相談9
「最低最悪って……。そんなに危ないもんなの?」
いや、もちろん危ないのは確実だろうけど、具体的にそれがどの程度危険なのかが分からないと、危機感も半端にしか抱けないからな。
「あぁ。魔石の大小により蓄積魔力が違うので威力に大きな差はあるが、最低でもこの辺り一帯を無残な姿に変えるほどには強力だ。と言えば分かるか?」
「お、おう。でも、思ったよりはマシかも。一度きりっていうから、もっとこう、街一つぐらい余裕で消し飛ばすとか言われるかと」
「最低で、と言っただろう。モノによってはその程度造作もない」
「こっわ」
……正直、冗談半分で言っただけに、本当にそれができると分かって若干引いてしまう。
「当然と言えば当然のことだ。なにせ、魔石の臨界点を超えるほどに高められた魔力で発動させる魔術なのだからな。その破壊力も規格外のものとなるさ」
「いや、それは、うん」
魔術は注ぎ込む魔力が多ければ多いほど威力が上がるけど、普通はそれだけの魔力を制御することなんてできない。
でも、魔石という器を利用することによってそれを可能にしているんだから、それだけの効果を発揮してもおかしくはないということか。
「ただ、やはり一度の発動だけで貴重な資源を使い潰すというやり口は気に入らん」
「まぁ、もったいないよな」
「まったくだ」
怒っているのを表すように、腕を組んだシャーロットは、「ふん」と鼻を鳴らしてみせた。
「しかし、一番気に食わんのは、それを使用することによって発生する被害を一切考慮しない大馬鹿者だ。本来持てる以上の力を手にして気持ち良くなっているのか知らんが、あの手の痴れ者が最も手に負えん」
「あー」
たしかに、そういうやつもいるんだろうな、っていうのは容易に想像できる。
……というか、俺もスキルを完全には扱えてないから暴走気味になることがある以上、他人事ではないけど。
「まぁ、扱い次第で有用な物ではあるので、魔弾そのものを否定するつもりもない。結局はそれがどれだけ危険であるかを理解し、しっかりとした管理下で使用するというのが大事だというわけだ」
魔弾は兵器として使われるのが主なんだろうけど、使用する側がしっかりとした知識を持って、安全面に考慮しさえすれば違った運用方法もできるってことか。
まぁ、どんな風に使うのが最適なのかは分からないけど、ミリオとかクレアなら俺には思いつかないような手段で上手く使ってみせるんだろうな。