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購入

 「別に子供扱いしたわけじゃないって。純粋に頑張り屋で可愛いシャロちゃんを褒めてあげたかっただけなんだ。紛らわしい言い方してごめんな。許してくれないか?」


 俺には似合わない、少しキザっぽい言葉遣いになってしまったが、この子はこういう芝居掛かった言動が好きみたいだし、なんとかこれで誤魔化せないだろうか。


 「また可愛いって言った……まぁ、よい。我は寛大であるが故に、貴様の罪を許そうぞ」

 「ありがたき幸せにございます」


 テレビか何かで聞いたことのあるような礼の言葉を何となくで口に出してしまったが、この言葉はこんな感じの使い方で合ってるんだろうか?

 まぁ別に間違っていてもいいか。こういうのはノリが肝心なんであって、正否なんて重要じゃない。とりあえず耳当たりの良い言葉を選んでいれば何とかなるものだ。と、思う。


 「うむ。それで? 買い物に来たとのことだが、何を求めて我が店舗へと足を踏み入れたのだ?」

 「そうだな。とりあえず、回復薬を一本貰えるか」

 「回復薬か。あれは高価だぞ? 予算はあるのか?」

 「あぁ、それなら問題ない」


 財布代わりに腰から吊るしている革袋を開き、回復薬代を取り出す。いずれミリオに回復薬を返そうと思っていたので相場は既に調べ済みだ。よっぽど品薄でもない限りはこれで足りるはずだ。

 掌に代金を乗せて差し出すと、それを受け取ったシャーロットが自分の掌の上で数を数えそれに納得すると、店の奥へ向かいカウンターの中に金を仕舞い、すぐ近くの戸棚から薬液の入った小瓶を取り出し、それを持ってこちら戻ってきた。


 「そら、我が謹製の回復薬だ。受け取るがよいぞ」

 「ありがとう」


 手渡された回復薬をポーチの中に仕舞い込む。本来は仕舞う前に、真贋を見定めた方がいいんだろうが、正直そんなものは分からない。だが、さすがに信用が大切な客商売で相手を騙すような真似をするとは思いたくないし、この子にそんな腹芸ができるとも思えない。何となくだけど。

 まぁ、何にしてもとりあえずこれで一つ目の目的は達成した。後は毒薬を手に入れて、あわよくばもう一本回復薬を手に入れられれば幸いだが、そう上手くはいかないだろうな。

 それよりもどうやって話を切り出そうか。

 よく考えてみると、毒薬を欲しがるやつなんてろくなやつじゃないような気がするんだが。俺の中で毒のイメージと言えば暗殺者が対象を暗殺するのに使っているようなイメージだし、こちらの人たちにしても少なからずそういうイメージを抱いている人はいると思う。

 なんで、できるだけ不信感を植え付けずに毒薬を入手したいところなんだけど、さてどうするかな。

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