冒険者証
そんなこんなで、何とかクレアとの関係を修復することができた。
それにより胸につかえていたもやもやした感覚も消え去り、すっきりとした晴れやかな気分だ。シャーロット先生には感謝しかない。そのうち菓子折りでも持ってお礼に行くとしよう。
でも、結局授かった秘策は一つしか使わなかったな。秘策その二【理解し寄り添う】と、秘策その三【一緒の思い出を作る】という全部で三つの秘策を用意してもらってたんだけど、結果的に一つ目の秘策だけで事足りた。まぁ、この二つの秘策に関しては時間を掛けることが前提なので、一つ目でどうにかなって本当に助かった。
でも、今後また同じことを繰り返さないためにもこの二つの秘策は実践していった方がいいのかもしれない。心の機微に疎い俺に人のことを理解できるのかは微妙だけど、そこは頑張るしかないだろう。思い出に関しては一緒に過ごす時間をこれまでよりも増やせばいいだろう。たまには一緒に街を散策するのもいいかもしれない。
まぁ何にせよもう少し周りに目を向けてみるべきだな俺は。必要なことだとはいえ、自己鍛練やスキル取得にばかりかまけ過ぎていた。前にも思ったことだけど、常日頃からもう少し余裕を持った方がいいだろう。
その後、クレアと他愛ない話をしたり、一緒に買い物に行ったりするうちに日が暮れてしまった。任務から帰ってきたミリオにはもう仲直りしたのかと驚かれたりもしたが、その日は結局特に何をするでもなく一日が終わりを迎えた。
翌日。
俺は再び冒険者ギルドへやってきていた。
今日、ついに念願の冒険者証を手に入れることができる。ここまで辿り着くのに予想以上の時間を掛けてしまったけど、その分強くなれたのでよしとしておこう。
ギルドへ足を踏み入れ、受付で話を通し、ギルドマスターの執務室にやってきた。
「おう、来たか。ほれ、これがお前の冒険者証だ」
部屋に入ってそうそうにグランツさんが俺に向けて冒険者証を放ってくる。
「ちょっ!?」
それを慌てて受け止める俺の姿を見て、グランツさんが豪快な笑い声を上げる。
「はっはっはっは!」
「いや笑い事じゃねぇよ! 何してくれてんだよあんた!」
「悪い悪い。お前は反応が面白いんでついな」
「ついじゃねぇよ。あんた本当にどんどん俺に対して遠慮がなくなってきてるよな。昨日はギルドマスターっぽかったのに、今日は意地の悪いおっさんかよ」
「はっ、おっさんってのは若者をからかうのが好きなんだよ。諦めろ」
……絶対嘘だ。こんなことするのはあんたぐらいだよ。知らんけど。




