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問題18

『アクティブスキル《死気招来》発動。アクティブスキル《力の収束》発動』

「おおぉぉ、らっ!!」


 クレアに先行する形で飛び出し、鉄蟻の背後を取ってその無防備な腹部に真横から蹴りを放つ。

 力いっぱい地面を踏み締め、全身のバネを活かすようにして振り抜いたそれは、相変わらず生物のものとは思えないほどの音を発し、ほとんどの威力をその外殻に阻まれてしまうが、わずかながらもその身を傾けることに成功する。


「まだ、まだぁっ!!」


 勢いのまま体を回転させ、地面へ叩きつけるように真上から蹴りを一撃、二撃と落とす。

 だが、そのどちらもが大した効果を得られず、さらに《危険察知》が発動したので全力で飛び退くと、鉄蟻が反撃とばかりに全身を大きく振るっていた。


「……ふぅっ」

『アスマ君、大丈夫!?』

「あぁ、大丈夫」


 《死気招来》を解除し、足の状態を確かめながらクレアへ答える。

 向こうの二人も一度退いたようで、とくに外傷はなさそうで安心した。


「分かってたことだけど、力押しでどうこうできる相手じゃないな。あれは」

『そうだね。さっきので傷一つもついてないもんね』

「まぁ、ダメ元だったからそれはいいんだけど。脚の内側……どう攻略するかな……」


 そう。問題はどうやって脚の内関節を的確に狙うのか、だ。


『隙間に潜り込むぐらいじゃないと、脚の内側なんて攻撃できないもんね』

「そうなんだよなぁ……」


 そのための隙を作ろうとしてみたんだけど、結局試みはほぼ無駄に終わってしまった。

 一か八かで突っ込むなんてのは論外だ。

 あれの重さ、力強さは身をもって体験したからな。うっかり、なんてことが許されるほど甘くはない。


「……悩んでる暇なんてない、か。ミリオ!」


 正面を向いたまま、呼び掛ける。

 俺なんかでは思いつかないような、何かをあっさりと思いつく彼に、すべてを丸投げするために。





「本当にやれんだろぉな、アスマ!」

「……おう! やるよ、やってやるさ!」


 ミリオから俺宛に伝えられた策は、冷静に考えると、かなりとんでもないものだった。

 一歩間違えるだけで大怪我負うこと間違いなし。なのだが、「《危険察知》でタイミングを完璧に計れる君になら問題なくできる」的なことを言われ、たしかにと思ってしまったからには、やるしかないだろう。


『アスマ君。回復薬は準備してあるからね!』

「……うん、ありがと!」


 クレアからの、期待と心配がはらんだ言葉を背に受け、行動を開始する。

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