秘密2
『そういや、やっぱりこの辺りは俺たちの住んでるとことは全然違うんだな』
『えっと、魔物の強さがってこと?』
『あぁ、うん』
基本的うちの近所には、一人でどうにかできないような魔物がでることはない。
もちろん例外はあれど、遭遇するものすべてがここまで強いということは、俺の知る限りでは絶対にないと言い切れる。
『前にも言ったことがあると思うけど、それなりに大きな街なんかは作る前に色々な調査をして、その時になるべく危険性が少ない場所を選ぶようにしているからね』
『そう考えると、安全に暮らせるかどうかって、ほんと紙一重なんだな』
なんていうかこの世界、色々とギリギリで成り立ってるんだなー、と改めて思う。
だって、それなりの距離を移動するだけで命懸けだもんな。
『うん。だからこそ、僕らみたいな冒険者や、傭兵なんて職業が成り立っているわけで、危険でも、こうして自分の目的へ最短で近づいていけることには感謝してるよ』
『あぁ。そのために、あの人たちみたいな強さを俺たちも手に入れなきゃだもんな』
街を遠く離れるのなら、今のままじゃ確実に力不足なのは、ここまでの道のりではっきりと自覚させられた。
だから、こうして本来なら下級冒険者の俺たちではできない経験を、少しでも多く積んで帰るんだ。
『そうだね。っと、そうだ』
『ん、どうした?』
『いや、ちょうどいいから、今話しておこうと思ってね。さっきの――エルフの血を、ってやつをさ』
……さっき休憩の時に、あの二人が言っていたあれか。
正直、言いたくないんなら聞く気もなかったんだけど、ミリオから話を振ってきたってことは、俺が聞いても問題ない――というか、聞いて欲しいってことなのかな?
『――じゃあ、聞かせてもらおっかな』
『うん。まぁ、あまり長々と話してもみんなに悪いし、結論から言わせてもらうと、僕とクレアは、たしかにエルフの血を引いているよ。4分の1程度だけどね』
その答えに、少なからず驚きを覚え、思わず体が身震いしてしまう。
……だって、体にエルフの血が流れてるんだろ? それって、なんかすごいカッコイイじゃん!
『ふ、ふーん。そう、なんだ。あー、4分の1ってことは、二人のおじいちゃんか、おばあちゃんがってこと?』
『そうだね。うちのおじいさんが人間で、おばあさんがエルフだったみたいだね』
『おぉ。それじゃあ、その二人の子供がミリオたちの?』
『うん。母さんがその血を半分ずつ受け継いだ――ハーフエルフなんだ』