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下水道

 翌日。


「では、これより各自に別れて行動を開始していただきます。何か異常を発見した際や困ったことがあれば、この場に待機しているギルドの者にお知らせください」


 夜明け前。街の外縁部に集まった俺たちは、ギルドの事務員より説明を受け、早速とばかりに鉄格子の向こう側に広がる下水道へと足を踏み入れていく。

 ──今回俺たちがこのような場所へ来たのは、定期的に行う施設の点検と、それに伴う魔物の処理のためだ。

 街の地下といえど、人通りがなく、薄暗くて生暖かいこの空間はある種の魔物にとっては居心地が良いらしく、比較的小型の魔物が棲みついてしまっている。

 そのため、ギルドから下級冒険者数十名程度に連絡がいき、それが数を増やす前に駆り出されることになっているらしい。

 それが今回は俺たちの番だったということだ。

 ちなみに、急用がない限りはこれを拒否することはできないが、手当ては出るので理不尽な使いっぱしりというわけでもない。


「それじゃあ僕らの担当はこっちだから、念のためガルムが先頭で、アスマ、クレア、僕、テレサ、アンの順番で行こうか」


 ミリオからの提案に各自が了承し、担当区画を目指して進んでいく。

 この場には、臭いへの対策として一定間隔ごとに《消臭》を発動させるための魔道具が埋め込まれているおかげで、思っていたより臭いはキツくないが、視覚的には少しつらい。

 ただ、血や臓物のそれに比べれば気持ち的には楽なので、索敵に意識を集中して気分を紛らわす。


「ねぇねぇ、ミー君。ここってどんな魔物がいるのー?」

「スライムにスパイダー、スカベンジャーとハイドラット辺りだね。気をつけないといけないのは、後ろの二種類かな。スカベンジャーは軽い毒を持ってるし、ラットは臆病だけどとにかく速くて、歯が鋭いから噛まれないようにね」

「はーい! ふっふっふ~ん。みんなで一緒に魔物退治だー!」


 反響してくるアンネローゼの声に苦笑いしつつ、事前にミリオから聞いていた情報を思い出す。

 スパイダーは蜘蛛系の魔物で、音に敏感な体毛が全身に生えていて、それにより敵を感知して待ち伏せし、糸で捕縛してから獲物を食い殺す特性を持っている。

 スカベンジャーは小型犬のような見た目をしている魔物で、爪や牙に相手の感覚を軽度に麻痺させる毒を持っていて、弱っている相手に集団で襲い掛かるいやらしい特性を持っている。

 ハイドラット──通称『ネズミ』と呼ばれている魔物は、基本的には大人しく人を襲うようなこともないが、数を増すのが早いうえに、飢餓状態に陥るとその鋭い歯で見境なく色々なものを噛み千切っていくので、建物が倒壊してしまうこともあるらしい。

 スライムは、いつものやつと同じだ。

 というように、それほど強いわけではないが、様々な特徴を持つ魔物がこの場には待ち受けているため、とにかく警戒だけは切らさないようにしていく。

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