味方
翌日。
冒険者ギルドへの報告を済ませ、家に帰ってきた俺を待ち受けていたのは、圧倒的なまでの静寂だった。
昨日から引き続き、クレアは機嫌を損ねたままだ。子供らしい態度と言えばそうなんだけど、食事の時ぐらいにしか顔を見せてくれないというのは、なかなかに心苦しいものがある。
しかも、意図的ではないにせよ、その原因を作ってしまったのが俺のようなので尚更だ。
このままじゃいけないとは思いつつも、歳頃の女の子の機嫌を取る方法なんて、正直分からない。
なので、同じような歳頃っぽいお方にアドバイスをもらおうと思い、俺はまたしても例の魔法薬販売店に訪れていた。
「というわけで、どうすればいいかな?」
「……昨日の今日で何の用かと思えば、妹君のご機嫌を直す方法を教えてほしいだと? そんなものは知らぬ。他を当たることを勧める」
と、すげなく断られてしまうが、ここで退くわけにはいかない。何故ならこの街で女の子の知り合いと言えばシャーロットか、アンネローゼ、テレサさんとリリアぐらいしかいない。
正直、アンネローゼは相談には向かない。あの子は基本的にマイペースで自由奔放に生きているので、悩み事とは無縁だからだ。もちろんそれが悪いこととは言わない。むしろ健全でよろしいと思う。まぁ、もう少し落ち着きを持ってほしいとは思うが。
テレサさんは仕事中だし、プライベートの話を持ち掛けるのはマナー違反だろう。それに、そういう話をするほど親しい間柄というわけでもないし。
リリアに至っては居場所が分からない。四ヶ月程共に訓練所で鍛練に励んだ仲なのである程度は仲も良くなったが、さすがにどこに住んでいるかは知らない。ギルドで待ち伏せれば、そのうちカイルやオリオンと一緒に任務を受けに来る時に顔を合わせることは可能だろうが、時間の無駄だし、それはやめておいた方がいいだろう。
その点、シャーロットなら基本的にこの場所にいるだろうし、何より単純に話しやすい。それに、商売をしているだけあって見た目以上に聡いので、相談にはうってつけの相手だ。
「いや、そこを何とか。不躾だとは思うけど、シャロちゃんの他にこんなことを相談できるような知り合いがいないんだよ」
「……ほう。フッ、そういうことなら仕方あるまい。貴様に我が、叡智?を授けてやろうではないか」
「ありがとうございます!」
よし、最強の魔術師(自称)を味方につけることに成功した。どんなアドバイスをもらえるのかは分からないが、同じ女の子の意見なら俺が一人で考えるよりは遥かに良い提案をしてくれるはずだ。良かった、これで何とかなりそうだ。




