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ディラック4

「お?」


 その秘密はミリオが放った矢──そのやじりにあり、わざと脆い材質で作ったそれが、魔術の負荷に耐えきれず壊れてしまったことで、解放された雷が間近にあった金属へと流れたというわけだ。


「《フィアー》!」


 そこへ畳み掛けるようにテレサが精神系魔術を放ち、赤鎧は二重苦に苛まれることになる。


『アクティブスキル《限定解除》発動』


 ただ、それで決着がついたと思うほど、目の前のそいつが楽な相手には見えず、念のために自身の制限を解放し、いつでも戦えるように備えておく。


「うーん。咄嗟の判断と連携は悪くない。けど、ま」


 漏らすようにぽつりと言ったあと、赤鎧はテレサたちの方へ顔を向け、わずかに重心を下げると、地面を蹴りつけ、たったの一歩でその前に跳躍してみせた。


「やっぱ威力が足りねぇわな」


 勢いそのままに、そいつは剣を水平に振るい、二人をまとめて薙ぎ払いに掛かる。


「だっらぁ!」


 が、それが振り切られる前に、ガルムリードは相手に向かって跳躍すると、腕甲を盾代わりにして剣へぶつける。


「はっ。そんなんで止められるかって!」


 赤鎧はその状態で剣を振り抜くと、先ほどのアンネローゼと同様に、自身の剣を受け止めたガルムリードを体ごと打ち飛ばす。


「ちっ!」


 だが、彼は素早く腕を伸ばすと、テレサのベルトを掴み取り、彼女ごとその場の離脱に成功する。

 そして、直前にミリオの声を合図に、背にクレアを乗せて飛び出し、剣を戻していない状態の赤鎧へと、背後から襲い掛かった。


「しっ!」


 背から跳躍したクレアが上から魔力を宿した双刃を振るい、それと対照的に地面すれすれから、相手の足を刈るように剣を振るう。

 タイミング的にも、位置取り的にも完璧なその同時攻撃は──。


「《ウインド》」


 こちらを振り向くことすらせずに発動された風魔術により、クレアの進行が阻まれ、俺の剣は踏みつけられて、止められてしまった。


「物騒なやつらだな、お前ら。狙いは悪くなかったけ──」


 赤鎧がこちらに向けてなにかを言いながら振り返った瞬間、俺の背後でクレアが《フラッシュ》を発動させ、周囲に爆発的な光が溢れる。


「どおぉっっ!?」


 それを直視してしまったのか、赤鎧は手のひらで兜の隙間を覆うと、大袈裟なぐらいに身悶えし、「目がぁぁっ!」と叫び声を上げてみせた。

 なんとなくその反応のせいで、張り詰めていた空気が弛緩してしまったような気もするが、こちらがやられっぱなしなのも癪なので、一撃ぐらいは返しておこうと腹部目掛けて蹴りを放つ。


「──油断したな?」

「っ!?」


 しまった、と思った時にはもう遅く、赤鎧は蹴りを躱すと同時にこちらへ一歩踏み込むと、反対に俺の腹部へと拳を放った。

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