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下水道7

「おいこら。てめぇ、ふざけんなよ」

「ふぇ?」


 戦闘が終わり、一息ついたところでガルムリードがアンネローゼに詰め寄り、鋭い目つきでにらみつける。

 だが、当人はなんのことを言われているのかさっぱりなようで、首を傾げ妙な声を漏らしているだけだ。


「俺ぁ、最初に言ったはずだぞ。やり足んねぇからここに残るってよ。それを一人で馬鹿みてぇに狩り尽くしやがって、限度ってもんを知らねぇのかてめぇは」


 それを聞いて彼が怒っている理由に合点がいく。

 たしかに、この場にいたスカベンジャーの大半を倒したのはアンネローゼであり、ガルムリードとしては、提案した自身を遥かに上回る戦闘を行った彼女の、独断専行が気に食わなかったということだろう。

 

「ええ~。でも、アンが早い者勝ちって言ったら、ガルルンも上等だって言ったよー?」

「あ? それとこれとは話がちげぇだろうが。つーか、その呼び方やめろっつってんよな」

「ぶ~! わっかんないし、やだもん! ア~く~ん!」

「いや、そこで俺に話振られても困るんだけど」


 泣きつくようにアンネローゼがこちらの腕を引っ張ってくる。

 こういう時にミリオがいれば、互いに納得のいくように話を持っていけるんだろうけど、俺にそれを求められても無理だしな。


「ちっ。話の分かんねぇやつだな、てめぇは」

『……あの……喧嘩しないで……仲良くしよ?』


 拳を握り締め、苛立ちを隠せなくなっているガルムリードをなだめるようにクレアが声を掛けるが、「かっ!」と吐き捨てるように言ってみせるだけで、取りつく島もない。

 そうして、少し険悪な空気の中、心配そうな顔で二人の表情を窺っていたクレアが、こちらに助けを求めるように視線を向けてくる。

 さすがにそれを無視することはできず、まとまらない思考のまま、成り行き任せで口を開く。


「あー、なんだ。そのさ、えっと、そうだ! お互いに納得できないことがあるんなら、勝負して決めようぜ」


 思わず漏れた一言に、三人は「なに言ってんだ?」というような視線を送ってくるが、ある意味これは名案かもしれない。


「どぉいう意味だよ、そりゃ?」

「なんていうか、ガルムはあれだろ? アンちゃんが自分勝手に動いて獲物を全部倒しちゃったことに腹を立ててるだけで、別に嫌ってるってわけじゃないんだよな?」

「……あぁ。まぁ、そんなとこだ」


 よしよし。

 なら、あとは着地点を決めて、それに合わせてやれば……。


「で、勝負ってのは、なんだ?」

「あぁ、うん。今から説明する」


 と、ガルムリードに急かされるように、今思いついたばかりの案について語っていく。

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