フィクスはティファに振り回される☆
フィクスは自分がイケメンである事を自覚して、それさえ利用する強かな人物です。決してナルではない、はず。
「フィクス様ぁ〜ん!!お久しぶりですぅ!」
やぁ!こんにちは!久々登場のフィクスだ。
「久しぶりだね?今日は買い物にきたのかな?」
「はいー!新しい服を新調しに。フィクス様はお休みなのですか?」
あーーーバレたかぁ。私服だしなぁ。面倒くさいなぁ。
「そうだね。ちょっと用事で買い出しにね?」
「そうですのね?でも、少しくらいならお時間あるんじゃありませぇん?私、この近くで美味しいカフェを知ってますの。良かったらご一緒しません?」
うーーーん。
カフェかぁ。カフェねぇ?興味無いなぁ。そういうの。
最近はティファがお菓子を作ってくれる様になったから、それで満足なんだよねぇ。
ん?今、目の前を横切って行ったのは・・・・。
「あ!ティファ!ごめんね?連れがいるからまた今度!失礼?」
ナイスタイミングだよティファ!
逃げ出す口実が出来て良かったぁ〜。
あれ?なんか視線が痛いぞ?
「あのぉ?何か御用でしょうか?私忙しいのですが?」
うぐっ!!そんな取りつく島もない。いや、俺は負けないぞ!
「ごめん、ちょっと断りづらくてさ?荷物持つから許して?」
「大丈夫です。自分で持てますよ?それより用事があって街に来たのでは?」
「うん、一応ね?でも、もう用事は済ませたから。ティファはまだ買い物に回るの?」
「そうですね。香辛料を買いに行きます」
自分で言うのもなんだけどね。俺これでも女性からは結構人気があるんだよ?そりゃ全ての女性から好かれる訳ではないけどもさ?こんなに邪険に扱われるの、初めてなんだよね?だから出来れば是非とも今後の参考に理由が知りたいんだよね?
「じゃあ、やっぱりそれは俺が持つよ。一緒に行こう」
「・・・・・え?何故?」
グヌヌヌ!!俺そろそろ怒ってもいい気がしてきた。
いやいやでも相手は女性だしな?全然か弱くないけども!
「何?俺がついて行ったら駄目なの?」
ついつい強めの口調になったのは見逃してほしい。
だって俺、ティファに何かした覚えないんだぜ?
それなのに俺だけこの扱いは無いと思う。
「構わないですが。きっとついてきても楽しくないですよ?」
うーーーーん。本当に扱い辛い。なんでこの子、俺に全くなびかないんだろ?他の女の子だったらさ?俺がちょっと優しくしてあげたら頬染めて嬉しそうな顔するのになぁ?
もしかして俺の顔が嫌いとか?解せない。
「あ。ここです!入りますよ!」
・・・・料理の話をする時は、こんなに笑顔なのになぁ。
俺には全然笑いかけてくれない。やっぱりこの子もハイトと同じ属性なのかな?食の変態ならぬ料理の変態。
だからハイトには心を開いてるのか?成る程。納得!!
「うわぁ凄い量の香辛料だな?コレ全部知ってるのか?」
「はい。何度か通っているので・・・全部覚えました」
へぇ。ティファって結構記憶力いいよなぁ?普段ポーっとしてるから頭良くないと思われがちだけど、実はそんな事なさそうだよなぁ。
ん?何をそんなにジッと見て?
「これは何?」
「え?ああ!これはですね!ココアです!」
ココア?なんだそれ?
「ホットミルクに混ぜて飲んだり、お菓子を作るのに使ったりします。輸入品なので物凄く高価なんですよ」
「ヘェ〜そうなんだ?」
そんな物まで置いてあるんだなこの店。どれどれ?おお!確かに高い。何となく店主を呼んで聞いてみた。
「これ、グラム売りないの?」
「勿論御座いますよ?高価な物ですから。そうしないと売れませんしね?」
「そっかーじゃあ・・・・・」
まぁ普段から美味しいもの沢山作って貰ってるしね?
これぐらいなら受け取ってもらえるだろ?
そう。俺は甘かった。何がって?
自分の考えがです。
「え?貰えません」
ーーーーーーーっ!!!
ごめん皆んな。
これは俺、流石に怒っていいよね?
だってさ?普段からハイトやギャドがティファに色々買ってあげてるの知ってるんだぜ?それを彼女、いつもあのフニャ顔で嬉しそうに受け取ってるんだ。それなのに、なんで俺は駄目なの!?
「・・・・あのさぁ?こんな事言いたくなかったんだけどさぁ?」
「はい?」
「ティファはそんなに俺の事、嫌いなの?」
もういい。別に彼女に嫌われたって俺はどうって事ないし、これでティファのご飯が食べられなくなったとしても死ぬわけじゃない。俺はハイトみたいな変人じゃないからな!!とにかくハッキリさせたいんだ、なんで俺だけ!?
「何ですか急に?何故そんな話に?」
「だって君。あからさまに俺の事避けてるでしょ?最初に話しかけた時はそんな事無かったのに。途中から目も合わせなくなったし!!名前も覚えてくれないし!それで今日は感謝の気持ちで渡したプレゼントは断られるし!何がそんなに嫌なの?」
あれ?俺おかしくね?
これじゃまるで言い寄って振られた理由を問い詰めてる格好悪い奴みたいだな・・・・。
「え?そうだったんですか?私、てっきり・・・」
ん?なんだ?てっきり思いっきり辛辣な対応をされると思ってたんだけど?キョトンとしてるね?どうしてだ?
「フィクスさんは私を監視してコッソリ上の人に報告してるんですよね?私が変な事したらグサって私の事殺すつもりでしょう?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。
「ずーーーーと、私に近づく隙を狙ってましたよね?最初はハイトさんを心配してるのかと思っていましたが、すぐそうじゃないと気付いたので・・・・」
ハイ。
バレテーラ。
あーーーーそうです。そうなんです。ティファの言う通り。
実は俺ギャドとは別経路で、ティファの事監視してました。この事ギャドさえ知らないのに。・・・何故バレた?
「もしかして、それでずっと俺の事避けてた?」
「はい。私としても平穏に過ごしたかったので、何が逆鱗に触れるか分からないとなると、気も休まりませんし・・」
そうだった。この人こんなぽやっとしてるけど、ちゃんと実力のある騎士だった。俺ちょっと舐めてかかってたわ。
「そっか。ごめん。そうだよね?そんな奴と仲良くなんか出来ないよね?本当ごめん」
なんだろう。
最初から見抜かれてて悔しい筈なんだけど、それよりも俺自身が嫌われて無かった安心感の方が勝るという複雑なこの気持ち。
「じゃあさ。これは嫌な思いさせてるお詫びって事で。俺も命令だから、勝手にやめられないんだ。でも、ティファに危害を加える気はないよ?これは本心」
理由がそれなら避けられてもしょうがないか。
まぁ別に俺はティファのご飯が食べられればそれで良いし。
名前なんて覚えられなくても、もういいか。諦めよう。
「・・・・・フィクスさん・・・」
「ん?何?」
え?今俺名前呼ばれなかった?勘違い?
「私。フィクスさんの事嫌いじゃないです。本当はココアも、とても嬉しかったです」
えーーーーーーと。これ、は。夢、かな?
今ティファが、俺にとっっても可愛い笑顔を向けてくれたんですが?
「ありがとうございます!大事に使いますね?」
ズガーーーーーーーーン!!!!!
うぐっ!な、なんだ?今俺ちょっと呼吸がまともに出来ないんですが?あ、ちょっ!その顔でこっち見ないで!!
「ふふふ!これで何を作りましょう?ワクワクしますぅ」
俺、もしかして押さなくていい自分に隠されたスイッチ押しちゃった?すげぇ複雑なんだけど!?
俺この先大丈夫なのか?
誰か答えを教えてくれーーーーーーー!!!




