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理由

 『……だから、アスマ君もお父さんとお母さんみたいに、もう帰ってこないんじゃないかって』


 そっか。ちょっと帰りが遅くなっただけでなんでこんなに動揺しているのかと思っていたけど、そういう理由があったからだったんだな。嫌なこと思い出させちゃったよな。


 「大丈夫、俺はここにいるから。今回みたいに帰ってくるのが少し遅れることがあるかもしれないけど、何があっても俺は絶対にクレアのところに戻ってくるって、誓うよ」

 『……うん、うん』


 泣きながら何度も頷くクレアの背中をぽんぽんと、安心させるように優しく叩いてやる。

 そして、視線をクレアからミリオに移し、思念会話をミリオにだけ聞こえるように調整する。


 「で、両親がそんなことになってるのに、何でまたお前は冒険者になんてなったんだ? 前に聞いた時は確か、他の職業よりも収入が良いからって言ってたけど、今の話を聞いたらそれだけが目的じゃないってのは明白だ。なら他の理由があるはずだ、それはなんだ?」


 ただ二人で暮らすだけなら冒険者にならなくても普通の仕事に就けばその収入だけで暮らしていけるはずだ。わざわざ危険を冒してまで外に出る必要はない。いったい何が目的なんだ?


 「あはは、やっぱり気づくよね。うん、その通り収入だけが目当てじゃないよ。色々と準備をするために二年間は普通の仕事もしてたけど、それだとお金しか手に入らなかった。僕が本当に欲しいのはね、強さなんだよ」

 「強さ、か」

 「うん。レベルを高めるためには魔物と戦わなくちゃならない。でも、普通の仕事をしていたら外に出られる機会なんて滅多にないからね。その点冒険者なら二つを同時に得られる。だから、反対するクレアを説得して、僕は三年前冒険者になったんだよ」

 「なるほどな。金を稼げて強さまで手に入れられる職業っていえば、確かに冒険者が最適だな。正直俺と全く同じ理由だから驚いたよ。それで、強さを手に入れてどうするんだ?」

 「……父さんと母さんが最後に向かった場所に行ってみようと思うんだ」


 そういうことか。二人の両親が任務でどこに向かったのかは知らないけど、場所によってはとてつもない強さを持った魔物もいるはずだ。それを考えれば強さを求めることはおかしなことじゃない。


 「……そっか。でも、それじゃあクレアはどうするんだ?」

 「もちろんクレアも連れていくよ」

 「それは、大丈夫なのか?」


 クレアは冒険者じゃない。確かレベルは3と言っていたはずだが、そのレベルでは本当に低級の魔物を倒すのが関の山だろう。それについての対策はどうするつもりなんだ?


 「僕とクレアだけなら、正直厳しいね。だから、そのことでアスマに話があるんだ」

 「俺もその旅に同行してくれって話か?」

 「結論を言えばそうなんだけど、その前に君に話しておかないといけないことがあるんだ」

 「なんだ?」

 「なんで僕が君を助けたのかって話、だよ」


 ……へぇ。

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