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反省会

「なんつーか。思ってた以上に期待外れだな、お前。他はもうとっくに戦い終わってんぞ」


 トレントとの戦闘が終わり、それを見守っていてくれたディラックさんと合流したところで、彼からしみじみとそう言われてしまう。


「……まぁ、その、面目ない」

「謝る必要はねぇよ。ただ、俺の認識が間違ってたってだけなんだからよ」


 なんてことはない、とばかりに軽く手を左右に振り、ディラックさんはそう言ってみせる。


「しっかし。あいつらに比べて、お前は戦い方が下手くそすぎだ。経験不足っつーのは聞いてるが、もう少し上手くやれただろうよ」

「それは、どうだろ。俺としては、あれでも結構必死だったんだけど」

「それはねぇな。見りゃわかんだよ、お前が余力を残してやがったのは」


 こちらとしては本心で言ったつもりだったのだが、それを言い訳と取られてしまったのか、一蹴されてしまう。


「相手の手が見えてねぇうちは、力を温存するのも分かる。けどよ。それも割れて、ガルムリードを前に送り出したあと、そっからの行動が遅すぎだ。ありゃあ、いただけねぇよ」

「いや、あれは」

「あぁ、分かってるよ。能力の代償にビビって、足踏みしてたんだろ?」

「……嫌みっぽい言い方だな。まぁ、その通りだけどさ」


 反論の余地もないほどに図星を突かれてしまい、思わず視線を逸らすと、その先に居たガルムリードと目が合う。

 すると、彼は面倒臭そうに頭の後ろを掻き、ディラックさんの方へと視線を飛ばした。


「よぉ。ビビるっつーのはそんなに悪ぃことなのかよ?」

「当たり前だ。悪いに決まってんだろ」


 彼はふん、と鼻を鳴らし、つまらなさそうに答える。


「状況を見極めるために慎重になることを言ってるんじゃねぇぞ? てめぇ可愛さに腰引いてんな、ってんだよ」

「かっ、なるほどな。んなら、半分は俺のせぇってわけだ」

「あ? なんでそうなるよ」


 ガルムリードの俺をかばうような発言に、ディラックさんは首を傾げるような仕草を見せ、疑問の声を上げた。


「こいつにも落ち度があったことは否定しねぇよ。けど、大将──ミリオが俺の立場だったなら、こいつのそぉいう部分も含めた上で、最適な指示を出しただろぉよ」


 ミリオを引き合いに出し、言外に自分の指示が甘かったせいだと言うガルムリード。


「俺にできたのは、精々が体ぁ張って、こいつが覚悟を決める時間を稼いでやるぐれぇのもんだ。てめぇの役割を全力でこなすってのぁ、こういうこったろうが」


 そう言って、彼は自身の頑丈な体を誇示するように、拳で胸を叩いて見せ、歯を剥き出しに笑ってみせた。

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