質問11
そうして、グランツさんに各々が質問をすることになり、とりあえず抱いていた疑問については解消することができた。
その内の一つを挙げるのなら。
どうして《ギフト》について周知させていないのか、というミリオの疑問に対する答えは、そうすると自身の実力に見合わない魔物へ挑む者が増え、結果として大量の死者が出るからだという。
というのも、元々冒険者ギルドが設立された理由は《ギフト》保有者を多量に確保するためらしく、当初はそれこそ方々から集められた特別優秀な人材へと、それぞれに望むだけの金品などを与えることによって構成員として取り込み、着実にその数を増やしていったようなのだが、さすがにそれではコストが釣り合わないということでその方法は廃止されることとなったようだ。
そして、次に出された案が疑問の答えに繋がる。
それが報酬を目当てに集まってきた大量の人材に一つ十人程度のグループを作らせ、そこに前回の案で確保した実力者を一人加えることレベルを引き上げさせ、ある程度まで育ったところで実力者を抜き、あとは自分たちでレベルを上げさせるというものだったらしい。
だが当然、ステータス的には強くなろうが、ろくに戦闘訓練も積んでいないうえ、窮地に追い込まれた経験もない者に格上との戦闘をこなせるわけもなく、レベルが上がるごとに強くなっていく自身と、《ギフト》を発現させた際に得られることとなるそれまで以上の報酬に目を眩ませる者が多発し、欲を出してさらに上を目指そうとした結果が大量の人材損失だ。
当時は管理体制も徹底されていなかったこともあり、即座にその事態に気づくことができず、それが発覚した頃にはかなりの被害が出てしまっていたようで、その案もまた廃止されることとなったという。
人というものは、個人差はあれど目標のためであれば努力をすることも厭わない生き物ではあるが、それが自発的なものでなければどこかで雑味のようなものが混じり、困難を乗り切るのに大切な執念のような気持ちが失われてしまうために、ギルドから人を集めることは止めることとなり、志願者を募る方向に切り替えたらしい。
そのため、戦闘技能を習得していない者には指導者による訓練をつけさせたり、冒険者の実力や人格に相応する段階的な区分を作ったり、それに見合った報酬を決めたりと、できる限りの魅力的な待遇を用意して意欲を刺激することで人を集めることにし、異常事態が起きた場合に備えて報告も義務化する運びとなったようだ。
そして、その後も様々な案が出されては廃止されるということが繰り返され、その過程で《ギフト》に関する情報も、秘匿とまではいかないまでも、規制されるようになり、紆余曲折はあったもののどうにか今の形に落ち着くこととなったようだ。
という風にそれぞれの疑問に答えてもらい、そうしている内にかなりの時間が経ち、いつの間にか外は暗くなってしまっていた。




