デズロは二人を見守りたい
「お帰りなさい。お父さん」
皆元気?僕デス、デズロ・・・うえーん!!
最近ティファが僕の事、お父さんって呼んでくれるようになったんだよ?嬉しい!!毎回泣きそうな程嬉しいんだけど・・・・・。
「ただいま。今日も行くの?」
「はい!しばらく宿舎の仕事はお休みをもらったので、その間は通おうかと」
やっぱり最近元気ないね?
あれから一ヶ月以上経ったけど・・・帰ってこないもんね。日に日に元気が失くなって行くから僕本気で心配になって来たよ。もう、怒ったりしないから、ちゃっちゃと帰って来てくれないかなハイト。
「だいぶ寒くなって来たから、ちゃんと厚着して。ほら」
実はティファ。今宮廷近くの僕の家に住んでるんだ。
ここの方が大樹に近いからね。この前フィクスとベロニカもカスバールから帰って来たから宿舎の食事はベロニカが作ってる。
あの二人カスバールでも色々あったみたいだけど結局どうなったんだろうねぇ?
「じゃあ行ってきます!」
「うん。行ってらっしゃい」
僕はね、カスバールにいた頃いつも誰かに呼ばれていたんだ。それが誰なのか、何の為に僕を呼んでいるのかなんて全く分からなかった。そんな事よりも、僕はその日、命を繋ぐ事で必死だったからね。
そしてエルハドと出会って僕の世界は大きく変わった。
まさかエルハドとの出会いに大樹とこの国の精霊が関係してるなんて考えもつかなかったよ?ゴルドに教えてもらったんだ、この国の精霊の事。実はこの前コッソリ会いに行っちゃった。お礼も言いたかったしね?ビックリしてたよ。彼女、僕が怒ると思ってたらしいから。
アハハ!ないない!
「なんだ、ティファは今日も出掛けたのか?」
「あれ?エルハド?今日はリンディと出かけるんじゃなかったの?」
「それが、私が居ない間に女子会なるモノが発足されたらしい。今日はそれが行われる予定で、それを忘れていたから私との約束は中止だそうだ」
「・・・・それで僕の所に?エルハドってさぁ、実は僕以外友達いないの?」
「そ、そんな事はないぞ!!友人などいくらでもいる!」
怪しいねぇ?君も大概変わってる自覚、持った方がいいよ?ま!いっか?今日は新しい実験するつもりだったし?
「おーい!デズロー!遊べー!」
「ちょっとラット?様つけときなさい!一応あの人私達の主人なんだから!!」
あれあれ?騒がしいのも来たねぇ?
そういえばエリスも大活躍だったんだって?
君が大樹の枝に気付いたお陰で皆セルシスの事、確信したらしいよ?お手柄だね?飴あげる。
「あーいい天気だねぇ。気持ちいい」
あ、そういえば今度テゼールがまたこちらに来る事、ティファにいい忘れちゃったな。今度は観光目的だからゆっくりして行くつもりみたいだけど・・・鬱陶しいよね。
途中で事故に巻き込まれないかなぁ?テゼールだけ。
「お前、その顔やめろ。悪い顔して・・ティファが驚くぞ?」
え?そんな顔してた?ごめんごめん!つい?
でも、何だろうね?この状況。
2年前ぐらいは、こんな状況になるなんて全く予想していなかったんだよ?僕はティファとは死ぬまで会えないと思ってたし、またテゼールと喧嘩する日が来るなんて想像出来なかったなぁ。
「なんだ君達また来てたのか?デズロ様用意が出来ましたよ?」
「流石ササラ!仕事が早いよね?じゃあエリス!ラット!また馬車馬の様にこき使ってあげる!」
「「げ!!」」
「デズロ様、何言ってるんですか。そんな事したら見せる前にバテて寝込んでしまいますから。私が手伝います」
「冗談だよ〜?それに僕だけでも充分だしね?」
「何?何かするの?」
フッフッフ!実はねぇ?来年はこの国でも祭りを予定してるんだよ?だから、その時使う魔法の練習を今日はするんだ!上手く出来たらいいね?
あ、そうそう。
これが上手く行ったらさ?ギャドとセラの結婚式でも使わせてあげるよ?あの家、今とても揉めてるけど、そのお陰でギャドが踏み切ったみたいだからね?
良かったねぇセラ?
「・・・・何?エルハド」
「いい顔をしてるな。お前」
そう?・・・・そうだろうね。
だって僕、最高に幸せだからね?
「ずっと、お前に謝りたかった。あんなに死にたがっていたのに私の我儘で無理矢理ここに連れて来てしまった事を・・・・・」
「・・・・・・・・・そう」
「大樹がこの国から失くなれば、お前はもう自由だ。だから、これからはお前の好きなように生きればいいさ」
そうだね。
テリアーゼがあの男に殺された時、僕は消えて失くなりたいと願ったよ。でも、君を恨んだことは一度だってなかったんだ。だって君は約束を守ってくれたからね。
「エルハド。僕もずっと君に言ってなかった事がある」
「なんだ」
「僕を、生かしてくれてありがとう。エルハド。君に出会えて良かった・・・僕、約束通り世界一幸せになったよ」
エルハドが僕にくれた残りの人生を僕は目一杯生きるよ。
きっと絶対に楽しい余生になるだろうね?
だってこんなに気の合う親友や面白おかしい奴等に囲まれてその中心には僕の大切な娘が笑って暮らしているんだから。
だから、早く帰っておいでよ。
「そうか。それは良かったな」
皆、君の帰りを待ってるからね。