相談14
「っていう話なんだけど、どう思う?」
──その日の夜。
一日の予定を終わらせた後、テレサからの提案をある程度ぼかし、誤魔化しつつクレアとミリオに語り、それについての意見を二人に求める。
「そうだね。僕としては、是非とも参加するべきだと思うな」
『私もそう思う。強い魔物と安全に戦える機会なんて滅多にないし、絶対いい経験になるから』
そんな風に、二人から良い返事があったことにホッと胸を撫で下ろす。
「うん。僕らのレベル的にも、そろそろ本格的に上へ挑戦しないといけないところだったし、ありがたい話だよ。これは」
「ならよかった。話を持ってきたものの、乗り気なのが俺だけだったらどうしようかと心配だったからさ」
『大丈夫だよ。強くなりたいって気持ちは私たちも同じだから。それに、アンちゃんのためでもあるんだし、付き合うのは当然だもん』
「……はは。そうだな」
今クレアが言ったように、今回合同任務に同行させてもらう主目的は、戦姫としてのアンネローゼの成長を促すこととなっていて、俺たちはそのオマケとして連れて行ってもらうという風に説明している。
なんとなく騙している気がして申し訳ないが、そこは仕方ないと割り切るしかない。
「自分たちで倒した分の魔物の素材を持ち帰れるのも嬉しいね。スチールアントの外殻なら良い防具になるだろうし、換金してもそれなりの稼ぎになりそうだ」
「うん。あー、たださっきも言ったけど、もし魔石が手に入った場合は、さ」
「分かってる。その場合はアスマに譲るよ。ガルムやアンも説明すれば分かってくれるだろうし」
「あぁ、悪い。ありがとう」
自分勝手な要求にも関わらず、こう言ってくれるのは素直に嬉しく、その気持ちを込めて礼をしておく。
『でも、なんで魔石が必要なの? なにか造ってもらうの?』
「ん? まぁ、うん、ちょっとな。できあがったら見せるから、今はまだ秘密ってことで」
『ふーん。そっか、分かった』
誤魔化すように笑い、視線を逸らすようにミリオの方へ向けると、彼は分かっているとばかりに笑顔で頷いてみせる。
ミリオにも説明はしていないはずだけど、以前に指輪の話はしたし、彼ならそこから答えに辿り着いてもおかしくはないので、こちらも頷き返しておく。
「それじゃあ、明日アンちゃんとガルムにも俺から同じことを伝えておくから。その日になったらよろしく頼むな」
その言葉に、二人は了解の返事をしてみせる。
そして、三日後に迫る合同任務のための準備を始めるのだった。