ヨシュア達は皇子を張っ倒したい
「脱走の次は結婚騒動とか、よくもまぁ次々と騒動を起こす奴だな」
お前が騒ぎを起こす度に俺達の食事事情が脅かされるんだから、いい加減大人しくして欲しい。
そして、今日もメッチャ飯が美味い。最高!
「すみません。私、やはり冷静さを欠いていました。あまりの恐怖に目の前が真っ暗になって・・・」
お前でも怖い事があるんだな?可愛い所あるんじゃん?
「でも、次こそは、確実に仕留めますから・・・」
「お前やっぱどう考えても冷静じゃねぇよ。頭冷やして来い」
それにしても、このぽやっとしてる奴にここまで言わせる皇子ってどんな奴なんだろうな?気になんねぇ?俺は凄い気になっている。
「・・・・そういえば、その皇子の手紙まだ読んでなかったな?ティファ、読むか?」
お?笑顔で受け取ったぞ、からの?ちょっとまて、火にくべようとするな!仮にも一国の皇子の文だぞ!
「わかったわかった。じゃあ俺達が読んでみてもいいか?」
「構いませんが。やめておいた方がいいと思いますよ?あと、不快なので私の耳には決して入れないで下さい」
凄い嫌われてんなぁ。
一体ティファに何したんだ?その皇子。
あんなにティファを邪険に扱った俺でさえ、こんな嫌われてねぇぞ?せいぜいまともに名前を呼んでくれない程度だ。もういい加減過去の事は水に流してくれねぇかな?ぐすん。
「お?なんだ?もしかして噂の皇子の手紙か?」
「ティファは読みたくないみたいだからな。一応確認して重要な内容があったらティファに教えてやろうと思って」
皆んな興味津々って顔だぁ?本当に暇な奴等だぜ。
俺か?俺は勿論・・・・・・・見るだろ?そりゃ。
私の愛しい白うさぎへ
君が私の下からいなくなって私は毎日眠れぬ夜を過ごしている。
君が生きてると知った時の私の感動を君に直接会って伝えたい。
何も心配する事はない。君が嵌められ騙されて私の下から離れる事になった事も私はちゃんと調べて理解している。
今すぐ私の下へ戻り土下座して、許しを乞うのであれば、寛大な心で君を許し、そして愛してあげよう。
君が好きな下らないおままごとも、たまになら目を瞑ってあげるよ。
ティファ。よく考えて。
君の我儘で傷つく必要のない大勢の人間が傷つく事になるんだよ?
君が大人しく私に飼われてさえいれば、誰も傷つく事なく君も何不自由なく過ごしていける。私の籠の中でね。
何が君にとって幸せなのか、ちゃんと考えてごらん。
それに。どこに逃げても無駄だよ。
私は君を手に入れるまで決して諦めたりしない。
君をとても愛しているから。マイハニー。
ビリーーーーーーーーーッ!
「・・・ティファ」
「あ。塩ですか?大量に用意してありますよ?」
用意がいいな。すでに両手に抱えてんじゃん?
そうそう、一旦この場を清めようぜ。
心も体もなんか汚れた気がするからよ!
「それ。破いて大丈夫なの?一国の皇子からの手紙でしょ?」
「は?しらねぇなぁ?これはただの頭のイカれたストーカー野郎の脅迫文だ。皇子の手紙なんかじゃねぇよ」
確かに。上手いこと言ったなギャド。見直したぜ!
「しかし、他の人間の目にも入る可能性のある手紙にこの内容。あの国の皇子って、致命的に愚かなの?」
「はい、陛下はそうでもないですが。皇子はマジキチです。本物のきちがいです」
あ、丁寧に言い直したな。そうそう、分かりやすく言葉にしようぜ?皆んなに分かり易いようにな?
「これは、確かに。逃げ出したくもなる相手ではあるね。なんで捕まった時この事言わなかったの?」
「え?そんな事伝えたら確実に送り返されますよね?普通」
そうだよ。誰がそんな面倒な奴助けるんだよ。
変人のうちの魔術師くらいだよ、本当に。
「あー。まぁそうか。んーーー」
ハイト!どうしたんださっきから。
なんか考え込んでるな?俺のご飯は分けてやんねぇぞ?
「おままごとって。もしかして、料理の事?」
「・・・・はい。一度だけあの男にお菓子を持って行った事があって」
え?やっぱコイツぽやっとしてんな。
そんな事したら勘違いもするだろ?馬鹿だなぁ。
「一口も食べずに地面に叩きつけられたあと、足で踏みつぶされました」
あ。そいつ処す。
百叩きの刑に処す。ティファ、棍棒持って来い。
ガタン。ガタガタガタッ。
お?なんだなんだ、皆んなどうしたんだ?急に立ち上がって・・・・・・。
「・・・・ティファ。もう逃げる必要はないぜ」
「ギャドさん?皆どうしたんですか?」
おっと。
俺はまた一人で先走ってしまうとこだったぜ!
そうだよな?俺達これでもこの国の騎士だもんな?
騎士が棍棒振り回してちゃ駄目だよな?コレはティファに返そう。
「そいつ。ここに攻めて来るんだよな?お前を取り返す為に。都合がいいじゃねぇか。なぁ?皆」
バキバキバキバキッ!
いい音するなぁ。皆。俺それ出来ねぇんだよ。一度でいいからやってみたいわ。指鳴らすやつ!
「ティファ?ソイツ僕が処していい?」
「・・・・え?何故?」
ハイト。お、おいハイト。そんな笑顔でティファに詰めよんな!お前の笑顔怖えんだよ!何故かサイコパスを予感させるんだよ。ひええ。
「何故?そんなの決まってるでしょ?ティファの作った物を口さえ付けずに汚い足で踏みつけた罪は死よりも重い罰で償って貰わないと・・・ねぇ?皆?」
いや、皆同じ事考えてたけど。今俺ちょっと冷静になりました。
ハイトさん。正気に戻ってクダサイ。




