教会
9話目です。
食事が終わり店を出るとゼニーの勧めで教会に寄ることになった。
こちらの世界では創造神と光の女神が信仰されているらしく、これからの冒険の安全を願ってお祈りしておいたほうがいいとのことだった。
実際あの女神と会ったけど、アレが光の女神とも限らんからな。
それに話を聞くかぎり、どうやら傷の回復などもやっているらしい。
もちろんそれなりのお金もかかるとのことだが知っておいて損はないだろう。
教会は思っていたよりかなり大きな建物だった。
教会内も広くキレイに清掃されており、多くの人が像の前でお祈りをしている。
あのお爺さんみたいな像が創造神で、隣のキレイな女性の像が光の女神像なのだろう。
光の女神像はあの白い空間で出会った女神より巨乳で顔立ちが若く見える。
やはり別の女神なのだろう。
俺たちもそれぞれの像の前で手を組みお祈りをしていく。
光の女神像の前でお祈りをしだすと、突然頭の中に直接声が響いた。
『なかなか良い心がけですね。』
俺は思わず「うぉ!」と声を上げて驚いてしまった。
周りの視線が痛い。
俺は「すいません、何でもないです。」と言い再びお祈りをした。
『驚かせてすみませんね。 今あなたにだけ直接頭の中に語りかけているので、あなたもここの中で私に話しかけて貰えれば大丈夫ですよ。』
『その声あの駄女神じゃねぇか!』
『駄女神とは失礼ですね。 予算がなかったんですから仕方ないじゃないですか。 さすがに悪いと思ってるんですからこうやって連絡してあげてるんですよ。 普通こんなことないんですからね!』
『その予算だって、そっちのムダ遣いが原因だろうが!』
『そんなことないです、必要経費です。 さて、謝罪も終わりましたし、なにか質問とかあります?』
『目の前の像なんだけネルと比べて巨乳で若く作られてる気がするんだけど。』
『女性はいつまでも美しく見られたいものなんですよ。 何か文句でもございますか?』
すごく優しい声なのに「これ以上聞いてくんじゃねえよ」と副音声が聞こえ、般若の如く恐ろしい顔がチラつくのはなぜだろう。 背筋がブルリと震えた。
『いえ、なにもないです。』
女性には触れてはいけない話がある。 肝に銘じておこう。
『そういや、こっちの世界では食文化って日本と比べて遅れてんのか?』
『あちらの世界に比べたらかなり遅れていますね。』
『マジか。 試しにこっちの飯食べてみたけど肉は固いし味は基本塩だけの味つけだけだし、日本の食事で育ってきた俺にはキツいぞ。 なんとかならないか?』
『うーん、そうですね。 では、アナタが何とかしてみては?』
『はぁ? 俺が何とかしろとは?』
『特別に上司に掛け合って予算貰って鑑定のスキルとアイテムボックスのスキルをあげますね。 あとは日本の調味料などたまに送って差し上げましょう。 まぁ、最終的には調味料などもそちらの世界で作れるように頑張って下さい。 そうすれば食べ物もわざわざ高い地球から買わなくていいし、こっちの世界の食事が美味しくなれば私たちの職場の食堂なども美味しくなりますからね! よろしく頼みましたよ。 今のうちに調味料だけアイテムボックスに送っておきますね。 じゃあ 頑張ってくださいよー。』
俺まだ引き受けるなんて言ってないんだけど。
でも、なんだかんだで鑑定とアイテムボックスのスキル貰えることになったみたいだし、さらに日本の調味料まで送ってくれるらしいから、悪いことばかりでもないか。
仕方ない。 俺の食事のためにも頑張るか!
ここまで読んでくださりありがとうございます。