表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
635/644

問題13

「ふーん。楽しい楽しい食事中ってわけだ」


 ディラックさんの言うとおり、鉄蟻たちは二、三体ずつが壁際で頭を突き合わせるように固まっていて、その大顎で砕いた鉱石のようなものを(むさぼ)り食らっていた。

 あんなに硬そうなものを簡単に粉砕するぐらいだから、もし手足を挟まれたりなんかしたら、たまったもんじゃないだろう。


「ああ。通常であれば、奇襲で即座に殲滅可能だが……さて」

「おう。あいつらの殻が黒鋼並みに硬ぇってんなら、ちっとばっかし話も変わってくるわな」

「あそこのドワーフ連中が倒せる程度なら、さすがに黒鋼ほどじゃねぇだろ」


 眼光鋭く鉄蟻を観察するフェイリアスさんの言にガトーさんが応え、ディラックさんが続く。


「それに、この面子で手こずるなら、それこそ即撤収案件だろ。対策万全の上級パーティーにでも任せるべきだ、ってな」

「がっはっは! 違いないっ!」


 それは間違いないだろう。

 個人で竜を狩れるディラックさんに、上級冒険者目前と言われているパーティーが二つ。

 これだけの戦力が揃っていて、雑兵ともいうべき魔物相手に苦戦を強いられるようでは、女王の存在を確認するどころの話ではなくなるからな。


「たしかに。では、確認の意味も含めて、その質を見極めてみるとしよう」

「ま、気楽に行こうぜ。と、そうだ。フェイリアス、その間こいつ預かっててくんね?」


 彼は、シエラの背を軽く押し出すようにして、勝手にも思える頼みごとをするが、その理由をなんとなく察したのか、フェイリアスさんはなにを聞くでもなく「……了解した」とだけ返した。


「さて、と。ほんじゃ、とりあえず俺たちは向こうの一団もらうから、なんかあったらでけぇ声で呼んでくれ」


 奥まったところにいる三体の鉄蟻を指差し、我先にとそちらへ歩き出すディラックさん。

 そんな彼の行動を止めることはせず、リーダーたちはそれぞれが承諾の言葉を返す。


「それでは、君たちも存分に励んでくるといい。ルキナ」

「はいはい。《フィジカルブースト》《フィジカルプロテクション》《マジックプロテクション》《マジックコントロール》」


 フェイリアスさんが声を掛けると、ルキナさんからこちらの全員に向けて、各種補助魔術が掛けられ、それを終えると彼女は笑顔でこちらに小さく手を振ってみせた。


「じゃ、頑張ってね〜」

「うん。ありがとう。そっちも気をつけて」


 そんな彼らなりの激励と共に送り出され、ディラックさんの背を追いかける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ