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「そうそう! 一つ聞きたいことがあってね、さっきトレントを一撃で倒した攻撃なんだけど、あれって一体なんだったの?」


 その時のことを思い出してか、ルキナさんは興味津々といった感じで、ミリオにそう問いかける。


「あー。そういえば、どうやって倒したのか聞いてなかったけど、もしかして『あれ』使ったのか?」

「うん、まあね」


 その返答に、やっぱりかという思いが浮かぶ。

 現時点で二人が出せる最高火力といえば、間違いなくあの合わせ技だろうし、上手く決められたのなら、すぐに決着がついたというのも納得ができる。


「……」


 そんな風に考えをまとめていると、不意に視線を感じ、そちらへ顔を向けてみれば、ルキナさんたちが若干睨みつけるようにこちらを見ていた。

 ……いや、どう考えても、思い切り会話に横入りしてしまったから怒っているんだろう。


「す、すみません」


 頭を下げそのことを詫びるが、余程嫌われてしまったのか、そっぽを向かれてしまい、やってしまった、と失礼な自分の行いを反省する。


「えっと。それで聞きたいことっていうのは、さっきの一射のことでいいんだよね?」

「……えぇ、そうね。見たところ、あれは魔力を纏った鏃──魔刃を放っていた、という認識で合っているかしら?」

「うん。詳しく教えるつもりはないけど、概ねその通りだよ」


 ルキナさんの質問に、ミリオが同意の言葉で返すと、彼女たちは顔を合わせて、「ありえない」と、どこか納得がいっていない様子だった。

 まぁ、一般的には自力で魔刃を発生させること自体が不可能なんだから、それを射出するというのは、それこそありえないことなんだろう。


「ごめんなさい。あと一つ、あと一つだけ教えてもらってもいいかしら。ね? ね?」


 あれが魔刃の派生技ということが確定し、そのうえでどうしても知りたいことができたのか、しつこいぐらいに頼み込む。


「……冒険者にとって、個人の情報というのがどれだけ価値のあるものか、というのを分かったうえで言ってるんだよね?」


 いつもとは違い、少し冷たい声音で言って、ミリオは彼女の目を覗き込むようにじっと見る。


「もちろん分かってるわよ。絶対に答えたくないのであれば、答えなくてもいい。でも、答えてくれるのであれば、それ相応の対価は支払うわ」


 その言葉に、少し考える仕草を見せたが、内容を聞いてから答えを出すことに決めたのか、続きを促すように手を差し出してみせた。


「ありがとう。でね、質問なんだけど。あの技能は魔刃を発動させられる者なら誰にでも扱うことができるのか、それとも──」


 そこで少し言葉を溜めるようにして、彼女はこう言った。


「あなたたちのように、エルフの血を引いた者にしか扱えないものなのかしら?」

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