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 シャーロットから秘策を授かった俺は今、クレアの部屋の前に立っていた。

 秘策を実行するうえで必要なことは三つ。一つ、顔を合わせること。二つ、否定的な言葉は吐かないこと。三つ、何があっても怒らないこと。細かく言えば他にも色々と教えられたのだが、途中で俺の頭がパンクしそうになってきたので、最低限必要なことだけを学んできた。それを生かすも殺すも俺次第なので、後は間違った対応をしないように最善を尽くせばいいだけだ。まぁ、絶対にこれで関係を修復できる保証はないけど、そこは頑張るしかない。

 とにかくまずは顔を合わせないことには始まらないので、部屋の扉をノックする。拒絶されたらどうしようという気持ちが湧き上がってきて少し手が震えているが、何とか堪えて二度ノックを繰り返す。

 ……返事がない。ただの屍のようだ。って思念会話を繋げてないから返事がないのは当たり前なんだけど。

 このスキルは視認できない相手には繋げないという欠点を抱えているので、俺から話し掛けるしかない状況だ。一度繋げれば視覚の範囲外に行こうが、ある程度の距離までは繋がったままなんだが、それもままならない。

 とりあえずこのままじゃ話が進まないので、部屋の中に居るクレアに声を掛ける。


 「クレア。俺、アスマだけど。少し話がしたいんだ。扉を開けてくれないか?」


 ……返事はない、が、微かに部屋の中から衣擦れ音が聞こえ、何かが動く気配がした。もう一押しか。


 「頼むよ。一度でいいから俺の我が儘を聞き入れてくれないか? 顔を見て話がしたいんだ。お願いだよ。可愛いクレアの姿を俺に見せてくれよ」


 普段なら絶対に言わないような言葉を、その場の勢いに任せて言い放つ。後で思い出して悶絶しそうだけど、今はそんなことを考えない。必要なら自分を曲げることもいとわない。それが今俺にできる唯一のことだからだ。


 「俺は大好きなクレアと一緒に居たいんだ。だから、話を聞いてほしい。ここから出てきてくれないか?」


 嘘は言ってない。素直で一生懸命で可愛くて、愛らしいクレアのことが俺は大好きだ。本当に妹のように思っているほどだ。これまでみたいにあのはにかんだ笑顔を見せてほしいし、日々を一緒に過ごしたいとも思っている。そうでなければ、何がなんでもこの関係を修復したいだなんて思わない。この半年でこの子は俺にとって本当に大切なものに変わっている。だから、このままろくに顔も合わせてもらえない関係で終わるなんて絶対に嫌だ。

 と、その時。また部屋の中で何かの動く気配を感じた。その気配は扉を挟んだ向こう側で止まる。

 そして、少しの間をおいて、扉が開きクレアがその姿を現した。

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