相談10
「さて。では、前置きも済んだところで話を戻すとしよう。魔石の属性についてな」
そんな俺の思考を遮るように手を叩いたシャーロットは、当初に話そうとしていた属性についての講義してくれるようだ。
「まぁ、ここまでくれば薄々気づいてはいるだろうが、要は相性の問題なんだよ、これは」
そう切り出して、彼女は解説を続ける。
「人に魔術適性があるように、魔物もそれぞれに特化した属性を持ち合わせている。棲息している環境にも左右されるが、おおよそで一、二種類といったところか」
「へぇ」
鳥みたいに飛んでる魔物は風の適性を、魚みたいに泳いでる魔物は水の適性を持ってるみたいな感じかな?
「そして、魔物の体内で生成された魔石にもその属性は宿っており、それを介することによって、魔石持ちは属性魔力を増幅させ、非常に強力な魔術を放つというわけだ」
「それはまた、厄介だな」
ただでさえ魔術を使ってくる相手は戦いづらいのに、威力が何倍にも引き上げられたそれを当たり前のように連続使用されたら、逃げ回ることしかできなさそうだ。
「うむ。あれらの魔術は、一撃が致命傷になりうるからな。くれぐれも用心するように」
彼女の忠告に頷いてみせ、それを肝に銘じておく。
「といったところで、そろそろ答え合わせといこうか。最初に言ったな。なぜ火属性の適性がない貴様が、火の魔剣を用いて火の魔術を放つことができたのか、と」
「うん」
「重要なのは、『魔石にも属性が宿っている』という点だ」
シャーロットはそこが最重要である、というように人差し指を立ててみせる。
「魔剣に魔力を流し込んだ時、それは組み込まれていた魔晶石へと集約され、内部にて増幅されるのだが、その際、魔晶石に宿っている属性の影響を受けたことにより、属性の依らない魔力の純粋な部分が変化し、結果として、本来発動できない魔術を発動させることができた、というわけだ」
「えっと?」
一気に説明されたせいでいまいちビンとこず、曖昧な反応が出てしまう。
「ふむ。まぁ、簡単に言えば、魔力には無属性とでも言える、何色にでも簡単に染まってしまうような純粋な部分があり、それが魔石に宿っている属性に変化することにより、一応ではあるが魔術を発動することもできる。と言えば分かるか?」
「あー、なるほど。うん、ありがとう」
その説明でようやく言わんとしていることを理解し、分かりやすく噛み砕いてくれたことを感謝する。