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「ねぇ、ちょっといいかしら?」


 そうして、話し合いがただの雑談へと変わりそうになった頃、二人の人物がこちらへと声を掛けてくる。


「うん。なにかな?」

「あなた達──ミリオとクレアだったわよね? 二人の戦いを見せてもらったんだけど、とても素晴らしいものだったわ」


 少し興奮した様子で、手放しに二人のことを褒めているこの女性は、たしかフェイリアスさんのところのルキナさんという人だ。

 その後ろでは、同じパーティーの男性であるドリスさんが、同意を示すように、何度も頷いている。


「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ」

『あ、ありがとう』


 彼女の言葉に、ミリオはにっこりとした笑みで、クレアははにかんだ笑みで答え、それぞれが嬉しさを表していた。


「でも、いいの? 僕らとこんな風に接触しても。君たちのリーダーに叱られるんじゃない?」


 ミリオは、彼女へ向け自嘲気味にそう言ってみせるが、当の本人はその言葉の意味が分からなかったのか、ぽかんとした表情を浮かべる。

 だが、すぐにそれを理解したのか、ひらひらと手を振って「別に気にしないわよ」と言った。


「というか、色々と言われているのは知ってるけど、あれに関してはあなた達に一切非はないでしょ。ね?」


 彼女はドリスさんに同意を求めるように声を掛ける。


「ああ。お前たちが直接何かをしたというわけではないんだ。なら、そのことで責めるのは筋違いも甚だしい」


 彼はそう言って、馬鹿馬鹿しいとばかりに肩をすくめてみせた。

 過去のいざこざを知ったうえで、こういった反応を見せてくれる人が新鮮で、素直に驚く。


「それに、うちのリーダーもそんなことで相手を差別するほど狭量じゃないわよ。無表情だから冷たい人に見られがちだけど、面倒見のいい人なのよ」


 リーダー三人が集まっている方を指差し、彼女は柔らかい笑みを浮かべてみせた。

 まぁ、実際に彼が良い人なのは知っている。

 以前に、ちょっとした勘違いから、あそこにいる二人に力を振るってしまった時も、あとでそのことを謝りに行くとあっさり許してくれたし。


「……そう、なんだ。あはは」


 今までに、中級以上の──それなりの期間冒険者を続けている人たちから、そういった声を掛けられた経験がなかったからか、ミリオもクレアも、珍しくどう反応すればいいのか困っている。


「で? 結局お前らは何をしにこっちに来たんだよ」


 そこへ助け船を出すように、ガルムリードが彼女らへと声を掛けると、そうだったとばかりに手を叩いてみせた。

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