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アイラはベロニカを引き止めたい

「え?ベロニカの余命が?」


「そうらしい。とにかく見つけたら逃げられないように引っ付いててくれ。あと、走らせたり体に負担をかけさせる真似もさせないようにな?捕まえたら直ぐに医療所に連れて行って調べないといけないからな」


そんな。


それはいつから?

ここに来てベロニカが体を酷使していないことなんてあったかしら?・・・・ないですわ。


ティファがさらわれた時も、ティファと一緒に異空間の割れ目に入って行った時もベロニカは体に、かなりのダメージを受けた筈。何故、今まで隠して?


「アイラ?大丈夫か?」


「・・・ヨシュア様。ベロニカは、死に急いでいるのでしょうか?」


「・・・・さぁな。俺にもわからん」


どうして?もしかして、ここでの暮らしそんなに辛かったのですか?ベロニカいつも淡々としていたのでそんな風に思っていたなんて考えつかなかったですわ。


「わ、私も少し外を見てきますわ。ヨシュア様も探しに行って下さいまし」


「遠くには行くなよ?この近くだけだからな?」


「はい。わかっておりますわ」


そういえばお兄様は宿舎にいらっしゃらなかったのですわね?一応お兄様にもお知らせした方がいいですわよね?


一度宿舎に向かおうかしら。


ベロニカ、やけに最近お化粧が濃くなったと思ってましたが顔色を隠す為だったのですわ。


日に日に部屋から出る回数も減っていた気がします。

それもてっきりエリスとラットが来て仕事が減ったから休んでいるのだと、思い込んでましたわ。


「ベロニカ」


どうしましょう。私、段々不安になってきました。

だって、心臓が止まりそうって事は、今すぐ止まってもおかしくないのですわよね?そんな・・・・。


「そんな事は許しませんわ」


貴女がいなくなったら、一体誰がティファを止めるのです?私貴女がここに来てからずっと貴方が羨ましかった。


「勝ち逃げなんて許しませんわよ?」


どうか、その日がまだ先であって下さいませ?

でも、もし今止まってしまったら?


バーーーーーン!


「お兄様!!」


「え?アイラ?どうした?」


お兄様!こんな所で何をなさってるんです!緊急事態ですのに!


「ベロニカを見かけませんでしたか?今皆で探しているのです!!」


「え?今さっき街中で会ったけど?どうした?」


なんですって!!もう、もう!!お兄様の馬鹿!なんでそのまま連れて帰ってこなかったんですのぉぉぉー!!


「何?またティファが暴走したのか?」


「違います!!べ、ベロニカが・・・・」


あ、駄目ですわ。口にしてしまうと一気に現実味が。


「もうすぐ、死んでしまうってぇ・・・・・」


「・・・・・・・・アイラ。落ち着いて」


「ゴ、ゴルドが、ベロニカの心臓はもうボロボロだから、もう少しで止まってしまうって・・・・ティファが、それを聞いて飛び出して、皆も、でも、どうすれば」


お兄様?私どうすればいいのでしょう?

ベロニカとは一定の距離を置いているつもりでしたのよ?

それなのに、彼女が明日にでも死ぬかもと聞いてこんなに胸が苦しい。


「・・・・大丈夫。俺が無事に連れて帰って来る」


「お兄様」


ええ・・・・それで、確かに無事に帰って来ましたが?

ベロニカ血塗れなんですけれど!?


「べ、べ、べ、ベロニカ?その血は?」


「・・・・ああ。ちょっと罪人を捕まえて。私の血じゃないわよ?その罪人達の血が服に付いただけ」


「すまないアイラ。これからベロニカを宮廷に連れて行くから皆が戻って来たら、そう伝えてくれるか?」


医療所に連れて行くのですわね?分かりましたわ!!逃げないように着替える間、私が見張っています!!


「・・・・フィクス」


「何も言うな。とにかく一度診てもらう」


そうですわよ!ちゃんと治療しないといけませんわ!

さ!サッサと着替えて宮廷に!


「貴女のお兄さんは結構頑固ね。無駄だと言っているのに」


「何を言っているのですか?何もしないで諦めるなど!ベロニカ。何故今まで黙ってたのです?」


「・・・アイラ、落ち着いて。元々すぐ出て行く予定だったし、今だって言う必要ないでしょ?別に、私達は家族でもなんでもないじゃない」


「・・・・・・・・家族じゃなかったら、心配してはいけないのですか?」


いけないですわ。ベロニカを興奮させては駄目ですのに。私、我慢の限界を迎えそうですわ。


「貴女にとって私達の存在など、ここから出てしまえばどうでもいい存在なのでしょうね。だから、こんな酷いことが出来るのですわ」


「アイラ?」


ティファもベロニカも卑屈ですわ。

確かにここに来た経緯もあって最初は敵同士のような空気感はありましたし、距離も置いてました。でも、これだけ一緒にいれば貴女が悪人ではないって、わかりますわよ?


ずっとベロニカが、私達の所へ来るの待ってましたのに。


「別に貴女が私の事、なんとも思ってなくても構いませんわ!私は、勝手に自分の意思で心配しているのです!きっとこのまま貴女がここを出て行っても忘れる事など有り得ませんから!一生死ぬまで覚えていて、思い出しては笑ってやりますわ!」


どんなに私が二人に近づきたいと思ってもいつも貴女達は私に一線引いていましたわね?それでも今まで知らない振りで通して来ましたわ。でも、いつの日かって希望は持っていましたのよ?私を友人だと認めてくれるって。


「・・・・ごめんなさい。アイラ、そうじゃないの。貴女の事をなんとも思ってないわけじゃないわ」


そんな慰めはいりませんわ!それに私は平気です!こんな事で泣いたりなんてしませんわ!今更私に抱きついても遅いですわ!!なんて冷たい手をしてるのです!ちょっとかしなさい!体も冷え冷えですわよ!?ムキー!!


「私は、貴女達に私の事を忘れて欲しかった。私が動かなくなった時、それを悲しむ人を作りたくなかった。だから、ティファの近くに、居たくなかったのよ」


ベロニカ、お願いですわ。一生のお願いですから!


「私は、ティファを裏切って敵国に渡したカスバールの騎士。あの人のことなんて何とも思ってないわ。だから、誰も悲しむことなんてない。それが、私の望みなの」


「そんなの、嘘ですわ!」


「ええ。でも、あの国を出た時、決めた事だから」


1分でも1秒でも長く、生きて下さいませ。

その間に必ず、必ず貴女を助ける方法を探しますから!!

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