーーーーーーーーーン
・・・・・わぁ?
「え?な、何?流星群?」
「凄いです!!沢山流れ星が流れてきます!綺麗!」
「あーーーうん?ソウダネ」
「・・・・・フィクス。まさか、コレ」
これは完全に何処かの惑星を破壊したな。
もうコレは俺の手には負えない。
全て陛下に丸投げしよう。
そして俺は家族総出でこの地を出よう。
「久しぶりだね?ティファ!僕の事覚えてるかな?」
「・・・あれぇ?おじさん?ん?私今貴方の顔ハッキリ思い出しました。なんででしょう?」
「アハハ!そうだよね?あの時のおじさんが僕だよ。ティファ。約束覚えてる?」
「約束?」
つまり、コレは全て最初からデズロ様の思惑通りに話が進んだと考えていいんだよな?
ティファはデズロ様の実の娘でデズロ様は彼女を助ける為に捕獲して俺達に見張らせていたと?
「君の願いを叶えてあげるって言ったよね?君の願いは何?この国で料理店を開きたい?」
「願い、ですか?」
ん?ティファどうしたんだ?なんか固まってるけど?願い事がありすぎて困ってるのか?
「あ、あのぉ。じゃあこのまま、あの宿舎に居てもいいですか?」
「ん?別に構わないけどそんな事でいいの?君が望むならお店も住む所も別に用意してあげるよ?」
「私、さっき分かったんですけど、私がやりたかった事って料理を作る事よりも誰かに美味しく食べてもらう事だったみたいなんです」
確かに。ティファ美味しいって聞くと嬉しそうにしてたもんな?当たり前だけど認められるのって嬉しいよな。
「先の事は分からないけど、今は宿舎の皆さんに美味しいご飯を食べて貰いたいです。迷惑じゃなければ」
「そっか!良いよ〜!また僕にもお弁当作ってくれる?僕美味しすぎてあの味が忘れられないんだよね〜」
「はい!勿論です!デズロさん!」
あーーー。もしかして真実を言うつもりないのか?
まぁ言ったところでどうにもならないし戸籍上既に父親って事になってるからいいのか?それともティファの事を考えて言わないつもりなのか、意外とまともな思考が働いてたんだなこの人。
「えーーーー?パパって呼んでもいいんだよ?」
「はい!デズロさん!」
いや、玉砕してるな。
今夜はこれから色々と荒れそうだ。
頑張れ!皇帝陛下と諸々の方達。




