セルシスは改革派である
エルシャナ第一皇子
セルシス第二皇子
ケルベナ第三皇子
仲良し三人兄弟。
帝位は第二皇子が継ぎました。
「・・・と、いう経緯でお二人はカスバールへ旅立ちました。新皇帝陛下」
やっぱりねぇ?なーんか急いで帝位を継いで欲しそうだったもんな?これが目的かぁ?
「所で、何故セルシス様がお継ぎになられたのです?嫌がってましたよね?」
「それがさぁ?三人の中で俺が唯一の既婚者だろ?去年可愛い子供も産まれたばかり。だからだってさ?」
「え?そんな簡単に決まったのかよ?他の二人は・・」
ん?超笑顔で手を振って、その場を後にしたけど?アイツらこれから死ぬほどこき使ってやろ!!
「アースポントもお陰様でたっぷり溜まってるし、デズロ様以外でも中に魔力を貯められるよう、改良したんだよね?じゃもう、デズロ様に拘る必要ないよね?」
お?皆んな顔色が悪いね?でももう遅いよ?俺がこの国のトップなんだから、俺の好きな様にさせてもらうからね?
「まず手始めにオスカール帝国に宣戦布告しよう」
「「「え?」」」
え?ってアイツらのお陰でこちらは被害被ったよね?
まさか、そのまま許すと思ってたの?そんな訳ないよね?
「お前達も戦の用意しておいてよ?あちらの返事次第では大きな戦争になるからね?」
「新皇帝陛下。いくらなんでも、いきなり過ぎやしないか?」
「あのさ?さっきから、その新って何?すごい気になるんだけど?」
「あ、お気になさらず新皇帝陛下?」
あれ?俺おちょくられてる?新人イジメ的な何か?
俺この国の皇帝だよね?
「あの国とは表面上は上手くやっていたのに、良いのですか?」
「そう?俺はそうは思わなかったけど?現にまた内部から攻撃されたじゃない?ちょっと平和ボケしすぎなんじゃないの?」
皆。だからそんな顔しても無駄だって。
「それから、この国の魔力保持者に攻撃魔法を使える様に法律を変える。つまり、魔術師部隊を編成する」
「本気ですか?もし、魔力を持つ者達が暴走したら、私達に止める術はありませんよ?」
「そうならないよう考えるのがお前達の仕事でしょ?今までが過保護過ぎたんだよ。アイツら室内で毎日暇を潰してるよ?もっと外に出してやんないとな?」
良い機会だから、全てを壊して作り変えてしまおう!
一気に片付けた方がスッキリするでしょ?
「もし、数年前のように、この国の魔力が底を尽きそうになったら、どうされるのですか?」
「魔力持ちは見つかってないだけで、いくらでもいるだろ?この国の体制のせいで皆隠してるだけ。法が変われば、あちらから出て来る。見つかったら保護という名の軟禁生活じゃさぁ?そりゃ隠れるよね?」
ずっと気になってたんだよね?
この国の自由な気質に似合わない制度だと思わない?
「まぁ、それはそうですが」
「つまり、陛下はこの国を変えたいのですね?」
「んー。まぁそうなるかな?」
皆急に険しい顔に変わったね?
いつもみたいに冗談でも言って笑い飛ばすと思ってたのかな?残念でした。
お父様、俺の好きにしろと言ってたからね?こんな旨味でもなきゃ誰がこんな面倒な役割引き受けるって言うんだろうね?
「お前達は感じた事ないの?この国はおかしいよ。全てはあそこにそびえ立つ大きな年老いた樹木の所為だ。でも、今まで誰もその事に触れた事も、あの木を焼いてしまおうとした事もない。あの木がこの国の魔力を吸い続ける所為で、サウジスカルの人間はずっと苦労して来た。でも、逆に言えば、それさえなければ恵みの御神木だ。この国は、あの木の根が届く範囲なら、土壌は肥え作物が良く育つ。その作物はとても質が良い。他の国はこの木を欲しがっているが、実際それを管理している俺達はこんなにも疲弊している。デズロ様が居てくれたから今までまともに生活出来てたんだよ?」
「・・・それを、なんとかしたいのですか?」
「あの木が無くても、この国がちゃんと成り立つよう、あらゆる災害や厄災にも耐えられるシステムを構築したい。実の所あの木の寿命が尽きそうだという話も出てる」
「それは、確かに急ぎ対策が必要ですが、何故それで戦争を?」
「他国との結びつきはこれから、とても重要になってくる。それを見極める。これで相手が簡単に牙を剥いて来るようなら交易相手を変えなければならないからね?」
あそこから入ってくる交易品は皆んな高すぎるんだよ!
足下見られまくりだよ?もっと真面目にやってよお父様?
「・・・・・驚きました。セルシス様って、意外と真面目に考えてたんですね?国の事」
「本当にな。いつもヘラヘラ笑ってふざけてたから、デズロ様二号かと思ってた俺」
「口にするのは簡単ですが、それ、一体どれだけ大変な作業か、分かってますか?」
大丈夫だいじょーぶ。
勿論それには兄様とケルベナにも協力してもらうから?
俺を安易にこの地位に据えた事、後悔させてやろう。
俺、やれば出来る子なんだよ?
「世代交代しても、ブラックなのは変わらなかった」
まぁまぁそう言わずに?
俺と一緒に死ぬほど楽しく働こうぜ!!