言葉
部屋から出てきたクレアは、俺の言葉が相当恥ずかしかったのか、頬を真っ赤に染め両手で口元を隠すようにして、ちらっとこちらを見上げてくる。
まぁ、確かに俺もかなり恥ずかしい台詞を口走ってしまった感はあるが、それにしても本当に真っ赤っ赤だ。ああいうキザっぽい言葉に対しての耐性がないのかもしれない。純情だな。
さて、恥ずかしがっているクレアを眺めているのも有意義だが、今はそんな状況じゃない。なので、とりあえず会話をするための下準備として思念会話を繋げる。感覚的にお互いが繋がったことを理解したのだろう、クレアがぽつぽつと控えめに感情を乗せた思念を伝えてきた。
『え、えっと。その、話って?』
「うん。俺がクレアのことをどれだけ大切に思っているかってことを聞いてほしいんだ」
シャーロット先生から授かった秘策その一。【思いは言葉にして伝える】
相手のことをどれだけ大切に思っていようと、普段から感謝してようと、それは言葉にしなければ相手には伝わらないということだ。当たり前のように聞こえるが、これが案外難しい。
というのも、関係が深くなればなるほどに相手に大しての思いやりや感謝というものは忘れがちになる。覚えていたとしても、気恥ずかしさなどからそれを有耶無耶にしてしまい、それが相手に伝わることなく自分の中で完結してしまう。それが積み重なることで擦れ違いが生じて不仲の原因になるそうなので、些細な気遣いの一つ一つをこなしていくことが関係修復の第一歩なのだとか。
それに、やきもちというものは相手の関心が自分ではなく他に向いていることに対しての抗議という側面を持つので、相手が普段から自分を見てくれているという事実をきちんと伝えることで多少緩和できるということだ。
もちろん上辺の言葉だけでは相手にきちんと思いは伝わらない。むしろ気持ちのこもっていない言葉は相手を不快にするので、絶対に禁物なんだと。
まぁ、それは確かにそうだと思う。実際に感情のこもっていない言葉というものは何度か聞いたことがあるが、あれは駄目だ。あれなら何も言わない方がまだマシだと思うぐらいには無機質で気持ちの悪いものがある。
それにしても、全くシャーロット先生は小さいのによくこんなことを知っているものだ。感心するよ。




