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問題15

「しっかし、硬さは変わってんのか、これ? わっかんねぇなぁ」


 外殻の硬度を確かめるためか、それを剣で叩いていたが、結局違いはわからなかったようで、肩をすくめている。


「まぁ、それは後であいつらに聞きゃいいか」


 そう言って自己完結してみせたディラックさんは、なぜか片方の剣をその場で手放し、鉄蟻の死骸を掴むと、こちらへ振り返り、注目しろとばかりに手を上げる。


「よし。じゃ、今からこいつの弱点説明してやっから、これ参考にしながら見とけ!」


 ぶんっ、という風切り音と共に投げ飛ばされた死骸(それ)は、ほどよい位置で落ちた後、一回転して仰向けの状態で停止した。


「あ、頭と尻には近づくなよ! まだ動くかもしれね――っと、まだ話してる途中だろ、が!」


 こちらへ話し掛けている間に、行動を再開していた二体の鉄蟻から襲い掛かられるが、余裕のある動作で回避すると、一体の触覚を掴み、体を回転させた勢いでそれを壁に投げつける。

 そして、その場に残った一体に対峙し、剣を構える。


「まず、外殻の表面! 馬鹿みてぇに硬くて、弱っちい攻撃はほとんど無効化されるから、絶対攻撃すんな!」


 触れてみると、それは皮手袋越しでもわかるぐらいに硬く、叩いてみれば結構や厚さがあることもわかった。

 この殻に対しては、たしかに並大抵の攻撃じゃ歯が立たないだろう。


「狙うのは、殻の薄い体の裏側と、脚の内関節! 表面と違って、そこは光沢がないから見りゃわかる!」


 比べてみるとそれは一目瞭然で、特に胴体の中心はそれが顕著だ。


「どうやって攻撃するかは簡単だ! こいつらは動きが遅ぇうえに、単純! 正面から外れた左右の、顎の範囲外に立てばこうして前脚を振り下ろしてきやがる!」


 ディラックさんの言ったとおり、ぎりぎり顎が届かず、前脚だけが届く位置に移動すると、鉄蟻は振り上げた脚で彼を攻撃した。


「威力が乗り切る前に、それを前衛が受け止めろっ! ただ、絶対に爪は避けてな!」


 剣でそれを受け止め、補足するように言ったとおり、脚の先には鋭い鉤爪が備えられていて、下手な受け方をすれば刺されてしまう可能性がある。


「こうして止めてる間、こいつらは力押しで潰そうとしてくるだけだ! だから、あとはてめえらのやり方で、弱点さらしてぶっ倒せ!」


 そう言って、鉄蟻の前脚を押し返すと、浮いた胴体に易易と剣を突き刺し、大きく真上に斬り裂いた。

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