表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/145

ティファはハイトに伝えたい

「ハイトは自分を迎えに行ったのね」


「自分を・・迎えに・・・」


ハイトさんのお母さんは、とても気さくで話しやすい人でした。


あれ以来、彼女と話す事は出来ていませんが、時折ああやって誰かに語りかけては暇を潰しているんです、とハイトさんのお父さんが笑って言ってました。


ハイトさんとそっくりな顔で・・・・。


「よいしょっと。すっかり小さくなっちゃいましたね?」


サンチコアからでもよく見えた大樹の木は、今では殆ど枯れて崩れてしまいました。残ったのはこの一本だけです。


「今日はお父さんが新しい魔法を使って実験するらしいです。ハイトさんも見えてるといいんですけど・・・」


そうそう!

オスカールとの戦は、ちゃんと私達が勝ちました!

アズラエルの門の件で迷惑をかけられた責任を取ってもらう事で、とりあえず決着しました。あと、オスカールから入ってくる商品が大分安くなるみたいです!

それはとても助かりますね!ココア高過ぎなんですよ!!


ただ、しばらくこちらに捕らえていた、オスカール国の騎士隊長さんが、顔を合わす度私に求婚するので、正直とっても困りました。オスカールにも変な人、多いんですね?


「今日もちゃんとお弁当作ってきましたよ。ハイトさんも食べれたらいいんですけど・・・」


私にも強い魔力があるはずなんですが、この状態のハイトさんとはお話出来ません。ハイトさんのお母さんみたいに夢だけでも会えたらいいのに。


「うん!美味しいです!!」


ハイトさんを待つようになって、私、大樹の気持ちが少しだけ分かりました。

待つのってとても大変なんですね。

どんな危険な場所にいたとしても、こちらから迎えに行ける方がずっと楽なんだって思います。


「大丈夫ですよ?私、ちゃんと待ってます」


ハイトさんも、ずっと私を待ってくれてましたもんね?


私がちゃんと自分の気持ちに気付くまで、ずっと待ってくれるつもりだったんでしょう?


だから、今度は私がハイトさんの事、待ちます!!


・・・・・でも、やっぱり。


「寂しい・・・・」


会いたいです。ハイトさん。


「・・・・あ」


今、下の方から何か打ち上げられたみたいです。

あれはお父さんの魔法でしょうか?わぁ!!




「綺麗だね。空に花が咲いた」


・・・・はい!とても綺麗ですね!


流石お父さん!!あんな事出来るなんて凄いです!


「それにしても。デズロ様、そんな暇なの?それなら仕事に復帰すればいいのにね?ササラ様が可哀想・・・」


「アハハ!そうですねぇ・・グスッ・・でも、ずっと働きっぱなしだったから、遊び足りないみたいです・・グスン」


「羨ましいなぁ。僕もしばらく、遊んで暮らしたいなぁ。ティファと」


そうですね。

ハイトさんもきっと、今までお忙しかったでしょうから。少しくらいなら休んでもいいんじゃないですか?


「ハイトさ・・・・」


「待った!今はまだ振り向かないで!」


え?でも、私顔が見たいんですが?


「あの、ハイトさん・・・」


「うん?」


「もしかして、今。裸です?」


「そうだね。見事に何も身につけてないね?」


わぁ。じゃあこのお父さんのローブ貸してあげます。

これなら少しは隠せると思うので!


だから・・・顔見せて下さい!!


「・・・・ティファ・・・」


「ハイトさん!」


私、ハイトさんが連れて行かれてから、ずっと後悔していました。あの時ちゃんとハイトさんに伝えなかった事。


だから、帰って来たら真っ先に言おうって決めてたんです!!


「好きです。大好き!!」


ちゃんと伝わりました?伝わりましたよね?

これ、ちゃんとした好きです!!

特別なハイトさんにだけの、好きですから!!


「うん、ティファ。僕も好きだ」


ヒュルルルルル・・・・・ドーーーーーン!


「泣かないで。笑って、ティファ!」


「はい!!泣いてません!」


だって泣く必要なんてないですからね!


これからは、ずっと一緒にいられます!ハイトさんの隣でハイトさんの為に美味しい料理一杯作ります!!

それを、想像するだけでワクワクしますから!!


ハイトさんの温もりを今度はちゃんと感じられます。

かんじ・・・られ・・ふにゃーーーー!!!


「ふぁ!!ハ、ハイトさん。あの、長いです!ちょっと一回離れましょうか?」


「ところでさぁ?ティファ。君は、なんで僕以外の男から求婚されていたのかな?」


んんん?なんでしょう?これは何やら雲行きが?


「しかもあんなに、しつこくされてたのに。君普通に接していたよね?嫌がりもせず。もしかしてアイツも好みなの?」


「はい?違いますよ?あの方も若干脳味噌が筋肉に覆われているようだったので、マトモに相手をしても無駄かな?と思っていただけで・・・」


「君がしっかり態度で示さないから、あの男完全に行けるって勘違いしてたよ?僕も君のあの態度はどうかと思って見てた!!」


え?見てたんですか?アレをずっと?あちゃー!


「き、気にし過ぎです!わ、私何とも思ってませんでしたし・・・ハ、ハイトさんがいますし・・・」


「分かってても嫌なものは嫌だ!もう絶対二度と僕以外の男に触られたりしないように!!」


「そ、そんな無茶な!ハ、ハイトさんって実はやきもち妬きなんですか?」


アレ?ハイトさん?ちょっ!また顔近づけ・・・んむぅー!!!


「そうだよ!!僕は凄くやきもち妬きだし束縛するからね!!覚えておいて!」


「え?ええ〜?」


い、意外です。

ハイトさん今までそんな素振り見せなかったと思うのですが?え?私が鈍かっただけです?


「あ。ハイトさん、お弁当食べます?」


「・・・・思い切り話を逸らしたね?でも食べる!!」


これを食べたら直ぐに下に降りましょうね?


その、流石にずっとその姿で居られると、目のやり場に困ってしまいますので・・・・。


「あ〜美味しい〜。久しぶりのティファのご飯」


「良かったです。これからはずっと、そのご飯食べられますから」


ん?ハイトさん何ですか?その顔。

何か変な事言いました?私。


「・・・・うん。毎日作って。僕、毎日ティファのご飯食べたい」


「はい。食べて下さい!私、毎日ハイトさんに、料理を作りたいです!」


そうやって、今度こそずっと一緒にいましょう!

5年先、10年先、その先までずっと!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ